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遺族基礎年金の失権とは受給権そのものが消滅することで、支給停止とは受給権は保持しつつ一定期間年金の支払いが止まることです。それぞれの主な要件は以下の通りです。
目次
遺族補償による支給停止(すべての遺族基礎年金に共通)
遺族基礎年金は、当該被保険者または被保険者であった者の死亡について、労働基準法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときは、死亡日から6年間、その支給が停止される。(法41条1項)
子に対する遺族基礎年金の支給停止
子に対する遺族基礎年金は、次の場合には支給が停止される。(法41条2項)
| 子に対する遺族基礎年金の支給停止 |
|---|
|
配偶者と子が存在している場合、「配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき」は「子の遺族基礎年金」は支給停止されます(配偶者>子)。
ただし、かっこ書きにあるように、配偶者に対する遺族基礎年金が、
は、子に対する遺族基礎年金は支給停止されません。
【配偶者が遺族基礎年金の支給停止を申し出た場合の一般的な流れ】
所在不明による支給停止
配偶者に対する遺族基礎年金は、配偶者の所在が1年以上明らかでないときは、遺族基礎年金の受給権を有する子の申請によって、その所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、その支給が停止される。(法41条の2第1項)
配偶者は、いつでも、支給の停止の解除を申請することができる。(法41条の2第2項)
配偶者に遺族基礎年金が支給されている場合において、配偶者の所在不明が1年以上に及ぶときは、子の申請によって、所在不明となったときにさかのぼって配偶者の遺族基礎年金が支給停止されます。
遺族基礎年金の受給権を有する子が2人以上ある場合において、その子のうち1人以上の子の所在が1年以上明らかでないときは、その子に対する遺族基礎年金は、他の子の申請によって、その所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、その支給が停止される。(法42条1項)
遺族基礎年金の支給を停止された子は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。(法42条2項)
子に対する遺族基礎年金が2人に対して支給されているケースを見ていきます。
| 項目 | 所在不明の届出(則23・38・53・60条) | 遺族基礎年金(法41条の2・42条) |
|---|---|---|
| 所在不明の要件 | 年金給付の受給権者が 1か月以上 所在不明 | 遺族基礎年金を受ける 配偶者(又は子) が 1年以上 所在不明 |
| 行為者 | 受給権者の属する世帯の世帯主、その他その世帯に属する者 | ・配偶者が所在不明 → 遺族基礎年金の受給権を有する子 ・子が所在不明 → 遺族基礎年金の受給権を有する他の子 |
| 行為 | 届出(義務) | 申請(任意)(※子が申請しなければ停止できない) |
| 結果 | 行政による 生存確認・所在確認 | 所在不明となった時まで さかのぼって支給停止 |
配偶者と子に共通する失権事由
遺族基礎年金における配偶者と子に共通する失権事由は、次の通りである。(法40条1項)
| 配偶者と子に共通する失権事由 |
|---|
|
【具体例①】
配偶者と子が残されたケースを考えていきます。
すなわち、すべての子が、直系血族または直系姻族以外の養子になると、配偶者及び子ともに、遺族基礎年金の受給権を失権することになります。
【具体例②】
では、この子が直系血族または直系姻族の養子となったケースもみてみます。
すなわち、すべての子が、直系血族または直系姻族の養子になると、
【具体例③】
死亡した夫には、連れ子がいたケースも考えてみます。
すなわち、子が配偶者の養子になっても、配偶者及び子ともに、遺族基礎年金の受給権を失権しないことになります。
【具体例④】
配偶者と子が残されたケースを考えていきます。
妻が子を連れて再婚した場合には、妻の受給権は、法40条1項2号(婚姻をした)に該当するため失権します。
子の受給権は失権しませんが、
生計を同じくする母がいるため、支給が停止されます。
その後、再婚した夫がこの子と養子縁組を結んだときも、「直系血族または直系姻族の養子となったとき」に該当するため、子の受給権は失権しません。
これまで同様に、生計を同じくする父または母がいる間は、支給が停止されます。
配偶者のみの失権事由
配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、すべての子が法39条3項の減額改定事由に該当するときは、失権する。(法40条2項)
| 配偶者のみの失権事由(すべての子が次の要件に該当したとき) |
|---|
|
「すべての子が、減額改定事由のいずれかに該当する」ということは、ようするに「子のある配偶者ではなくなる」ことを意味します。
| 制度 | 失権(受給権がなくなる) | 減額改定(年金額が下がる) |
|---|---|---|
| 遺族(補償)等年金 | 直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったときの受給権 | ― |
| 遺族基礎年金 | 直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったときの受給権 すべての子が、配偶者以外の者の養子となったときの配偶者の受給権 → 「子のない配偶者」 | 子のうち1人を除いた子が、配偶者以外の者の養子となったときの年金額(子の加算額相当額) |
| 遺族厚生年金 | 直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったときの受給権 | ― |
| 寡婦年金 | 直系血族又は直系姻族以外の者の養子となったときの受給権 | ― |
| 障害基礎年金 | ― | 子が受給権者の配偶者以外の者の養子となったときの年金額(子の加算額相当額) |
子のみの失権事由
| 子のみの失権事由 |
|---|
|
| 具体例 |
|---|
→ 「配偶者」の受給権は失権する(配偶者のみの失権事由の事由3.により)。 → 「子」の受給権は失権しない(配偶者と子に共通する失権事由の事由3.かっこ書により)。
→ 「配偶者」の受給権は失権する(配偶者のみの失権事由の事由3.により)。 → 「子」の受給権は失権する(配偶者と子に共通する失権事由の事由3.により)。
→ 「配偶者」の受給権は失権しない。 → 「子」の受給権は失権しない。
→ 「配偶者」の受給権は失権する(配偶者のみの失権事由の事由5.により)。 → 「子」の受給権は失権しない。 |
| 制度 | 障害の有無の判定時点 | 障害状態が続いた場合の失権 |
|---|---|---|
| 遺族(補償)等年金 | 労働者の死亡当時 | 失権しない(※18歳年度末で失権しない/20歳で失権しない) |
| 遺族基礎年金・遺族厚生年金 | 18歳に達した日以後最初の3月31日の終了まで | 原則:18歳年度末で失権せず20歳で失権 ※「20歳前の傷病による障害基礎(厚生)年金」に切り替わる |
要するに、
労災の遺族(補償)等年金:子の障害は「死亡当時」で見て、以後の年齢到達で自動失権する整理ではない。
遺族基礎・遺族厚生:基本は18歳年度末が区切りだが、障害が続く場合は20歳で失権(さらに20歳前障害への切替)という整理、です。
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