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ソリューション行政書士法人
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労災保険法には、業務災害に関する保険給付、通勤災害に関する保険給付、複数業務要因災害に関する保険給付及び二次健康診断等給付があります。
覚え方
業務災害は「使用者の補償責任を労災保険が肩代わりする仕組み」。
通勤災害と複数業務要因災害は、労働基準法上の使用者の災害補償責任を前提としていません。
目 次
労災保険法による保険給付は、次の4つに大別されます。
業務災害に関する保険給付は、次のとおりです。(労災保険法12条の8第1項)
| 給付の対象 | 具体的な保険給付 |
|---|---|
| 傷病の治ゆ前 | 療養補償給付 |
| 休業補償給付 | |
| 傷病補償年金 | |
| 傷病の治ゆ後に障害が残った場合 | 障害補償給付 |
| 介護を受けている場合 | 介護補償給付 |
| 労働者が死亡した場合 | 遺族補償給付 |
| 葬祭料 |
治ゆ前に行われる給付
治ゆ後に行われる給付
治ゆ前・治ゆ後を問わない給付
介護補償給付は、傷病補償年金または障害補償年金の受給権者などが、一定の障害により現に介護を受けている場合に支給されるため、治ゆの前後を問いません。
通勤災害に関する保険給付は、業務災害に関する保険給付に準じた内容となっています。(労災保険法21条)
| 給付の対象 | 具体的な保険給付 |
|---|---|
| 傷病の治ゆ前 | 療養給付 |
| 休業給付 | |
| 傷病年金 | |
| 傷病の治ゆ後に障害が残った場合 | 障害給付 |
| 介護を受けている場合 | 介護給付 |
| 労働者が死亡した場合 | 遺族給付 |
| 葬祭給付 |
業務災害の給付と内容はほぼ同じですが、通勤災害は労働基準法上の使用者の災害補償責任に基づくものではありません。
そのため、通勤災害に関する給付の名称には、「補償」という文字が付きません。
業務災害
→ 療養補償給付・休業補償給付通勤災害
→ 療養給付・休業給付
複数業務要因災害に関する保険給付は、次のとおりです。(労災保険法20条の2)
| 給付の対象 | 具体的な保険給付 |
|---|---|
| 傷病の治ゆ前 | 複数事業労働者療養給付 |
| 複数事業労働者休業給付 | |
| 複数事業労働者傷病年金 | |
| 傷病の治ゆ後に障害が残った場合 | 複数事業労働者障害給付 |
| 介護を受けている場合 | 複数事業労働者介護給付 |
| 労働者が死亡した場合 | 複数事業労働者遺族給付 |
| 複数事業労働者葬祭給付 |
これらの給付は、業務災害や通勤災害に関する給付と基本的に同じ内容です。厚生労働省の通達でも、複数業務要因災害に関する7種類の保険給付が示されています。
複数業務要因災害に関する制度は、令和2年(2020年)9月1日施行の改正により設けられました。
したがって、「2021年改正労災保険法」という表現よりも、
令和2年改正により創設された複数業務要因災害に関する保険給付
とする方が正確です。
業務災害、複数業務要因災害および通勤災害に関する保険給付以外の給付として、二次健康診断等給付があります。(労災保険法26条)
一次健康診断において、脳・心臓疾患に関連する一定の項目すべてに異常の所見が認められた場合に、業務上の脳・心臓疾患の発生を予防するために行われます。
給付内容は、主に次の2つです。
これは、すでに発生した労災を補償するものではなく、脳・心臓疾患の発生を予防するための給付です。
業務災害に関する保険給付のうち、次の給付は、労働基準法または船員法に定める災害補償事由が生じた場合に行われます。(労災保険法12条の8第2項)
これらは、労働基準法上の使用者の災害補償責任に対応する保険給付です。
労災保険法12条の8第2項では、次の2つが除かれています。
これは、労働基準法や船員法に対応する災害補償の規定がなく、いずれも労災保険法独自の給付だからです。
傷病補償年金は、労働者からの請求によって支給決定されるのではなく、所轄労働基準監督署長が要件を確認して、職権で支給決定します。
したがって、傷病補償年金が除かれている理由には、
の両方があります。
介護補償給付も労災保険法独自の給付ですが、こちらは請求に基づいて支給されます。
したがって、
傷病補償年金と介護補償給付は、いずれも請求によらないため除外される
という整理は誤りです。
労災保険の保険給付は、原則として、被災労働者や遺族などの請求に基づいて行われます。
例えば、療養補償給付を受けた後に休業補償給付や障害補償給付の要件を満たした場合でも、それぞれについて所定の請求手続が必要です。
ただし、次の給付は例外です。
これらは、原則として所轄労働基準監督署長の職権により支給決定されます。
労働基準法上の災害補償に相当する労災保険給付が行われるべき場合には、使用者は、その限度で労働基準法上の災害補償責任を免れます。(労働基準法84条1項)
例えば、労災保険から遺族補償一時金が支給される場合には、使用者が重ねて労働基準法上の遺族補償として平均賃金1,000日分を支給する必要はありません。
ただし、労災保険給付の対象外となる損害や、労災保険給付を上回る民事上の損害賠償責任まで、当然に免除されるわけではありません。
通勤災害は、労働基準法上の「業務上」の災害ではありません。
そのため、通勤災害については、使用者は原則として労働基準法上の災害補償責任を負いません。
例えば、通勤災害による休業給付では、最初の3日間が待期期間となりますが、使用者に労働基準法76条に基づく休業補償義務はありません。
複数業務要因災害は、各就業先の業務上の負荷を個別に評価しただけでは、業務と疾病などとの因果関係が認められない場合に、複数の事業における負荷を総合して認定されるものです。
そのため、いずれの就業先についても、単独では業務起因性が認められず、各事業主は労働基準法上の災害補償責任を負いません。
したがって、複数事業労働者休業給付の待期3日間についても、各事業主に労働基準法76条に基づく休業補償義務はありません。
複数の事業に勤務している労働者であっても、特定の事業場における業務だけで災害との因果関係が認められる場合は、通常の業務災害となります。
この場合は、災害発生事業場の事業主が、従来どおり労働基準法上の災害補償責任を負います。
| 区分 | 認定方法 | 事業主の災害補償責任 |
|---|---|---|
| 複数事業労働者の業務災害 | 1つの事業の負荷だけで認定 | 災害発生事業場の事業主が負う |
| 複数業務要因災害 | 複数事業の負荷を総合して認定 | いずれの事業主も負わない |
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