健康保険法
埋葬料

被保険者死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額が支給される。(法100条1項)

 

埋葬料・埋葬費・家族埋葬料の違い

給付の種類 支給対象 支給額
埋葬料 被保険者に生計を維持され、埋葬を行った者 定額5万円
埋葬費 埋葬料を受ける者がいない場合に、実際に埋葬費用を負担した者 実費(上限5万円)
家族埋葬料 被扶養者が死亡した場合の被保険者 定額5万円

 

目 次

  1. 埋葬料
  2. 埋葬費
  3. 家族埋葬料
  4. 家族埋葬料の額
  5. 死産の場合

埋葬料

 

被保険者が死亡したときは、その者によって生計を維持されていた者であり、かつ埋葬を行った者に対して、埋葬料が支給されます。(健康保険法100条1項)

埋葬料は、政令で定める定額が支給され、現在の支給額は5万円です。(健康保険法施行令35条)

 

支給要件

埋葬料の支給を受けるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 被保険者によって生計を維持されていたこと
  2. 実際に埋葬を行ったこと

この2つの要件を満たしていれば、配偶者や子だけでなく、その他の親族等であっても支給対象となることがあります。

また、単身者が死亡した場合であっても、生計維持関係が認められる者が埋葬を行えば、埋葬料が支給される場合があります。

 

埋葬料は、死亡原因を問いません。

病気や事故による死亡だけでなく、自殺による死亡であっても支給されます。(昭和26年3月19日保文発721号)

参考

労災保険の「葬祭料」は、「葬祭を行った者」に支給される制度であり、「生計維持」の要件はありません。

埋葬費

 

埋葬料を受けることができる者がいない場合には、実際に埋葬を行った者に対して「埋葬費」が支給されます。(健康保険法100条2項)

支給額は、実際に要した埋葬費用の額ですが、埋葬料の額(5万円)が上限となります。

 

支給要件

次の両方を満たす必要があります。

  1. 埋葬料を受けるべき者がいないこと
  2. 実際に埋葬費用を負担したこと

家族埋葬料

 

被保険者の被扶養者が死亡したときは、被保険者に対して家族埋葬料が支給されます。(健康保険法113条)

 

被扶養者の判定

例えば、別居している兄弟がともに健康保険の被保険者であり、父親が弟と同居している一方、兄弟双方から生活費の援助を受けていた場合には、父親は弟の被扶養者として取り扱われます。

そのため、父親が死亡した場合の家族埋葬料は、弟である被保険者に支給されます。(昭和23年4月28日保発623号)

家族埋葬料の額

 

家族埋葬料は、現在、5万円である。(健康保険法施行令35条

  • 定額の5万円です

死産の場合

 

死産した胎児(死産児)は、健康保険法上の被扶養者には該当しません。

そのため、家族埋葬料は支給されません。(昭和23年12月2日保文発898号)


出生後すぐに死亡した場合

出生後に生存していた子が、その後2~3時間程度で死亡した場合には、その子は被扶養者に該当するため、家族埋葬料が支給されます。

この場合、戸籍に氏名が記載されていなくても、出生および死亡の事実を証明できれば支給対象となります。(昭和22年7月3日保発797号)

埋葬料と埋葬費の支給額・添付書類の違い

 

埋葬料は定額5万円

被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持されていた者であって、埋葬を行う者に対して、埋葬料が支給されます。

埋葬料として支給されるのは、実際に埋葬に要した費用ではなく、政令で定める定額5万円です。(健康保険法100条1項、健康保険法施行令35条)

したがって、実際の葬儀費用が5万円未満であっても、埋葬料は原則として5万円が支給されます。

また、実際の葬儀費用が5万円を超えていても、埋葬料の支給額が増えることはありません。


埋葬料では葬儀費用の領収書は不要

埋葬料は実費精算ではなく定額給付であるため、支給申請の際に「埋葬に要した費用の金額に関する証拠書類」を添付する必要はありません。

この証拠書類の添付が必要となるのは、埋葬料ではなく、実際に要した費用を基準として支給される埋葬費です。(健康保険法施行規則85条2項2号)


埋葬費は実費支給

埋葬料を受けることができる者がいない場合には、実際に埋葬を行った者に対して、埋葬費が支給されます。

埋葬費の支給額は、

実際に埋葬に要した費用

となりますが、5万円が上限です。

そのため、埋葬費を申請する際には、領収書など、埋葬に要した費用の金額を証明する書類を添付しなければなりません。(健康保険法100条2項、健康保険法施行規則85条2項2号)


埋葬費に含まれる費用

埋葬費の対象となるのは、死亡した者の埋葬に直接必要となった費用です。

主な対象費用は、次のとおりです。

  • 霊柩車の料金または霊柩車の借料
  • 遺体を運搬するための人夫賃
  • 葬式の際の霊前供物代
  • 僧侶に対する謝礼

(昭和2年2月28日保理765号、昭和2年4月18日保発925号)

一方、次の費用は、原則として埋葬費の対象にはなりません。

  • 葬式の際の飲食代
  • 香典返しの費用
  • 入院中の患者が死亡した場合に、遺体を病院から自宅まで移送する費用

入院患者が死亡した後、自宅へ移送する費用は、埋葬そのものに直接必要な費用とは認められないため、埋葬費の対象外とされています。


埋葬料と埋葬費の違い

項目 埋葬料 埋葬費
支給対象者 被保険者により生計を維持され、埋葬を行う者 埋葬料を受ける者がいない場合に、実際に埋葬を行った者
支給額 定額5万円 実費(上限5万円)
葬儀費用の証明 原則不要 必要
領収書等の添付 不要 必要
根拠条文 健康保険法100条1項 健康保険法100条2項

 

ポイント

埋葬料は定額給付、埋葬費は実費給付です。

この違いにより、埋葬料では葬儀費用の領収書等は不要ですが、埋葬費では費用額を証明する書類が必要となります。

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