厚生年金保険法 
離婚分割 合意分割

会社員の夫と育児に専念していた専業主婦の妻の場合、離婚すると妻はほぼ国民年金だけで生活しなければなりません。こういった現実が離婚できない足かせとなっているケースもありました。この現役時代の男女の雇用格差、給与格差などを背景に、離婚後の夫婦に年金受給額に大きな開きがあることが問題視され、平成16年改正により「離婚時の年金分割」制度が導入されました。

目 次

  1. 合意分割の請求
    1. 離婚時みなし被保険者期間
  2. 合意分割の効果

合意分割の請求

 

標準報酬改定請求の請求期限

 

2026改正合意分割の請求は、次に掲げる日の翌日から起算して5年を経過したときはすることができない
(法78条の2第1項ただし書、則78条の3第1項)

 

  1.  離婚が成立した
  2.  婚姻が取り消された
  3.  事実婚が解消したと認められるに至った
  • 2026改正「2年」から「5年」になりました。離婚後の生活再建の過程では年金分割の請求が遅れがちであることや、民法上の財産分与請求期間との整合性を踏まえ、年金分割の請求期限が延長されました。

2026改正離婚等をした日の翌日から起算して5年を経過した日前に請求すべき按分割合に関する審判または調停の申立てをし、審判が確定したまたは調停が成立したが、確定または成立する前に5年が経過した場合は、当該確定または成立をした日の翌日から起算して6か月を経過する日までは合意分割の請求を行うことができる。(則78条の3第2項)

2026改正また、審判が確定または調停が成立した日が、離婚が成立した日等の翌日から起算して5年を経過した日前6か月以内である場合は、確定または成立した日の翌日から起算して6か月を経過する日までに合意分割の請求を行うことができる。(則78条の3第2項)

  • 按分割合について合意がまとまらなかった場合に裁判所に審判等の申立てをしたときにおいて審理が長期化したケースを想定した規定です
  • たとえ5年以内に確定または成立をした場合であっても5年を経過するまでの期間が6か月以内であるときはその後6か月を経過する日までは合意分割の請求を行うことができますようするに確定または成立後6か月間は請求することが可能ということです)。

 

  1.  離婚等が令和8年12月31日に成立しました。
  2.  原則としては、5年以内、すなわち令和13年12月31日が請求期限となります。
  3.  合意分割の場合は、按分割合を協議することになりますが、
  4.  協議に問題がなく、按分割合についての合意がなされたときは、令和13年12月31日までに請求をしなければなりません。
  5.  これに対し、協議が不調であるときは、家庭裁判所に申立てをすることになりますが、この審理が請求期限を超えて長期化することも考えられます。
  6.  この場合には、審判が確定した日の翌日から起算して6か月を経過する日まで請求を行うことができます。
  7.  なお、例えば、審判が確定した日が令和13年11月30日だった場合、請求期限内に確定していますが、令和13年12月31日までほとんど余裕がありません。このような場合にも、確定した日の翌日から起算して6か月を経過する日まで合意分割の請求を行うことができます。

 

離婚が成立したが、合意分割の請求をする前に当事者の一方が死亡した場合においては、当事者の一方が死亡した日から起算して1か月以内に所定の方法により、当事者の他方による標準報酬改定請求があったときは、当事者の一方が死亡した日の前日に合意分割の請求があったものとみなされる。(令3条の12の7)

2026改正分割請求前に例えば夫が死亡したような場合の規定です按分割合について合意している旨が記載された公正証書の謄本がある場合には死亡したときから1か月以内であれば分割請求をすることができます。(法78条の2第3項)

 

「離婚時みなし被保険者期間」とは、

 

離婚したときに、相手の厚生年金の加入期間の一部を“自分も加入していたものとみなす”制度のことです。

正式には「離婚時の厚生年金の分割制度」に関係する概念です。


 

① なぜこんな制度があるの?

会社員や公務員が加入する厚生年金では、

  • 保険料を多く払った人ほど

  • 将来の年金額が多くなります。

しかし、専業主婦(主夫)などは、

  • 実際には働いていない

  • 厚生年金に加入していない

ため、離婚すると年金額に大きな差が出ます。

そこで、 婚姻期間中の厚生年金の記録を分ける制度  =「年金分割制度」が設けられました。


 

② 「みなし被保険者期間」とは?

 

年金分割をすると、 婚姻期間中の相手の厚生年金記録の一部を 自分が厚生年金に加入していたものとして扱う ことになります。

この「加入していたものとして扱う期間」が 離婚時みなし被保険者期間です。

 


 

③ ポイント整理

✔ 実際に会社で働いていたわけではない
✔ 実際に保険料を払っていたわけでもない
✔ でも「払っていたことにして」年金額を計算する

という「法律上のフィクション(みなし)」です。


 

④ 具体例

例えば、

  • 10年間の婚姻期間

  • その間、夫が厚生年金加入

  • 妻は専業主婦

離婚後に年金分割(2分の1)をすると、 妻はその10年間のうち分割された分を 「自分が厚生年金に入っていた期間」とみなされる

これが「離婚時みなし被保険者期間」です。

合意分割の効果

 

離婚時みなし被保険者期間の取扱い(特別支給の老齢厚生年金)

 

離婚時みなし被保険者期間の特別支給の老齢厚生年金における取扱いは次の通りである。(附則17条の10)

 

離婚時みなし被保険者期間の「特別支給の老齢厚生年金」における取扱い
  1.  特別支給の老齢厚生年金の支給要件1年要件には、離婚時みなし被保険者期間算入されない
  2.  特別支給の老齢厚生年金の「報酬比例部分の額の計算の基礎となる被保険者期には、離婚時みなし被保険者期間は、算入される
  3.  特別支給の老齢厚生年金の「定額部分の額の計算の基礎となる被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間は、算入されない

1.について

特別支給の老齢厚生年金の支給には1年以上の厚生年金保険の被保険者期間を有することが要求されます

離婚時みなし被保険者期間ここでいう1年要件には算入されません

したがって、第2号改定者(主に妻)【注】 が、特別支給の老齢厚生年金の支給を受けるためには、自らの厚生年金保険の被保険者期間を1年以上有する必要があります。厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間としてみなされた期間のみである者は、特別支給の老齢厚生年金を受給することはできません。

【注】第1号改定者(主に夫)

 

2.及び3.について

  1. 年金額の計算では報酬比例部分の年金の計算期間には含めます
  2. 定額部分の年金の計算期間には含めません

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