船員保険法

  •  船員保険法は、もともとは健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険法といった諸制度を一つにまとめ、一つの制度で船員の生活上必要なすべての保障を行う総合的な社会保険制度でした。
  •  その後改正を繰り返し、現在では、健康保険相当部分(職務外疾病部門)と船員労働の特性に応じた独自・上乗せ給付を行う制度として、全国健康保険協会が運営しています。
 
目 次
  1. 被保険者の定義
  2. 届出
  3. 傷病手当金
  4. 行方不明手当金

被保険者の定義

 

被保険者」とは、船員法1条に規定する船員として船舶所有者に使用される者及び疾病任意継続被保険をいう。(法2条1項)

船員法1条に規定する「船員」とは、日本船舶または日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をいう。(船員法1条1項)

船舶であっても、

  1. 総トン数5トン未満の船舶
  2. 湖、川または港のみを航行する船舶
  3. 政令の定める総トン数30トン未満の漁船等は除かれています。(船員法1条2項)

船員保険法における被扶養者の定義は健康保険法と同様です。(法2条9項)

  • 船員として船舶所有者に使用される者が被保険者となるため船舶所有者自ら所有する船舶に船長として乗り組むような場合には、被保険者とはなりません

届出

 

船舶所有者は、被保険者の資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を厚生労働大臣届け出なければならない。(法24条)

具体的には、被保険者疾病任意継続被保険者を除く資格の取得に関する届出は、当該事実があった日から10日以内に、届書を日本年金機構提出します。(則6条1項)

  • 資格の取得に関する厚生労働大臣への届出は日本年金機構に提出することによって行います

傷病手当金

 

被保険者または被保険者であった者が被保険者の資格を喪失する前に発した職務外の事由による疾病または負傷及びこれにより発した疾病につき療養のため職務に服することができない期間傷病手当金が支給される。(法69条1項)

傷病手当金の額は、1日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額である。(法69条2項)

疾病にかかり、または負傷した場合において報酬の全部または一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、傷病手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給される。(法70条1項)

傷病手当金の支給期間は、同一の疾病または負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して3年とする。
(法69条5項)

  • 船員は、長期間の乗船や孤立した海上生活、海外・遠隔地勤務といった特殊な勤務環境にあります。そのため、傷病の早期発見や治療の開始が遅れやすく、さらに、陸上勤務以上に高度な身体的適応が求められる船員職務への復職には、長期の療養期間を要する場合が少なくありません。こうした船員特有の事情を考慮し、健康保険法よりも手厚い所得保障(通算3年)が規定されています。

 

 

傷病手当金の比較

区分 健康保険法の傷病手当金 船員保険法の傷病手当金
待期期間 あり(継続3日) なし
支給期間 その支給を始めた日から通算1年6か月が限度 通算3年が限度
報酬との調整 報酬の額の限度で支給しない(報酬がある場合は調整) 同様に報酬との調整あり

ポイント整理

  • 健康保険 → 待期3日+1年6か月

  • 船員保険 → 待期なし+3年

疾病任意継続被保険者にも傷病手当金支給される。(法31条)

  1. 健康保険法の傷病手当金被保険者が傷病により労務に服することができない場合の所得保障として位置づけられているため、(資格喪失後の継続給付を除けば任意継続被保険者及び特例退職被保険者については傷病手当金は支給されません
  2. これに対し、「船員保険法の傷病手当金船員は一度下船すると次の乗船までの間に空白期間が生じやすいという特殊な雇用形態にあることを踏まえ当該空白期間疾病任意継続被保険者期間における傷病についても次の乗船までの所得保障を行う必要があることから疾病任意継続被保険者であっても傷病手当金が支給されます

疾病任意継続被保険者または疾病任意継続被保険者であった者に係る傷病手当金の支給は、当該被保険者の資格を取得した日から起算して「1年以上経過したときに発した疾病若しくは負傷またはこれにより発した疾病については、行われない。(法69条4項)

  • 疾病任意継続被保険者に対する傷病手当金は、疾病任意継続被保険者の資格を取得した日から起算して「1年を経過した後」に発した疾病又は負傷については、次の乗船に向けた待機期間中の傷病との関連性が希薄になることから、支給されません。
  • 例えば、10月5日に資格を取得した者が、翌年4月11日に発した職務外の事由による疾病若しくは負傷またはこれにより発した疾病につき療養のため職務に服することができない状況となった場合は、1年以上経過していないため、傷病手当金の支給を受けることができます。

行方不明手当金

 

被保険者職務上の事由により行方不明となったときは、その期間、被扶養者に対し、行方不明手当金が支給される。ただし、行方不明の期間が1か月未満であるときは、この限りでない。(法93条)

  • 海上では「死亡は確認できないが、生存の望みも薄い」という特殊な状態が長期化しやすく、その期間を保護する必要があります。通常、死亡が確定しなければ遺族年金などの支給は始まりません。
    しかし、被保険者が行方不明になれば、被扶養者への送金や給与の支払いが突如として途絶えてしまいます。そこで、死亡が認定されるまでの「つなぎ」として、残された被扶養者の生活を迅速に保護することを目的とし、船員保険独自の所得補償として「行方不明手当金」が規定されています。

 

行方不明手当金を受けることができる被扶養者の範囲は、次に掲げる者であって、被保険者が行方不明となった当時主としてその収入によって生計を維持していたものとする。(法34条1項)

 

行方不明手当金を受ける被扶養者の範囲及び順位
  1.  被保険者の配偶者
  2.  被保険者の
  3.  被保険者の父母
  4.  被保険者の
  5.  被保険者の祖父母
  6.  被保険者の3親等以内の親族であって、被保険者と同一の世帯に属するもの
  7.  被保険者と同一の世帯に属する被保険者の事実上の配偶者の子
  8.  被保険者と同一の世帯に属する被保険者の事実上の配偶者の父母

行方不明手当金の額は、1日につき、被保険者が行方不明となった当時標準報酬日額に相当する金額とする。(法94条)

行方不明手当金の支給を受ける期間は、被保険者が行方不明となった日の翌日から起算して3か月限度とする。(法95条)

  • 行方不明手当金の額は1日につき被保険者が行方不明となった当時の標準報酬日額に相当する金額です。「標準報酬日額の100分の80に相当する金額ではありません

被保険者の行方不明の期間に係る報酬が支払われる場合においては、その報酬の額の限度において行方不明手当金は支給されない。(法96条)

 

 

行方不明手当金(船員保険)

項目 内容
支給要件 職務上の事由により行方不明となったとき
※行方不明の期間が1か月未満の場合を除く
支給対象者 被扶養者
支給期間 行方不明となった日の翌日から起算して3か月間を限度
支給額 1日につき、行方不明当時の標準報酬日額に相当する額
報酬との調整 報酬の額の限度で支給しない

ポイント整理

  • 「職務上」が要件

  • 1か月未満の行方不明は対象外

  • 支給は最大3か月

  • 標準報酬日額ベースで計算

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