厚生年金保険法 
障害厚生年金の額

  •  障害厚生年金の額は、「報酬比例部分」の年金額をもとに算定されます。この場合、被保険者期間の月数が300か月に満たないときは300か月で計算します。
  •  1級及び2級に該当する者に支給される障害厚生年金の額には、受給権者によって生計を維持している65歳未満の配偶者があるときには、「配偶者加給年金額」が加算されます。
  •  障害厚生年金の受給権者の障害の程度が軽くなったり、重くなったりした場合には、年金額が改定されます。

 

目 次

  1. 障害厚生年金の額
  2. 300か月みなし
  3. 障害厚生年金の額の計算に係る被保険者期間の月数
  4. 最低保障額
  5. 配偶者加給年金額
  6. 障害の程度の増進による改定請求

障害厚生年金の額

 

障害厚生年金の額は、障害等級に応じ、次の通りである。(法50条1項・2項)

 

 

障害等級 年金額
1級  (平均標準報酬額)×(5.481/1,000)×(被保険者期間の月数)×1.25
2級  (平均標準報酬額)×(5.481/1,000)×(被保険者期間の月数
3級  (平均標準報酬額)×(5.481/1,000)×(被保険者期間の月数
  1. 障害基礎年金と異なり定額ではなく
  2. 老齢厚生年金の報酬比例部分の額の算式により計算されます
  • 1級と2級には、「配偶者加給年金額」が加算されます。

300か月みなし

 

障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数300か月に満たないときは、「300」として計算される。(法50条1項)

障害厚生年金の額の計算に係る被保険者期間の月数

 

障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日の属する月における被保険者であった期間は、その計算の基礎とされない。(法51条)

障害認定日の属する月後計算の基礎とされない=「障害認定日の属する月までは計算の基礎とされる

最低保障額

 

障害厚生年金の給付事由となった障害について障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額に満たないときは、その額障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額)を障害厚生年金の額とする。(法50条3項)

  • 2025改令和7年度令和7年4月~令和8年3月障害基礎年金の額新規裁定者:昭和31年4月2日以後生まれの場合831,700円ですので623,800円831,700円×3/4=623,775円→623,800円最低保障額となります

 

  1. 障害等級2に該当した場合には、2階建年金となり一定の金額を受け取ることができます。
  2. 障害等級3級に該当した場合には、2階建年金にはなりません。障害厚生年金は、平均標準報酬額に基づき計算されるため、3級の障害厚生年金だけでは金額が低額の場合が考えられます。
  3. 国民年金の第2号被保険者ではない場合、たとえ障害等級2級以上に該当した場合であっても2階建年金にはなりません。この場合も、障害厚生年金だけでは金額が低額の場合が考えられます
    1. 第1号被保険者及び第3号被保険者は60歳に達するまでですし、また、第2号被保険者には年齢要件は原則ありませんが、老齢厚生年金等の受給権を有する65歳以上の者は、第2号被保険者とはならないことになっていましたので、障害基礎年金の要件である「国民年金の被保険者であること」とは、ざっくりいうと「65歳未満の者」という意味です。
  4.  そのため、2及び3については、最低保障が設けられています。

最低保障がされるのは、「障害基礎年金を受けることができない場合です

配偶者加給年金額

 

障害等級の1級または2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、障害厚生年金の額に加給年金額加算される。(法50条の2第1項)

  • 障害厚生年金は、就労能力が失われた(または大きく低下した)人に対する所得保障ですが、配偶者を扶養している場合には、その分だけ世帯の生活負担も重くなります。そこで、その負担を考慮して、障害厚生年金(1級または2級)には「配偶者加給年金額」が設けられています。
  • 3級には配偶者加給年金額は加算されません
  1. 障害基礎年金子の加算
  2. 障害厚生年金配偶者の加給年金額

大正15年4月1日以前の生まれの配偶者については、配偶者が65歳以上であっても加給年金額が加算される。(昭和60年附則60条1項)

障害の程度の増進による改定請求

 

1  改定請求の基本ルール

厚生年金保険法52条2項

障害厚生年金の受給権者は、
障害の程度が増進したときは、
実施機関に対して年金額の改定を請求することができる。

つまり症状が重くなれば年金額を増額できる。

変更前 変更後
3級 2級
2級 1級

2  改定請求は原則「1年経過後」

厚生年金保険法52条3項

改定請求は、受給権取得日又は前回診査日から
1年を経過した日後でなければ行うことができない。

 

ポイント

  • 年齢に関係なく1年

  • 受給権取得日または診査日から起算


例外(1年以内でも請求可能)

法52条3項ただし書

障害の程度が増進したことが明らかな場合

  • 手足の切断

  • 失明

  • 人工透析開始

など


3 65歳以上の特別制限

厚生年金保険法52条7項

附則16条の3第2項

次の者は増進による改定請求ができない


対象者

次のすべてを満たす者

  1. 65歳以上
    または
    老齢基礎年金を繰上げ受給

  2. 障害厚生年金の受給権者

  3. 同一の支給事由による障害基礎年金の受給権がない

 

つまり3級の障害厚生年金


4  さらに重要:職権改定も行われない

厚生年金保険法52条7項

附則16条の3第2項

障害厚生年金と同一の支給事由による
障害基礎年金の受給権を有しない
65歳以上(又は繰上げ老齢基礎年金受給者)については
実施機関による職権改定も行われない。

つまり

内容 可否
改定請求 不可
職権改定 不可

5  なぜこの制限があるのか

理由は障害基礎年金の事後重症請求の期限

 

国民年金法30条の2

事後重症請求は
65歳に達する日の前日まで

つまり65歳以降に3級 → 2級になると障害基礎年金が新たに発生してしまう

これを防ぐため65歳以降の改定を禁止


6 具体例

例①

受給権取得からずっと3級

63歳 3級
66歳 2級に悪化

改定請求不可

職権改定もなし


例②

老齢基礎年金を繰上げ

60歳 繰上げ
62歳 3級
64歳 悪化

繰上げすると

65歳到達扱い

改定請求不可

職権改定不可


例③

障害基礎年金がある場合

60歳 2級
63歳 軽快して3級
67歳 再び2級

支給再開可能

理由

障害基礎年金の受給権がある


7  まとめ

改定請求

内容 ルール
原則 1年後
例外 明らかな増悪

65歳ルール

次の者は改定請求不可

  • 65歳以上

  • または繰上げ受給

  • 障害基礎年金なし(=3級)

 

さらに職権改定も不可

 


覚え方

「3級は65歳で固定」

つまり

65歳以降

3級 → 2級

 

請求も職権改定も不可

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