健康保険法
療養の給付

健康保険法第63条は、被保険者の疾病または負傷に対して行われる「療養の給付」の範囲を定めています

 

目 次

  1. 健康保険組合における付加給付
  2. 療養の給付の範囲
  3. 療養の給付とは認められないもの
  4. 異常分娩・正常分娩・人工妊娠中絶
  5. 健康診断
  6. 療養の給付の受給方法
  7. 資格確認書

健康保険組合における付加給付

 
 

 

付加給付として認められないもの

 

健康保険法の目的を逸脱するもの、または、この制度で定める医療の内容または医療の給付の範囲を超えるもの、若しくは保健施設的なもの廃止する。(昭和32年2月1日保発3号)

家族療養費付加金(=規約による被扶養者に係る一部負担金の還元)」についてはこの制度で定める医療の給付の範囲を超えるものですが、「現に療養に要した費用の範囲内で実施することは、差し支えないこととされています。(昭和32年2月1日保発3号)

付加給付は、法定給付期間を超えるものについては、廃止する。ただし、「傷病手当金付加金」については、法定の支給期間満了後も規約で定める期間において実施することは差し支えない延長傷病手当金付加金制度)。(昭和32年2月1日保発3号)

被保険者期間により差の生ずる給付および受給の機会均等を害するおそれがあるところの、特定の医療機関に受給した場合に限り家族療養費の付加給付を認めるなど医療機関により差の生ずる給付廃止する(昭和32年2月1日保発3号)

健康保険法の目的を逸脱するもの 法律が定める疾病、負傷、出産または死亡に関する給付という目的から外れるもの
健康保険制度で定める医療の内容または給付の範囲を逸脱するもの 法定給付として定められた範囲(療養の給付など)を超える医療行為や費用の給付 しかし、「家族療養付加金(= 一部負担金の還元)」は、現に療養に要した費用範囲内で実施することとが例外的に認められている。
保健施設的なもの 医療の提供や保健事業の範ちゅうを超える、単なる施設提供的な性質を持つ給付
法定給付期間を超えるもの 傷病手当金などの法定の支給期間(通常1年6か月)を超える給付 しかし、「傷病手当金付加金」は、法定の期間満了後も、規約で定める期間についての延長傷病手当金として、付加給付制度とは例外的に認められている。
被保険者期間により差の生ずる給付 被保険者期間の長短によって、給付の内容や額に差を設けるもの
医療機関により差の生ずる給付 特定の医療機関で受給した場合に限り付加給付を認めるなど、受給の機会均等等を害するおそれがある給付

過去3年間において、一定の給付費等臨時補助金を受けたことがある健康保険組合については、新たに「家族療養付加金」及び「合算高額療養費付加金」を実施することはできない。(昭和35年11月7日保発70号)

  • 健康状態の回復を目的とした栄養補給金の支給は、「健康保険法の医療の内容を超えるものとして認められません

療養の給付の範囲

 

被保険者疾病または負傷に関しては、コチラに掲げる療養の給付を行う。(法63条1項)

療養の給付とは認められないもの

次に掲げる療養に係る給付は、療養の給付に含まれないものとする。(法63条2項)

 

1 食事療養 食事の提供である療養であって入院療養と併せて行うもの(特定長期入院被保険者に係るものを除く)
2 生活療養 次に掲げる療養であって入院療養と併せて行うもの特定長期入院被保険者に係るものに限る
  • 食事の提供である療養
  • 温度照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養
3 評価療養 厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養(患者申出療養を除く)として厚生労働大臣が定めるもの
4 患者申出療養   高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、前項の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの
5 選定療養 被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養
  • 「療養の給付」としてではなく、食事療養には「入院時食事療養費」が、特定長期入院被保険者に係る生活療養には「入院時生活療養費」が、それぞれ支給されます。

美容目的の整形隆鼻術など)など一般的に病気とみなされないものについては、保険給付の対象にならない。(昭和27年6月20日保険発157号)

診察には往診による診察も認められるが、往診に要した交通費については保険者は負担しない

治ゆ後に体力回復のために保養施設に入所した場合は、療養の給付の対象とならない。(昭和2年保理165号)

 

異常分娩・正常分娩・人工妊娠中絶

 

正常分娩は、医師の手当を受けても療養の給付の範囲外となり、その費用は被保険者の負担となる。(昭和17年2月27日社発206号)

  • 正常分娩自然に陣痛が始まり頭から赤ちゃんが生まれてくるような出産傷病ではないため、「療養の給付には含まれません

 

医師の手当を必要とする異常分娩」の場合保険医療機関等において手当を受けたときは、療養の給付として取り扱われる。(昭和17年2月27日社発206号)

  • 分娩において手術的処置を行ったり一定時間以上かかったりするような場合帝王切開など異常分娩といいます異常分娩は、「療養の給付とされます

 

人工妊娠中絶は、経済的理由以外の理由によるものは療養の給付の対象となるが、単に経済的理由によるものは、療養の給付とはならない。(昭和27年6月16日保文発2427号)

 

健康診断

 

  • 定期健康診断により初めて結核症と決定された患者について、その時のツベルクリン反応血沈検査エックス線検査などの費用は保険給付の対象とならない。(昭和28年4月3日保険発59号)
  • 健康診断の結果、疾病の疑いがあると診断された被保険者が精密検査を行った場合は、その精密検査が集団検診の一環としてあらかじめ計画されたものでないときには、療養の給付の対象となる。(昭和39年3月18日保文発176号)

 

療養の給付の受給方法

 

療養の給付を受けようとする者は、保険医療機関等のうち、自己の選定するものから、電子資格確認により、被保険者であることの確認を受け、療養の給付を受けるものとする。(法63条3項)

  • 健康保険証被保険者証が廃止されマイナンバーカードによるオンライン資格確認が原則となりますただしマイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある者マイナンバーカードを紛失した・更新中の者介護が必要な高齢者やこどもなどマイナンバーカードを取得していない者などが必要な保険診療等を受けられるよう各医療保険者等は医療機関等を受診する際の資格確認のための資格確認書書面または電磁的方法専用アプリなどにより提供することとなっています

  • 法63条3項における「厚生労働省令で定める方法」は、次の通りである。(則53条1項)
厚生労働省令で定める方法
  1.  個人番号カードに記録された利用者証明用電子証明書を送信する方法
  2.  資格確認書を提出し、または提示する方法
  3.  処方せんを提出する方法(保険薬局等から療養を受けようとする場合に限る
  4.  保険医療機関等、保険薬局等または指定訪問看護事業者が、過去に取得した療養または指定訪問看護を受けようとする者の被保険者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む)を用いて、保険者に対し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、あらかじめ照会を行い、保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法(当該者が当該保険医療機関等若しくは保険薬局等から療養(居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護または居宅における薬学的管理及び指導に限る)を受けようとする場合または当該指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けようとする場合であって、当該保険医療機関等、保険薬局等または指定訪問看護事業者から電子資格確認による確認を受けてから継続的な療養または指定訪問看護を受けている場合に限る
  5.  個人番号カードとともに、保険者等から被保険者に対して通知された資格情報通知書を提示する方法(令和6年厚労告349号)
  6.  個人番号カードとともに情報提供等記録開示システムを通じて取得した当該被保険者又は被扶養者の資格に係る情報が記録されたものを提示する方法(令和6年厚労告349号)
  7.  利用者証明用電子証明書の発行を受けた者が、当該利用者証明用電子証明書の有効期間が満了した日から当該日の属する月の末日から3か月を経過するまでの間において、当該利用者証明用電子証明書に記録された利用者証明利用者検証符号に対応する利用者証明利用者符号を用いた本人確認を受けた上で、保険者等に対し、被保険者又は被扶養者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保険者等から回答を受けて当該情報を療養の給付を受けようとする保険医療機関等又は指定訪問看護を受けようとする指定訪問看護事業者に提供し、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から被保険者又は被扶養者であることの確認を受ける方法

 

資格確認書

 

 2025改正被保険者又はその被扶養者が電子資格確認を受けることができない状況にあるときは、当該被保険者は、保険者に対し、当該状況にある被保険者若しくはその被扶養者の資格に係る情報として厚生労働省令で定める事項を記載した書面の交付資格証明書)または当該事項の電磁的方法による提供を求めることができる。この場合において、当該保険者は、速やかに、当該書面の交付の求めを行った被保険者に対しては当該書面を交付するものとし、当該電磁的方法による提供の求めを行った被保険者に対しては当該事項を電磁的方法により提供するものとする。(法51条の3第1項)

  2025改正書面の交付又は電磁的方法による提供を求める申請者は、申請書を保険者に提出して、その交付又は提供を申請しなければならない。この場合において、当該申請書の提出は、申請者が任意継続被保険者である場合を除き、事業主を経由して行うものとする。ただし、災害その他やむを得ない事情により、事業主を経由して行うことが困難であると保険者が認めるときは、事業主を経由することを要しない。(則47条1項)

 2025改正保険者は、申請者(任意継続被保険者を除く)に資格確認書を交付しようとするときは、これを事業主に送付しなければならない。ただし、保険者が支障がないと認めるときは、これを申請者に送付することができる。(則47条5項)

 2025改正資格確認書の送付があったときは、事業主は、遅滞なく、これを申請者に送付しなければならない。(則47条6項)

 資格確認書の有効期限は交付又は提供の日から起算して5年を超えない範囲内において保険者が定めるものとされています。(則47条2項)

 保険者は、「毎年一定の期日を定め資格確認書の検認若しくは更新又は被扶養者に係る確認をすることができます。(則50条1項)

  • 任意継続被保険者又は特例退職被保険者の場合は資格確認書は保険者から被保険者に直接送付されます

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