健康保険法 保険給付(現金給付)
移送費 傷病手当金 

被保険者療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間傷病手当金が支給される。(法99条1項、附則3条5項)

 

目 次

  1. 移送費
  2. 傷病手当金
    1. 「療養のため」であること
    2. 継続した3日間の待期

 

  • 医師の指示が必要
  • 一時的・緊急的であること
  • 最も経済的な通常経路で算定
  • 医師・看護師の付添交通費は1人まで

 

制度の趣旨

被保険者や被扶養者が病気やけがをして、自力で病院へ行くことが困難な場合に、医師の指示によって緊急的・一時的に移送されたとき、その交通費を健康保険が負担する制度です。

通常の通院交通費は自己負担ですが、一定の要件を満たす場合のみ「移送費」として支給されます。


支給要件

移送費が支給されるためには、次の要件を満たす必要があります。

 

① 病気またはけがであること

健康保険の対象となる疾病・負傷であることが必要です。


② 移動が著しく困難であること

単に歩くのが大変という程度ではなく、

  • 寝たきり
  • 重症患者
  • 救急搬送が必要

など、自力で移動することが難しい状態であることが必要です。


③ 医師の指示があること

患者本人や家族の判断では足りず、

医師が

「移送が必要である」

と認めていることが必要です。


④ 一時的・緊急的な必要があること

通常の通院とは異なり、

  • 緊急入院
  • 高度医療機関への転院

など、特別な事情が必要です。


支給額

支給額は

最も経済的な通常の経路および方法による移送費

によって計算されます。

つまり、

実際に20万円かかったとしても、

通常であれば10万円で移送できるなら

支給額は10万円になります。

また、

実際の支出額を超えて支給されることはありません。


付添人の費用

原則として移送費は患者本人のみが対象です。

しかし、

医師が

移送中に医学的管理が必要

と判断した場合には、

医師・看護師等1名分の交通費も認められます。


医師・看護師への報酬

移送中に医師や看護師が付き添い、

患者がその費用を支払った場合には、

交通費ではなく

療養費

として別途支給されます。

 

傷病手当金

 

  • 任意継続被保険者には支給されない
  • 業務外傷病が対象
  • 労務不能であること
  • 待期は連続3日
  • 公休日・有給休暇も待期に含まれる
  • 同一傷病の再発では待期不要

 

制度の趣旨

傷病手当金は、

病気やけがによって働けなくなり、

給与が受けられなくなった被保険者の生活を保障する制度です。

いわば

「健康保険の休業補償」

といえます。


支給要件

傷病手当金を受けるためには次の4要件が必要です。

 

① 業務外の病気・けがであること

健康保険の制度であるため、

労災事故は対象外です。


 

 

② 療養のためであること

病気やけがの治療・療養のために働けないことが必要です。

ここでいう療養は、

健康保険による治療だけでなく、

自費診療も含まれます。


  • 自費で入院した
  • 自費で手術した

場合でも、

労務不能が証明できれば支給対象になります。


③ 労務不能であること

単に病気であるだけでは足りません。

その病気によって

本来の仕事を行えない状態

であることが必要です。


労務不能と認められる例

  • 入院中
  • 医師から就労禁止指示を受けている
  • 自宅療養中

など


注意

治療は終了しているが障害が残って働けない場合

→ 「療養のため」ではないため支給されません。


 

④ 連続した3日間の待期完成後であること

傷病手当金は、

休んだ初日から支給されるわけではありません。

まず

連続3日間の待期

が必要です。


待期期間とは

例えば

日付 状況
月曜日 休業
火曜日 休業
水曜日 休業
木曜日 傷病手当金支給開始

となります。


「連続」が必要

重要なのは

通算3日ではなく連続3日

という点です。


公休日も待期に含まれる

例えば

  • 金曜日から病気で欠勤
  • 土曜日休み
  • 日曜日休み

なら

金・土・日の3日で待期完成します。


有給休暇でも待期になる

待期期間中に

年次有給休暇を使用していても、

労務不能であれば待期に算入されます。


早退した日の取扱い

勤務中に具合が悪くなって早退した場合、

その日から労務不能であれば、

その日を待期初日として数えることができます


同じ病気で再発した場合

一度待期が完成し、

傷病手当金の支給を受けた後、

同じ病気で再び休業した場合には、

原則として

再度待期を完成させる必要はありません。

 

 

比較

項目 傷病手当金 障害基礎年金・障害厚生年金
初診日の要件 なし あり
保険料納付要件 なし あり
資格取得前傷病 支給可 初診日によっては支給不可
趣旨 所得保障 障害保障
支給事由 療養のため労務不能 障害状態

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