厚生年金保険法 
遺族厚生年金の額

遺族厚生年金の年金額は、亡くなった方の「老齢厚生年金(報酬比例部分)」の額 × 3/4(4分の3)75%となります。

※ 報酬比例部分とは、給与(標準報酬)や賞与に基づく年金の部分です

 

目 次

  1. 遺族厚生年金の額①(原則)
  2. 遺族厚生年金の額②(老齢厚生年金の受給権者である65歳以上の配偶者の場合)
  3. 中高齢の寡婦加算
  4. 中高齢の寡婦加算の額
  5. 中高齢の寡婦加算の加算期間
  6. 参照 遺族基礎年金の額

遺族厚生年金の額①(原則)

 

遺族厚生年金の額は、原則として、死亡した者老齢厚生年金報酬比例部分)の額の4分の3に相当する額である。
(法60条1項、昭和60年附則59条1項、附則別表第7)

 

遺族厚生年金の額①短期要件の場合
((平均標準報酬月額)×(7.125/1,000)×(平成15年3月までの被保険者月数
+(平均標準報酬額)×(5.481/1,000)×(平成15年4月以後の被保険者月数))×3/4
遺族厚生年金の額①(長期要件の場合
((平均標準報酬月額)×(7.125~9.5/1,000)×(平成15年3月までの被保険者月数
+(平均標準報酬額)×(5.481/1,000~7.308/1,000)×(平成15年4月以後の被保険者月数))×3/4

 

まず前提として、遺族厚生年金の額は「亡くなった方がもらえたはずの老齢厚生年金の報酬比例部分」を基準に計算し、その一定割合を遺族が受け取る仕組みです。

そして計算は、大きく次の3ステップです。

① 亡くなった方の「平均的な給料額」を出す
② 加入していた「月数」を掛ける
③ 最後に一定割合(原則3/4など)を掛ける

 


① 短期要件の場合(原則3/4になるケース)

 

短期要件とは、現役世代などが亡くなった場合に適用されるものです。

計算の流れは次のとおりです。

 

【ステップ1】平成15年3月以前と以後で分ける

制度改正があったため、加入期間を2つに分けます。

  • 平成15年3月まで

  • 平成15年4月以後

それぞれで計算します。

 

【ステップ2】それぞれを計算する

■ 平成15年3月まで
平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × その期間の月数

■ 平成15年4月以後
平均標準報酬額 × 5.481/1000 × その期間の月数

この2つを足します。

 

【ステップ3】最後に「3/4」を掛ける

合計額 × 3/4

これが遺族厚生年金の年額になります。

つまり短期要件は、

「本来の厚生年金額の報酬比例部分 × 75%」

と考えると理解しやすいです。


② 長期要件の場合

 

長期要件とは、老齢厚生年金を受け取れる資格を満たした人が亡くなった場合などです。

計算の基本構造は同じですが、掛ける率が生年月日によって変わります

 

■ 平成15年3月まで
平均標準報酬月額 ×(7.125~9.5)/1000 × 月数

 

■ 平成15年4月以後
平均標準報酬額 ×(5.481~7.308)/1000 × 月数

※率は生年月日が古いほど高くなります。

長期要件の場合は、短期要件のように最後に「3/4」を掛ける形ではなく、最初からその人に対応する率で計算します。


 

とても簡単に言うと

遺族厚生年金は、

「平均的な給料 × 加入月数 × 一定の率」

で計算します。

  1. 平成15年3月以前と以後で計算方法が少し違う

  2. 短期要件は最後に3/4を掛ける

  3. 長期要件は生年月日に応じて率が変わる

この3点を押さえると、式が整理できます。

 

 

  • 死亡した者が老齢基礎年金と老齢厚生年金を繰上げ受給していた場合遺族に支給される遺族厚生年金の額は、「繰上げ減額前の4分の3相当額となります
    法60条1項には、「第43条第1項の規定の例により計算した額の4分の3に相当する額」と記載があります。ダイレクトに、死亡した者が受け取っている「老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する額」とは表現していません。
    また、障害厚生年金の額について規定している法50条1項においても、「第43条第1項の規定の例により計算した額」とする旨が規定されています。
    すなわち、いずれの場合も共通しているのは、繰上げ又は繰下げによる老齢厚生年金の増減後の額を基礎とするのではなく、本来の報酬比例部分の額を基礎として計算されるという点です。
    さらに、補足すると、遺族基礎年金は、いかなる場合であっても定額です。これも、死亡した者が繰上げ受給をしていても減額の影響は受けないと解釈することができます。
  • 「繰下げ」受給していた場合も同様です。遺族厚生年金は、死亡した者が老齢厚生年金を繰下げていても、繰上げていても、本来の報酬比例部分の額に基づき計算されます。
     例えば、報酬比例部分の本来額が100万円の者が、繰下げにより184万円の受給を受けていた場合、この者が死亡したときは「100万円」の4分の3相当額が遺族厚生年金の額となります。

 

短期要件のいずれかに該当することにより支給される遺族厚生年金については、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が300か月に満たないときは、これを300として計算した額とする(300か月のみなし計算)。(法60条1項1号ただし書)

 

 

死亡者が、「短期要件で死亡したのか、「長期要件で死亡したのかにより計算方法が異なります

  1. 短期要件障害厚生年金に相当する計算方法
  2. 長期要件老齢厚生年金に相当する計算方法によっているといえます

 

 

短期要件・長期要件の比較

 

区分 給付乗率 被保険者期間の扱い
短期要件 定率 300か月みなし
長期要件 生年月日による読替を行う 実際の被保険者期間

配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者が2人以上であるときは、それぞれの遺族厚生年金の額は、受給権者ごとに算定した額を受給権者の数で除して得た額とする。(法60条2項)

遺族厚生年金の額②(老齢厚生年金の受給権者である65歳以上の配偶者の場合)

 

老齢厚生年金の受給権者である65歳以上の配偶者である場合の遺族厚生年金の額は、次のうちいずれか多い額となる。
(法60条1項2号、附則17条の2)

 

遺族厚生年金の額②(老齢厚生年金の受給権者である65歳以上の配偶者の場合)
  1.  原則額(①)
  2.  「原則額の3分の2相当額(②)」と「受給権者自身の老齢厚生年金額加給年金額を除く(③)の2分の1相当額(④)」の合計額(⑤)
  • かつては、1だけでしたが、共稼ぎの夫婦が増えてきたため、自らの老齢厚生年金を一切受給できないことに不満を思う人(一般的に妻)も増えてきました。
    そこで、2の選択肢ができ、半分ですが、自らが納付した保険料が反映することができるようになりました。
  • なお、併給調整により、受給権者が65歳以上である場合、「遺族厚生年金は老齢基礎年金及び障害基礎年金と併給することができます。
    そのため、1階部分の老齢基礎年金が、障害基礎年金となる場合も考えられます。

 

具体例

  1.  妻の老齢厚生年金…40万円(③)
  2.  死亡した夫の老齢厚生年金…120万円(⑥)

→「老齢厚生年金(③)」…40万円(③)

→「原則額の遺族厚生年金(①)」…90万円(①)(120万円(⑥)×3/4)

→「原則額の遺族厚生年金(①)」の2/3…60万円(②)  120万円(⑥)の1/2にあたる(ハーフ)

→「老齢厚生年金(③)」の1/2…20万円(④) (ハーフ)

 

→(1) 老齢基礎年金+90万円(①)

→(2) 老齢基礎年金+(60万円20万円(⑤)

 

→丈比べの結果、(1)の額となります。

 

ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の支給を受けるときは、原則額とする。(法60条1項ただし書)

中高齢の寡婦加算

 

1  制度の目的(まずここを理解)

遺族年金には次の2種類があります。

  • 遺族基礎年金

  • 遺族厚生年金

 

しかし

  1. 遺族基礎年金、「子のある配偶者には支給されます
  2. 子のない配偶者には支給されません

 

そこで40歳〜65歳の妻に加算する制度として中高齢の寡婦加算が作られました。

 

遺族が子のある配偶者の場合 遺族基礎年金+子の加算 遺族厚生年金
遺族が子の場合 遺族基礎年金+子の加算 遺族厚生年金
遺族が子のない一定の妻の場合 中高齢寡婦加算 遺族厚生年金

 

 

2  条文(厚生年金保険法62条1項)

 

中高齢の寡婦加算は、遺族厚生年金の受給権者であるが、次のいずれかの要件を満たす場合に加算される。(法62条1項)

 

中高齢の寡婦加算(妻の要件)
  1.  受給権取得当時子がなく遺族基礎年金の受給権を有しない場合には、その当時40歳以上65歳未満であること。
  2.  受給権取得当時子があり遺族基礎年金の受給権を有している場合には、妻が40歳に達した当時、子と生計を同じくしていること。

 

ただし、妻が、長期要件による遺族厚生年金の支給を受けるときは、その計算の基礎となる被保険者期間の月数240か月以上(中高齢の特例によるときは、その月)であるときに限り、加算が行われる。(法62条1項かっこ書)

区分 内容
夫の要件(短期) 別段の要件なし
夫の要件(長期) 被保険者期間が原則 240か月以上
妻の要件① 夫の死亡当時、40歳以上65歳未満
妻の要件②(代替要件) 40歳に達した当時、夫の子で遺族基礎年金の受給権者である子と生計同一

3 基本要件(整理)妻の要件

次のどちらかです。

 

パターン①(基本)

夫死亡時妻が40歳以上65歳未満で子がいない

つまり遺族基礎年金がもらえない妻

 


 

パターン②(子ありルート)

夫死亡時は子がいて遺族基礎年金を受給

その後子が18歳年度末到達で遺族基礎年金が終了

その時点で妻が40歳以上

この場合も加算されます。

条文では

妻が40歳に達した当時、子と生計同一

と表現されています。

 


 

4 夫側の要件(短期・長期)

遺族厚生年金には短期要件と長期要件があります。

区分 加算条件
短期要件 夫の加入期間関係なし
長期要件 240か月以上必要

 

短期要件

  • 被保険者が死亡

  • 被保険者期間中の傷病で死亡

 

この場合夫の加入期間は関係ありません。

したがって中高齢の寡婦加算も期間条件なし

 


 

長期要件

これは老齢厚生年金を受けられる資格を満たした人が死亡した場合です。

このときは被保険者期間240か月以上が必要です。(条文62条1項かっこ書)

 


 

5 ケース別イメージ

 

ケース①(子なし)

夫死亡
妻45歳

遺族基礎年金なし

中高齢の寡婦加算あり

 


ケース②(子あり)

夫死亡
妻35歳
子10歳

遺族基礎年金あり

子18歳年度末到達

妻43歳

ここから寡婦加算

 

 

 支給される期間

40歳〜65歳までです。

65歳になると妻自身の老齢基礎年金が始まるためです。

 


 

超シンプルまとめ

 

中高齢の寡婦加算とは子がいない(またはいなくなった)40歳以上65歳未満の妻の年金を補う制度です。

 

理由

 

子のない配偶者は遺族基礎年金がもらえないため。

  • 遺族基礎年金の支給を受けることができるときはその間中高齢の寡婦加算は支給停止され遺族基礎年金が失権したところから中高齢の寡婦加算が加算されます
  • 夫の死亡当時に妻が40歳未満であっても問題ありません

中高齢の寡婦加算の額

 

中高齢の寡婦加算の額は、遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする)となる。(法62条1項)

  • 中高齢の寡婦加算は遺族基礎年金の額の4分の3相当すなわち定額です

中高齢の寡婦加算の加算期間

 

中高齢の寡婦加算の加算期間は、次の通りである。(法62条1項、法65条)

 

受給権取得当時、40歳以上65歳未満で、「子がない」場合
 受給権を取得したときから受給権者が65歳に達するまでの間
40歳に達した当時、遺族基礎年金を受けることができる「子がある」場合
 40歳に達したときから受給権者が65歳に達するまでの間(ただし、遺族基礎年金の支給を受けることができる間は支給停止

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