徴収法
有期事業の一括

建設業や立木伐採業では、

  • 工事ごと
  • 伐採ごと

に労保険の保険関係が成立します

例えば建設会社が

  • A工事
  • B工事
  • C工事

を同時に請け負っている場合、本来ならそれぞれについて

  • 保険関係成立届
  • 概算保険料申告
  • 確定保険料申告

が必要になります。

しかし小規模工事が多数ある場合、

事務量が膨大になります。

そこで、

複数の小規模な有期事業を1つの事業としてまとめる制度

が「有期事業の一括」です。


 

なぜ一括制度があるのか

徴収法の目的の一つは、

労働保険事業の効率的な運営

です。

例えば年間100件の小規模工事を行う会社が、

100回も保険関係成立届を提出するのは非効率です。

そのため一定の条件を満たす場合には、

法律上当然に一括されます。

 

覚えるべき数字は次の3つです。

要件 数字
概算保険料相当額 160万円未満
建設事業 1億8,000万円未満
立木伐採事業 1,000㎥未満

そしてポイントは、

✅ 「労働者数」は要件ではない

✅ 「同時に行われること」が必要

✅ 「160万円未満」は絶対要件

✅ 「1億8,000万円未満」「1,000㎥未満」とは かつ の関係

です。

 

目 次

  1. 一括の要件
  2. 有期事業の一括の規模要件
  3. 一括有期事業報告書

一括の要件(6要件)

 

次のすべてを満たす必要があります。


① 事業主が同一人であること

同じ会社でなければなりません。

○  A建設株式会社の工事Aと工事B

× A建設株式会社とB建設株式会社


② すべて有期事業であること

有期事業とは、

終了予定がある事業です。

代表例

  • 建設工事
  • 立木伐採

③ 建設事業または立木伐採事業であること

対象は

  • 建設事業
  • 立木伐採事業

のみです。

製造業や運送業は対象外です。


④ 同時に行われていること

通達では、

時期的に多少なりとも重複していること

とされています。

 

4月~8月 工事A

6月~10月 工事B

→ 重複あり


 

1月~3月 工事A

4月~6月 工事B

→ 重複なし


⑤ 同じ事業の種類であること

労災保険率表の事業種類が同一でなければなりません。

○ 建築工事同士

○ 道路工事同士

× 道路工事と港湾工事

(保険率が異なる)


⑥ 保険料納付事務を一括事務所で行うこと

労働保険事務を

1つの事務所で管理する必要があります。

有期事業の一括の規模要件

6要件に加えて、

各事業が一定規模未満である必要があります。


第1要件(絶対要件)

各事業の

概算保険料相当額

が 160万円未満

であること。

これは必須です。


第2要件

さらに次のいずれかに該当します。

 

建設事業

請負金額 1億8,000万円未満(消費税除く)


立木伐採事業

素材見込生産量 1,000㎥未満


 

要件の関係

規模要件は

160万円未満  +  建設 → 1億8,000万円未満 又は
160万円未満  + 立木 → 1,000㎥未満


です。

つまり

「または」ではなく「かつ」

です。


 

具体例

建設工事

  • 概算保険料相当額 120万円
  • 請負金額 1億5,000万円

→  一括可能


建設工事

  • 概算保険料相当額 170万円
  • 請負金額 1億円

→  160万円以上なので不可


建設工事

  • 概算保険料相当額 100万円
  • 請負金額 2億円

→ 請負金額超過で不可


一括開始後の扱い

一括有期事業を開始すると、

最初にだけ

保険関係成立届

を提出します。

その後は、

一括が継続している限り、

個々の工事ごとの保険関係成立届は不要です。

事業の一括(有期事業/請負事業/継続事業)

 

① 有期事業の一括(小規模だから一括)

要件 内容
要件① 概算保険料 160万円未満
要件②(いずれか該当) 【建設業】請負金額 1億8,000万円未満
【立木の伐採】素材の見込生産量 1,000㎥未満
結論 ①+②を満たすと一括

② 請負事業の一括(原則)

原則 一括に制限なし

③ 下請負事業の分離(大規模だから分離

条件(いずれか) 概算保険料 160万円以上
または 請負金額 1億8,000万円以上
結論 条件に該当すると 下請負事業は分離

④ 継続事業の一括

取扱い 内容
原則 一括に制限なし

 

 

金額基準と場面

 

金額 場面
1億8,000万円 有期事業の一括【1億8,000万円未満】/請負事業の一括からの分離【1億8,000万円以上】
1億1,000万円 有期事業のメリット制【1億1,000万円以上】

一括有期事業報告書

ポイントは次の3つです。

項目 内容
提出先 所轄都道府県労働局歳入徴収官
提出期限 6月1日から40日以内(7月10日まで)
保険関係消滅時 消滅日から50日以内

そして最重要事項は、

一括有期事業報告書は、確定保険料申告書に加えて提出するものであり、確定保険料申告書に代わるものではない。

という点です。

 

一括有期事業報告書

有期事業の一括制度では、多数の小規模工事等をまとめて一つの保険関係として取り扱います。

そのため行政側は、

  • どの工事が終了したのか
  • どの工事が廃止されたのか
  • それぞれの工事の規模はどうだったのか

を把握する必要があります。

そこで提出するのが

一括有期事業報告書

です。

これは、一括されている個々の事業の状況を報告するための書類です。


 

報告内容

報告書には、

前年度中または保険関係消滅日までに

  • 終了した事業
  • 廃止した事業

について、

その事業ごとの明細を記載します。

つまり、

「一括された事業の内訳報告書」

と考えると理解しやすいです。


提出期限

 

通常の場合

次の保険年度の6月1日から起算して40日以内

となります。

したがって、

6月1日+40日  →  7月10日


までに提出しなければなりません。
 

保険関係が消滅した場合

一括有期事業の保険関係が消滅したときは、

消滅日から50日以内

に提出します。


確定保険料申告書との関係

ここが非常に重要です。

混同しやすいポイントです。


誤解しやすい考え方

「一括有期事業報告書を提出するなら、確定保険料申告書はいらないのでは?」

これは誤りです。


正しい取扱い

一括有期事業の事業主は、

① 確定保険料申告書

② 一括有期事業報告書

の両方を提出しなければなりません。


 

なぜ両方必要なのか

役割が異なるからです。

 

確定保険料申告書

→ 保険料額を確定するため


一括有期事業報告書

→ 個々の工事等の内容を報告するため


したがって、

どちらか一方で代用することはできません。

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー