厚生年金保険法 
遺族厚生年金 支給要件

ポイントは次の5点です。

「初診日から5年以内死亡」の意味

②保険料納付要件の要否

③25年要件・障害厚生年金1級2級は保険料納付要件不要

④夫・父母・祖父母は55歳以上だが支給は原則60歳から

⑤遺族の順位は
配偶者・子 → 父母 → 孫 → 祖父母

 

目 次

  1. 被保険者等要件
    1. 「5年以内」
    2. 保険料納付要件
  2. 遺族になれる人
    1. 年齢要件
    2. 遺族の順位

被保険者等要件


 

死亡した人が次のいずれかに該当する必要があります。

(法58条1項、附則14条1項)

区分 内容 保険料納付要件
短期① 厚生年金加入中に死亡 必要
短期② 厚生年金加入中の傷病で初診日があり、その初診日から5年以内に死亡 必要
短期③ 障害厚生年金1級・2級受給権者 不要
長期④ 老齢厚生年金等の受給資格期間が25年以上ある者 不要
  • ①②

         → 原則として保険料納付要件が必要

  • ③④

        → 保険料納付要件は不要

「5年以内」の意味

これは

被保険者資格喪失後に死亡した場合でも、
厚生年金加入中に初診日があり、
その初診日から5年以内に死亡したときは対象になる

という意味です。

  • 2020年4月 初診
  • 2021年3月 退職
  • 2024年6月 死亡

 

→ 初診日から5年以内なので対象

保険料納付要件

 

遺族厚生年金では、亡くなった人が一定の条件を満たしている必要があります。
その中でも特に重要なのが、

  1. 「どのような立場の人だったか(被保険者等要件)」
  2. 「年金保険料をきちんと納めていたか(保険料納付要件)」

の2つです。

ただし、すべての場合に「保険料納付要件」が必要になるわけではありません。


 

保険料納付要件は不要

次のいずれかに該当する人が死亡した場合です。

 

① 25年要件を満たす人

これは長期間年金制度に加入していた人なので、改めて保険料納付状況を細かく確認しなくても遺族保障を認める、という考え方です。


障害厚生年金(1級・2級)の受給権者

障害厚生年金1級・2級を受給している人が死亡した場合も、保険料納付要件は不要です。


 

つまり、

  • 25年要件を満たす人
  • 障害厚生年金1・2級受給権者

については、

保険料納付要件を確認しない

という点が重要です。


保険料納付要件が必要

一方、比較的短期間の加入者については、保険料納付要件が問題になります。


 

次のような場合です。

 

① 厚生年金保険の被保険者が死亡した場合

会社員など、厚生年金加入中に死亡したケースです。

 


② 被保険者期間中に初診日がある傷病で、初診日から5年以内に死亡した場合

たとえば、

  • 厚生年金加入中に病気になる
  • 退職後に亡くなる
  • ただし初診日から5年以内

というケースです。

この場合も遺族厚生年金の対象になります。


必要になるのが「保険料納付要件」

 

国民年金保険料を一定程度きちんと納めていること

が必要です。


保険料納付要件の内容

保険料納付要件は、次のどちらかを満たせばOKです。


(1)原則要件

死亡日の前日時点で、

死亡月の前々月までの被保険者期間について、

  • 保険料納付済期間
  • 保険料免除期間
  • 学生納付特例期間
  • 納付猶予期間

を合計した期間が、

全体の3分の2以上

あることが必要です。


イメージ

たとえば、

国民年金加入期間が30か月なら、

そのうち20か月以上が

  • 納付済
  • 免除
  • 猶予等

であれば条件を満たします。


(2)特例要件(直近1年に未納がない)

現在は特例があります。

 

内容

死亡日が

令和18年3月31日まで

にある場合で、

死亡日において65歳未満なら、

直近1年間に保険料未納期間がなければOKです。


つまり

昔に未納があっても、

「最近1年間ちゃんと納めていた」

なら救済される制度です。


注意点

 

65歳以上は特例なし

65歳以上で死亡した場合は、

「直近1年間未納なし」の特例は使えません。

そのため、原則どおり「3分の2要件」で判断されます。


学生納付特例や納付猶予もカウントされる

ここは実務でも重要です。

単なる「納付済」だけでなく、

  • 学生納付特例
  • 納付猶予
  • 法定免除
  • 申請免除

も保険料納付要件に含まれます。


障害厚生年金・障害手当金・遺族厚生年金では、

坑内員・船員の

  • 3/4倍
  • 5/6倍

の特例計算は適用されません。

 


保険料納付要件の中身

次のどちらかを満たす。

 

原則

納付済+免除等が3分の2以上

特例

直近1年間に未納なし(令和18年3月31日まで・65歳未満)

遺族になれる人

 

 

死亡当時、

死亡者に生計維持されていた者

であることが前提です。

対象者は

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母

です。兄弟姉妹は対象外です

 

兄弟姉妹が対象外なのは、遺族厚生年金が「相続制度」ではなく、被保険者の死亡によって生活保障を失う一定範囲の遺族を保護する社会保険制度だからです。

厚生年金保険法59条は、遺族を法律上あえて限定して、

配偶者 → 子 → 父母 → 孫 → 祖父母

という範囲にしています。ここには兄弟姉妹が列挙されていません

考え方としては、家族を「縦」と「横」に分けると覚えやすいです。

  • 縦の関係:子・孫、父母・祖父母 → 対象
  • 夫婦の関係:配偶者 → 対象
  • 横の関係:兄弟姉妹 → 対象外

つまり、遺族厚生年金では、配偶者と直系血族を中心に生活保障をする制度設計になっています。

「生計維持」は必要条件ですが、その前に法律上の遺族の範囲である配偶者・子・父母・孫・祖父母のいずれかに該当する必要があるからです。

なお、これは民法上の相続人の範囲とは違うところが重要です。民法上は一定の場合に兄弟姉妹も法定相続人になりますが、遺族厚生年金では兄弟姉妹は遺族に含まれません。

覚え方なら、

「遺族厚生年金は、配偶者+縦の血族。横の兄弟は切る」

とするとかなり覚えやすいです。

 
 
 

年齢要件

年齢制限なし

 


夫・父母・祖父母

55歳以上

ただし実際の支給は原則60歳から

 


子・孫

次のいずれか

①18歳到達後最初の3月31日まで

②20歳未満の障害等級該当者

遺族の順位

 

受給権者が複数いる場合の順位です。

順位 遺族
第1順位 配偶者・子
第2順位 父母
第3順位
第4順位 祖父母

 


ポイント

 

配偶者と子が同時にいる場合→ 配偶者に優先支給

となります。 

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー