国民健康保険法

  •  健康保険に加入していない自営業者や無職の者などの地域住民を対象とした健康保険を国民健康保険といいます。
  •  給付費などには国庫負担があり、その内容は独特。
  •  保険料を滞納する者に対する一連の流れについては健康保険法にはないもの。
 
目 次
  1. 目的
  2. 保険者
  3. 国民健康保険組合の設立
  4. 被保険者
  5. 適用除外
  6. 保険給付
  7. 不服申立て

目的

 

国民健康保険法は、国民健康保険事業健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。(法1条)

国民健康保険は、被保険者の疾病、負傷、出産または死亡に関して必要な保険給付を行う。(法2条)

  • 健康保険法と異なり、「被扶養者という概念は原則としてありません
  • 国民健康保険の保険給付は業務上外を問いません
  • 被保険者に対して保険給付を行います。「全国民に対して保険給付を行うわけではありません
  健康保険法 国民健康保険法
単位 事業所単位 地域単位
保険者 全国健康保険協会健康保険組合 都道府県及び市町村国民健康保険組合
保険事故

疾病負傷死亡出産​業務災害を除く

疾病負傷死亡出産業務上外を問わない

被保険者
  •  被保険者
  •  任意継続被保険者
  •  特例退職被保険者
  •  日雇特例被保険者
被保険者
被扶養者 あり なし
傷病手当金
出産手当金
法定給付 任意給付
  • 昭和2年の金融恐慌昭和4年の世界恐慌の影響を受けて昭和恐慌昭和5年が発生しましたまた東北地方を中心に大凶作が発生し困窮に陥った農家での身売りも当時社会問題となっていました
    農家の負債の多くは医療費が占めていたため昭和13年1月厚生省が発足され4月1日には「(国民健康保険法が公布7月1日に施行されました
    当時の保険者は市町村等ではなく組合普通国民健康保険組合特別国民健康保険組合でありその設立も基本的に任意でした組合方式)。
    その後戦時体制に突入し、「国保なくして健民なしとして改正が行われ普及が進みましたが終戦直後の社会的経済的混乱により国民健康保険を休止または廃止する組合が続出することになりました
  • 大企業労働者と零細企業労働者間国民健康保険を設立している市町村とそれ以外の市町村間二重構造が問題視され昭和34年1月1日「(国民健康保険法が施行され昭和36年4月1日国民皆保険の体制が実現しました市町村運営方式市町村公営の原則)。

 

国民健康保険の構造的課題としては、

  1.  年齢構成が高く医療費水準が高い
  2.  所得水準が低い
  3.  保険料負担が重い
  4.  保険料の収納率
  5.  一般会計繰入・繰上充用
  6.  財政運営が不安定になるリスクの高い小規模保険者の存在
  7.  市町村間の格差

 が挙げられ、制度改革が進められています。

保険者

 

国民健康保険における保険者は、次の通りである。(法3条)

 

保険者
  1.  都道府県及び当該都道府県内の市町村都道府県等が行う国民健康保険
  2.  国民健康保険組合国民健康保険組合が行う国民健康保険

平成30年4月から都道府県が市町村とともに国民健康保険を行うことになりました

  1. 都道府県が財政運営責任を担い
  2. 市町村が資格の得喪保険給付保険料の徴収保健事業などを担います

国民健康保険組合の設立

 

国民健康保険組合を設立しようとするときは、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければならない。(法17条1項)

  • 都道府県知事の認可です。「厚生労働大臣の認可ではありません
  設立の認可
健康保険組合 厚生労働大臣の認可
国民健康保険組合
国民健康保険団体連合会
都道府県知事の認可

 

国民健康保険組合の設立認可の申請は、15人以上の発起人規約を作成し、組合員となるべき者300人以上の同意を得て行われる。
(法17条2項)

 

規約の記載事項(法18条)
  1.  名称
  2.  事務所の所在地
  3.  組合の地区及び組合員の範囲
  4.  組合員の加入及び脱退に関する事項
  5.  被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項  など

 

医療分野

区分 法律 認可 人数要件 同意要件 発起人要件
健康保険組合 健康保険法 厚生労働大臣 単独700人
共同3,000人
被保険者の2分の1以上の同意
国民健康保険組合 国民健康保険法 都道府県知事 組合員となるべき者300人以上の同意 15人以上
国民健康保険団体連合会 国民健康保険法 都道府県知事

 

年金分野

区分 法律 認可 人数要件 同意・申出要件 発起人要件
地域型国民年金基金 国民年金法 厚生労働大臣 1,000人以上 300人以上の加入資格者の希望申出
職能型国民年金基金 国民年金法 厚生労働大臣 3,000人以上 15人以上
国民年金基金連合会 国民年金法 厚生労働大臣 2以上の基金
企業年金連合会 確定給付企業年金法 厚生労働大臣 20以上の事業主等

 

横断整理

 

  • 知事認可は「国保」系のみ

  • 700人 → 健康保険組合(単独)

  • 1,000人 → 地域型国民年金基金

  • 3,000人 → 健保(共同)/職能型国民年金基金

  • 発起人15人 → 国保組合・職能型基金

  • 連合会系は「構成団体数」が基準(2基金/20事業主)

都道府県知事は、認可の申請があった場合においては、あらかじめ、所定の市町村長及び都道府県知事の意見を聴き、当該認可の申請に係る国民健康保険組合の設立により、当該国民健康保険組合の地区をその区域に含む都道府県及び当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の運営に支障を及ぼさないと認めるときでなければ、認可をしてはならない。(法17条3項)

被保険者

 

都道府県の区域内に住所を有する者は、原則として、都道府県等が行う国民健康保険被保険者となる。(法5条)

  • 国民健康保険制度には、「被扶養者という概念はありません
  • 未成年者も被保険者となります

適用除外

 

次のいずれかに該当する者は、都道府県等が行う国民健康保険被保険者とはならない。(法6条)

 

適用除外
  1.  健康保険法の規定による被保険者(日雇特例被保険者を除く)
  2.  船員保険法の規定による被保険者
  3.  国家公務員共済組合法または地方公務員等共済組合法に基づく共済組合組合員
  4.  私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度加入者
  5.  健康保険法の規定による被扶養者(日雇特例被保険者の被扶養者を除く)
  6.  船員保険法国家公務員共済組合法または地方公務員等共済組合法の規定による被扶養者
  7.  健康保険法の日雇特例被保険者手帳の交付を受け、その手帳に健康保険印紙を貼付すべき余白がなくなるに至るまでの間にある者及びその者の被扶養者(承認を受けて日雇特例被保険者とならない期間内にある者及び日雇特例被保険者手帳を返納した者並びにその者の被扶養者を除く)
  8.  高齢者医療確保法の規定による被保険者
  9.  生活保護法による保護を受けている世帯(その保護を停止されている世帯を除く)に属する者
  10.  国民健康保険組合被保険者
  11.  その他特別の理由がある者で厚生労働省令で定めるもの

保険給付

 

  • 国民健康保険の保険給付は、法定必須給付法定任意給付及び任意給付に大別される。
        疾病・負傷 出産 死亡
法定給付

法定必須給付
(法36条1項、法52条1項、法52条の2第1項、法53条1項、法54条1項、法54条の2第1項、法54条の3第1項、法54条の4第1項、法57条の2第1項、法57条の3第1項)

  • 必ず実施する給付
保険者が必ず行わなければならない給付
  1.  療養の給付
  2.  入院時食事療養費
  3.  入院時生活療養費
  4.  保険外併用療養費
  5.  療養費
  6.  訪問看護療養費
  7.  移送費
  8.  高額療養費
  9.  高額介護合算療養費
  10.  特別療養費
療養の給付等    

法定任意給付(法58条1項)

  • 原則実施するが、特別な理由があれば全部または一部を実施しないことができる給付
条例または規約の定めるところにより行う給付(特別な理由がある場合は、行わないことができる
  1.  出産育児一時金
  2.  葬祭費
  3.  葬祭の給付
  出産育児一時金 埋葬費の支給・埋葬の給付
任意給付

任意給付(法58条2項)

  • 実施するかどうかは任意
条例または規約の定めるところにより、任意に行うことができる給付
  1.  傷病手当金
  2.  その他の保険給付出産手当金
傷病手当金 出産手当金  

健康保険法と同様、療養の給付等を受ける際には、電子資格確認等によることになりました。(法36条3項)

葬祭費の支給は、条例等の定めるところにより行われるため、その支給額は一律ではありません(例えば、埼玉県所沢市は5万円ですが、北海道札幌市は3万円です)。(法58条1項)

健康保険法64条保険医または保険薬剤師)及び同法82条1項社会保険医療協議会への諮問)の規定は、国民健康保険法による療養の給付について準用される。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定められる。(法46条)

  • 国民健康保険は、医療を実際に提供する「現場のルール」について、自前で規定を持つのではなく、健康保険法の仕組みを一部活用しています。
  • 都道府県等が行う国民健康保険一部の規定において健康保険法の規定が準用されていたりまた条例により規定が定められていたりする
  • 海外に渡航中に療養を受けた場合には被保険者の申請に基づき保険者が療養の給付を受けることが困難であると認めるときなどにおいて、「海外療養費が支給されます

療養の給付または入院時食事療養費入院時生活療養費保険外併用療養費訪問看護療養費特別療養費若しくは移送費の支給は、被保険者の当該疾病または負傷につき、健康保険法船員保険法国家公務員共済組合法地方公務員等共済組合法若しくは高齢者医療確保法の規定によって、医療に関する給付を受けることができる場合または介護保険法の規定によって、それぞれの給付に相当する付を受けることができる場合には、行われない。労働基準法の規定による療養補償、労働者災害補償保険法の規定による療養補償給付若しくは療養給付、国家公務員災害補償法の規定による療養補償、地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定による療養補償その他政令で定める法令による医療に関する給付を受けることができるとき、またはこれらの法令以外の法令により国若しくは地方公共団体の負担において医療に関する給付が行われたときも、同様とする。(法56条1項)

  • 国民健康保険は日本の医療保険制度における最後の拠り所ですそのため職域保険健康保険公費負担医療あるいは労災保険など他に優先して適用されるべき法律がある場合にはその範囲において給付は行われません

不服申立て

 

保険給付に関する処分(法9条2項及び4項の規定による求めに対する処分を含む)または保険料その他国民健康保険法の規定による徴収金に関する処分不服がある者は、各都道府県に置かれた国民健康保険審査会審査請求をすることができる。(法91条1項、法92条)

  • 一審制です

 

 

審査機関と設置主体

法律 審査機関 設置
国民健康保険法 国民健康保険審査会 都道府県
高齢者医療確保法 後期高齢者医療審査会 都道府県
介護保険法 介護保険審査会 都道府県
健康保険法
国民年金法
厚生年金保険法
船員保険法
社会保険審査官 地方厚生(支)局
石炭鉱業年金基金法
年金給付遅延加算金支給法
社会保険審査会 厚生労働省

 

ポイント整理

都道府県設置

  • 国保

  • 後期高齢者

  • 介護

 

 

地方厚生(支)局

  • 健康保険・年金系 → 社会保険審査官

 

 

厚生労働省

  • 社会保険審査会(上級審)

審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、文書または口頭でしなければならない。ただし、正当な理由により、この期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでない。(法99条)

審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなされる。(法91条2項)

処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。(法103条)

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