厚生年金保険法 
遺族厚生年金 支給要件など

厚生年金保険の被保険者または被保険者であった者が死亡した場合に、国民年金の遺族基礎年金に上乗せする形で、遺族厚生年金がその者の遺族に支給されます。遺族が子のない配偶者には遺族基礎年金は支給されないため、この場合、遺族厚生年金のみが支給されます。

 

目 次

  1. 被保険者等要件
  2. 保険料納付要件
  3. 遺族厚生年金の受給権者(遺族)
  4. 平成8年4月1日前の死亡の場合
  5. 遺族の順位

遺族厚生年金

  1. 支給要件など
  2. 遺族厚生年金の額

被保険者等要件


整理ポイント

 

  • 短期要件(①②)
    → 原則として保険料納付要件が必要

  • 長期要件(③④)
    → 保険料納付要件は不要

  • ②の「5年以内」は
    初診日から5年以内に死亡した場合を意味します。

 

死亡者は、次のいずれかでなければならない。(法58条1項、附則14条1項)

区分   要件内容 保険料納付要件
短期要件 厚生年金保険の被保険者であること ○ 必要
厚生年金保険の被保険者であった者で、資格喪失後、被保険者期間中に初診日がある傷病により、初診日から5年以内に死亡した者 ○ 必要
1級または2級の障害厚生年金の受給権者 × 不要
長期要件

 2026改正次の期間の合計が25年以上ある者

  • 保険料納付済期間
  • 保険料免除期間
  • 合算対象期間
  • 65歳到達月以後の厚生年金被保険者期間
× 不要
  • 25年以上国民年金と同様に中高齢の短縮特例に該当する場合には15年から19年以上になります
  • 20歳未満の厚生年金保険の被保険者死亡した場合であっても他の要件を満たす限り一定の遺族に遺族厚生年金が支給されます

厚生年金保険の被保険者が月の末日に死亡したときは被保険者の資格喪失日は翌月の1日になります遺族厚生年金の受給権は死亡した日に発生します。(昭和40年9月3日庁保文発6738号)

短期要件と長期要件の両方に該当するときは、その遺族が遺族厚生年金を請求したときに別段の申出をした場合を除き短期要件にのみ該当し、長期要件には該当しないものとみなされる。(法58条2項)

  • 短期要件に該当する場合の遺族厚生年金の額の方が一般的に高額となったり中高齢の寡婦加算が必ず加算されたりと有利な点が多いため通常は短期要件に該当するものとみなされます

障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者である被保険者が死亡した被保険者等要件の1.に該当し3.には該当しない場合保険料納付要件を満たしているときに一定の遺族に遺族厚生年金が支給されます

 

 

補足
 失踪の宣告を受けた者は、普通失踪の場合、行方不明となってから7年を経過した日に死亡したものとみなされる。(民法30条、31条)

保険料納付要件

 

被保険者等要件のうち、

  1. 被保険者及び
  2. 被保険者であった者については、保険料納付要件を満たしていなければならない。(法58条1項ただし書)

 

保険料納付要件とは、次のいずれかに該当することをいう。(法58条1項ただし書、昭和60年附則64条2項)

 

保険料納付要件
原則
 死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があるときは、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間保険料免除期間(学生納付特例期間または納付猶予期間を含む)とを合算した期間が当該被保険者期間3分の2以上であること
特例
 令和8年4月1日前にある死亡については、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの直近1年間保険料納付済期間保険料免除期間(学生納付特例期間または納付猶予期間を含む)のみ直近1年間に保険料未納期間がないこと)であること。
 ただし、死亡日において65歳以上である場合にはこの特例は適用されない
  • 障害厚生年金障害手当金及び遺族厚生年金における保険料納付要件を判断する際に、「厚生年金保険の第3種被保険者坑内員船員であった期間の特例3分の4倍5分の6倍)」は適用されません

 

 

被保険者等要件と「保険料納付要件」

 

判定ステップ 要件内容 該当した場合 保険料納付要件
25年要件を満たす はい 納付要件 不要(長期要件)
障害厚生年金(1級・2級)の受給権者である はい 納付要件 不要(長期要件)
厚生年金保険の被保険者である はい 次へ進む
初診日等から5年以内の死亡である はい 納付要件 必要(短期要件)
初診日等から5年以内の死亡でない いいえ 不支給
厚生年金保険の被保険者でない いいえ 不支給(※原則)

整理ポイント

 

  • 長期要件(25年要件 or 障害厚生年金1・2級受給権者)
    → 保険料納付要件は 不要

  • 短期要件(被保険者+初診日から5年以内死亡)
    → 保険料納付要件は 必要

  • どちらにも該当しない場合
    不支給

遺族厚生年金の受給権者(遺族)

 

遺族厚生年金を受けることができる遺族」は、被保険者または被保険者であった者死亡の当時、死亡者によって生計を維持されていた「配偶者」、「」、「父母」、「」または「祖父母」であって、妻以外の者にあっては、次の要件を満たしている場合である。(法59条1項)

遺族の範囲 要件
要件なし
夫・父母・祖父母 55歳以上
※ただし、(遺族基礎年金の受給権を有する夫を除き)60歳に達するまでの間は支給停止
子・孫(現に婚姻していないこと ① 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者
② 20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある者

ポイント整理

 

  • は年齢要件なし(ただし生計維持関係が前提)。

  • 夫・父母・祖父母

  • 子・孫

    • 原則「18歳年度末まで」

    • 障害がある場合は20歳未満まで

  • 兄弟姉妹は含まれていません

 

失踪の宣告を受けた被保険者であった者に係る遺族厚生年金を受けることができる遺族の生計維持関係は、行方不明となった当時で判断する。
(法59条1項ただし書)

父母祖父母の場合55歳以上が要件ですが遺族基礎年金の受給権を有する夫を除き60歳に達するまでは支給停止となります
(法65条の2)

 

参照 → 遺族の範囲(制度別)

 

  • 養父母は父母に該当しますが、「義父母は父母には該当しません

 

  1. 妻が死亡したときは夫に60歳から遺族厚生年金が支給されます妻が死亡したからといって、すぐに支給されるわけではありません
  2. さらに、たとえば62歳になり、夫自身の特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生すると、特別支給の老齢厚生年金の額が遺族厚生年金の額より通常は高額であることから、一人一年金の原則により、特別支給の老齢厚生年金を選択することなります。
  3. すなわち、60歳から62歳までの間だけ、遺族厚生年金の支給を受けることになります。

 このように、遺族厚生年金の支給は短期間であることも考えられます

平成8年4月1日前の死亡の場合

 

平成8年4月1日前に死亡した者の遺族に対する遺族厚生年金については、夫、父母または祖父母がその者の死亡の当時、55歳未満であっても、障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にあるときは、遺族厚生年金の受給権者となることができる。(昭和60年附則72条2項・4項) 

 この場合、その後その事情がやんだときは当該受給権は消滅する。(昭和60年附則72条2項・4項)

遺族の順位

 

遺族の順位は、次の通りである。(法59条2項)

 

遺族の順位
  1.  配偶者と子
  2.  父母
  3.  
  4.  祖父母
  • 配偶者及び子を第1順位としたのは、民法が夫婦を単位として考えており、それに子を加えたものを一つのグループとして取り扱っているためです。

第1順位は「配偶者となりますが配偶者と子が同時に受給権を取得したときは、「配偶者に優先支給されます。(法66条1項)

  • 労災保険とは異なり遺族厚生年金の受給権には、「転給制度は設けられていません

 

 

 

遺族の順位(制度別)

 

順位 労災保険
遺族(補償)等年金
国民年金
遺族基礎年金
厚生年金保険
遺族厚生年金
第1順位 配偶者 配偶者・子 配偶者・子
第2順位 父母
第3順位 父母
第4順位 祖父母
第5順位 祖父母
第6順位 兄弟姉妹

補足ポイント

  • 労災保険
    → 第1順位の配偶者から順に、後順位へ「転給」される仕組みあり。

  • 遺族基礎年金(国民年金)
    → 受給権者は「配偶者と子」に限定(順位の概念は実質なし)。

  • 遺族厚生年金
    → 第1順位は「配偶者・子」
    → 子がいない場合などに、父母 → 孫 → 祖父母へ。

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