健康保険法
傷病手当金の支給額

傷病手当金の額は、原則として、1日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額とする。(法99条2項)

 

まとめ

覚えるべきポイントは次の5つです。

 

① 計算式

平均標準報酬月額 ÷30 ×2/3

 

② 平均対象

支給開始日以前の

直近継続12か月


③ 12か月未満

  • 実際の平均
  • 前年9月30日の全被保険者平均

の低い方


④ 任意継続期間

同一保険者なら平均計算に含む


⑤ 端数処理

30分の1 → 10円未満四捨五入

×2/3 → 1円未満四捨五入

 

目 次

  1. 傷病手当金の支給額
    1. 端数処理(健康保険法・国民年金法・厚生年金保険法)

傷病手当金の支給額

傷病手当金とは

病気やけがで働けず、

給与が支給されない(または減額される)

ときの所得補償です。


支給額の基本式

1日あたり

直近12か月の標準報酬月額平均 ÷30 ×2/3

 

法律上は

標準報酬月額の平均額の30分の1相当額の3分の2

と表現されています。


計算例

例えば

月 標準報酬月額
過去12か月 30万円

の場合


① 平均

30万円


② 30分の1

300,000 ÷ 30 =10,000円


③ 3分の2

10,000 × 2/3 =6,666.66円


④ 1円未満四捨五入

6,667円


これが1日当たりの傷病手当金です。

なぜ3分の2なのか

昔の制度設計では

生活費の大部分を補償できればよい

という考え方でした。

そのため 給与の100%ではなく

約67%(3分の2)

となっています。


被扶養者の有無は関係ない

よく出るひっかけです。

例えば

  • 妻あり
  • 子ども3人

でも

  • 独身

でも

傷病手当金額は同じです。


影響するのは

標準報酬月額

だけです。


12か月ない場合

入社後すぐ病気になるケースです。


例

4か月しか加入していない

↓

12か月平均が計算できない


その場合

次の2つを比較します。


A

実際の加入期間の平均


例

4か月平均

28万円


B

前年9月30日における

全被保険者の平均標準報酬月額

を基礎にした額


判定

AとBの

いずれか少ない額

を使います。

資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受ける場合

 

退職などにより健康保険の資格を喪失した後であっても、

一定の要件を満たせば、

傷病手当金の継続給付

を受けることができます。(法104条)

この継続給付について、

資格喪失後に初めて傷病手当金の支給を開始する場合

には、標準報酬月額の平均を計算する際の基準日に注意が必要です。


「支給開始日」ではなく「資格喪失日の前日」が基準

通常、傷病手当金は、

傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近12か月間

の標準報酬月額を基礎として計算します。

しかし、

資格喪失後に法104条の継続給付として傷病手当金の支給を始める場合 には、

「傷病手当金の支給を始める日」 を

「資格を喪失した日の前日」

と読み替えて計算します。(則84条の2第1項)

また、

「被保険者が現に属する保険者等」

についても、

資格喪失日の前日にその者が属していた保険者等

と読み替えます。

つまり、

退職後に傷病手当金の支給が始まったからといって、退職後の日を基準として12か月を遡るわけではありません。

基準となるのは、

資格喪失日の前日


具体例

例えば、

3月31日 退職

4月1日 健康保険の資格喪失

その後、

4月10日から傷病手当金の継続給付の支給が始まった とします。

この場合、

基準となるのは

4月10日ではなく、資格喪失日の前日である3月31日 です。

したがって、

3月31日の属する月以前の直近の継続した12か月間

の標準報酬月額を基礎として、傷病手当金の額を計算します。


ポイント

通常

傷病手当金の支給開始日を基準にする

↓

資格喪失後に継続給付として支給を開始する場合

資格喪失日の前日を基準にする

という違いがあります。

任意継続期間を含める

任意継続被保険者には

傷病手当金は原則支給されません。

しかし 支給額計算に使う

「直近12か月平均」

を求める際には

同じ保険者の

任意継続期間の標準報酬月額も含めます。


例

協会けんぽ

↓

任意継続3か月

↓

再就職して協会けんぽ加入

↓

傷病手当金発生


この場合 任意継続時代の標準報酬月額も

平均計算に含めます。


端数処理(超頻出)

傷病手当金は

2回端数処理

があります。


第1段階

平均標準報酬月額

↓

30分の1

 

ここで

10円未満四捨五入


第2段階

その後

↓

3分の2

 

ここで

1円未満四捨五入


例

平均標準報酬月額

310,000円


① 30分の1

310,000 ÷ 30 =10,333.333…

↓

10円未満四捨五入

10,330円


② 3分の2

10,330 × 2/3 =6,886.666…

↓

1円未満四捨五入

6,887円


 

 

端数処理(健康保険法・国民年金法・厚生年金保険法)

端数処理 健康保険法 国民年金法 厚生年金保険法
1円未満切捨て   支払期月ごとの支払額
(切捨てた金額の合計額は2月の支払期月の年金額に加算)
1円未満四捨五入 傷病手当金の1日分の額
  • 年金給付(保険給付)を受ける権利の裁定をする場合の額
  • 年金給付(保険給付)の額を改定する場合の額
10円未満四捨五入
  • 一部負担金
  • 傷病手当金の直近の継続12月間の各月の標準報酬月額の平均額の30分の1相当額
― ―
100円未満四捨五入 ―
  • 基礎年金額
  • 加算額
  • 加給年金額
  • 障害基礎年金の最低保障額
  • 遺族厚生年金の中高齢寡婦加算額
1,000円未満切捨て 標準賞与額 ― 標準賞与額
10,000円未満四捨五入 ― ― 支給停止調整額

 

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