健康保険法
健康保険法の併給調整

同一の傷病につき「健康保険法の療養の給付等に相当する給付他の法令の規定により受けることができるときは、健康保険の保険給付は行わない

目 次

  1. 労災保険法などによる給付との調整
  2. 公費負担医療との調整
    1. 被保険者が少年院などに収容などされた場合(被保険者本人に係る保険給付)
    2. 被保険者が少年院などに収容などされた場合(被扶養者に係る保険給付)

 

給付通則  

労災保険法などによる給付との調整

 

同一の傷病につき「健康保険法の療養の給付等に相当する給付他の法令労災保険法国家公務員災害補償法地方公務員災害補償法などの規定により受けることができるときは、健康保険の保険給付は行わない。(法55条1項)

  • 同一の傷病につき健康保険法の療養の給付等に相当する給付を他の法令の規定により受けることができるときまたは受けたときは健康保険から重ねて給付を行う必要がないのは当然です

 

保険者は、「傷病手当金の支給を行うにつき必要があると認めるときは、労働者災害補償保険法国家公務員災害補償法または地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定により給付を行う者に対し、当該給付の支給状況につき、必要な資料の提供を求めることができる。
(法55条2項)

  • なお、全国健康保険協は、「日雇特例被保険者に係る傷病手当金」の支給を行うにつき必要があると認めるときは、労働者災害補償保険法国家公務員災害補償法または地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定により給付を行う者に対し、当該給付の支給状況につき、必要な資料の提供を求めることができることになっています。(法128条2項)

公費負担医療との調整

 

被保険者に係る療養の給付または入院時食事療養費入院時生活療養費保険外併用療養費療養費訪問看護療養費移送費家族療養費家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給は、同一の疾病または負傷について、他の法令の規定により国または地方公共団体の負担療養または療養費の支給を受けたときは、その限度において、行われない。(法55条4項)

  • 社会的弱者の救済や社会福祉、公衆衛生の向上、難病の治療や研究などを目的として、「公費負担医療」制度が導入されています。
  • 公費負担医療制度を設けている法律制度には災害救助法母子保健法生活保護法障害者総合支援法難病等医療費助成制度原爆被害者援護法結核予防法などがあります
  • 主な公費負担医療制度には次のようなものがある。
制度 制度内容
1. 災害救助法の規定による医療  非常災害の場合に、災害救助法が発動となったとき、救助としての医療が行われればその限度において療養の給付は行われない
100%が公費負担となるため、被保険者負担は発生しない
2. 生活保護法の規定による医療扶助等

生活保護法、単独の場合は、100%交付負担 

生活保護法により医療扶助と健康保険の保険給付が併用される場合には、原則として、その費用の70%を健康保険が負担し、残りの30%が公費負担となる(自己負担分がすべて公費負担となる)。

3. 結核患者入院医療  感染症法による結核患者に対して入院の勧告または入院の措置が実施された場合、原則として、その費用の70%を健康保険が負担し、残りの30%が公費負担となる(ただし、世帯の所得により月額2万円を限度とする一部負担をする場合もある)。
4. 結核患者通院医療  感染症法による結核患者通院医療を受けるために必要な費用は、その70%を健康保険が負担し、25%を公費が負担し、当該医療に要した費用の5%が被保険者の自己負担額となる。
5. 精神障害通院医療  障害者総合支援法による精神障害通院医療を受ける場合は、その費用の70%が健康保険等が負担し、残りの20%が公費負担、残り10%が被保険者の自己負担となる(ただし、自己負担額には上限がある)。
6. 公害補償法の規定による医療
  1. 補償給付費については全額汚染原因者負担
  2. 公害保健福祉事業費については、2分の1を汚染原因者負担、残り2分の1を公費負担とし、公費負担のうち2分の1(全体の4分の1)を国が、残り2分の1(全体の4分の1)を都道府県または市町村が負担する。
 公害補償法による補償給付の支給がされた場合においては、同一の事由について当該補償給付に相当する給付を支給すべき健康保険等の保険者は、その支給された補償給付の価額の限度で、当該補償給付に相当する健康保険法等による給付を支給する義務を免れる
(昭和50年12月8日保険発110号、庁保険発20号)

 

2.について

通常、生活保護の被保護者は、生活保護の適用を受けた日から国民健康保険等の被保険者資格は喪失するため、社会保険の適用を受けません(生活保護の医療券の支給を受けます)。
ただ、生活保護法における被保護者で、職域保険(健康保険など)に加入している人がわずか(2.4%(平成18年被保護者全国一斉調査))ですが存在していて、その場合の取扱いが上記2.の内容となります。

 

6.について

高度経済成長期に様々な公害(慢性気管支炎、水俣病、イタイイタイ病など)が発生し、多くの人に健康被害が発生しました。その対応として、上記6.のような取扱いがされています。

 

大きな台風により被害を被ったときなどに、災害救助法の適用を受ける場合があります。この場合、全額が公費対象で全額が公費負担となります
この場合、自己負担はありません
このケースには、生活保護法(単独)、原爆被爆者援護法(認定疾病)、感染症法(新感染症・指定感染症)などがあります。

 

生活保護の被保護者には、社会保険に加入していない人(単独と、職域保険(健康保険など)の資格を有している人(併用)がいます。

  1.  単独の場合は、全額が公費対象で全額が公費負担となります(自己負担なし)。
  2.  併用の場合は、医療保険が優先的に適用され、残った自己負担部分が公費負担となります(結果的に自己負担なし)。

 

感染症法において結核は二類感染症に分類され、公費負担制度が適用されています。これには、入院勧告のケースと、一般医療(外来)のケースがあります。

  1.  入院勧告(=結核菌を保有し、結核菌を排出している)の場合は、医療保険が優先的に適用され、残った自己負担部分が公費負担となります(結果的に自己負担なし)。
  2.  通院医療(=結核菌を保有しているが、結核菌を排出していない)の場合は、医療保険が優先的に適用され(70%)、残った自己負担部分の25%が公費負担となります(結果的に5%が自己負担となります)。

 

障害者総合支援法においては、更生医療、育成医療、精神通院医療の制度がありますが、いずれも原則として、10%の自己負担となります(自己負担額には上限があります)。

被保険者が少年院などに収容などされた場合
(被保険者本人に係る保険給付)

 

被保険者または被保険者であった者が、次のいずれかに該当する場合には、疾病負傷または出産につき、その期間に係る保険給付傷病手当金及び出産手当金の支給にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る)は、行われない。(法118条1項)

 

被保険者が少年院などに収容などされた場合
  1.  少年院その他これに準ずる施設収容されたとき。
  2.  刑事施設労役場その他これらに準ずる施設拘禁されたとき。

 

 被保険者が、少年院などに収容などされた場合であっても、死亡に関する保険給付は行われる。(昭和2年2月5日保理490号)

  • 少年院などに収容などされた場合、「公費負担が行われるため保険給付は行われません

     ただしこの給付制限保険給付すべてに一律に行われるのではなく、「死亡に関する給付には行われません

     したがって死亡した場合には埋葬料埋葬費は支給されることになります

被保険者が少年院などに収容などされた場合
被扶養者に係る保険給付)

 

被保険者が少年院などに収容などされた場合であっても、被扶養者に係る保険給付は行われる。(法118条2項)

  • 被保険者が給付制限を受けてもその被扶養者に対する保険給付には影響がなく保険給付は行われます

 

被扶養者本人が少年院などに収容などされた場合にも法118条の規定が準用されるため当該被扶養者に係る保険給付は行われません
(法122条)

 なお、この場合、保険給付が行われないのは、当該被扶養者に係る保険給付だけであり、被保険者や他の被扶養者の保険給付は行われます。

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