安衛法
ストレスチェック制度

ストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的として、労働安全衛生法に基づき実施される制度です。

  • 定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、
  • 本人にその結果を通知して
  • 自らのストレスの状況について気付きを促し
  • 個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、
  • 検査結果を集団的に分析し、
  • 職場環境の改善につなげることによって、
  • 労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的としたものです。

 

目 次

  1. ストレスチェックの実施方法
  2. ストレスチェックの検査項目
  3. 対象事業場
  4. 検査の実施者
  5. 結果の通知
    1. 高ストレス者への面接指導
  6. 結果の記録・保存
  7. 検査結果の集団ごとの分析等
  8. 2025年改正による実務上のポイント

ストレスチェックの実施方法

 

事業者は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期的にストレスチェックを実施しなければなりません(労働安全衛生法第66条の10第1項、労働安全衛生規則第52条の9)。

ここでいう「常時使用する労働者」とは、定期健康診断の対象となる労働者と同様であり、正社員だけでなく、一定の条件を満たす有期契約労働者やパートタイム労働者も含まれます。

なお、労働者にストレスチェックを受検する法的義務はありません。しかし、制度の趣旨から、メンタルヘルス不調により治療中で受検負担が著しく大きい場合など特別な事情がない限り、全ての対象労働者が受検することが望ましいとされています。

また、ストレスチェック実施時点で休業中の労働者については、実施しなくても差し支えないとされています。

ストレスチェックの検査項目

 

ストレスチェックでは、次の3つの事項について検査を行う必要があります(労働安全衛生規則第52条の9)。

 

① 職場における心理的負担の原因に関する項目

仕事の量や質、人間関係、役割の明確さなど、ストレスの原因となる要因を把握するための項目です。

 

② 心理的負担による心身の自覚症状に関する項目

疲労感、不安感、抑うつ感、睡眠状況など、ストレスによって生じる心身の反応を確認する項目です。

 

③ 周囲からの支援に関する項目

上司や同僚などから受ける支援の状況を把握するための項目です。

対象事業場

 

従来、ストレスチェックの実施義務は「常時50人以上の労働者を使用する事業場」に限られ、50人未満の事業場については努力義務とされていました。

しかし、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場についてもストレスチェックの実施が義務化されました。施行日は2028年(令和10年)4月1日とされています。

これにより、今後は事業場の規模を問わず、全ての事業場でストレスチェック制度への対応が必要となります。

 

厚生労働省は、50人未満の事業場向けに「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表し、小規模事業場における実施方法やプライバシー保護の考え方などを示しています。 

検査の実施者

 

 

ストレスチェックを実施できる者は、次のいずれかに該当する者です(労働安全衛生規則第52条の10)。

 

  • 医師
  • 保健師
  • 厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師
  • 厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師
  • 厚生労働大臣が定める研修を修了した精神保健福祉士
  • 厚生労働大臣が定める研修を修了した公認心理師 

結果の通知

 

事業者は、ストレスチェックを受けた労働者に対し、検査を実施した医師等から遅滞なく結果が通知されるようにしなければなりません(労働安全衛生規則第52条の12)。

また、検査を実施した医師等は、労働者本人の同意なく、その結果を事業者へ提供してはならないとされています(労働安全衛生法第66条の10第2項)。

そのため、事業者が個々の労働者の結果を確認するためには、本人の明確な同意が必要です。

高ストレス者への面接指導

 

ストレスチェックの結果、高ストレス者と判定された労働者が申し出た場合、事業者は医師による面接指導を実施しなければなりません(労働安全衛生法第66条の10第3項)。

面接指導の結果、医師から就業上の措置に関する意見があった場合には、事業者は勤務時間の短縮や業務内容の変更など必要な措置を講じる必要があります。

結果の記録・保存

 

事業者は、労働者本人の同意を得て検査結果の提供を受けた場合、その結果に基づく記録を作成し、5年間保存しなければなりません(労働安全衛生規則第52条の13第2項)。

個人情報保護の観点から、結果の管理には十分な配慮が求められます。

集団分析と職場環境改善

 

事業者は、ストレスチェックを実施した場合、部署など一定規模の集団ごとに結果を集計・分析するよう努めなければなりません(労働安全衛生規則第52条の14第1項)。

集団分析では、職場全体のストレス要因や組織上の課題を把握し、職場環境の改善につなげることが期待されています。

さらに、分析結果から必要性が認められる場合には、業務量の見直しやコミュニケーション改善など、心理的負担を軽減するための措置を講ずるよう努めなければなりません(同条第2項)。

なお、集団分析は現時点では努力義務ですが、職場改善の有効な手段として厚生労働省も積極的な活用を推奨しています。

ストレスチェック義務化

2025年改正による実務上のポイント

 

2025年改正の最大のポイントは、これまで努力義務であった50人未満の事業場についてもストレスチェックが義務化されたことです。施行は2028年4月1日ですが、中小企業においても早期の準備が求められます。

特に小規模事業場では、

  • 実施者の確保
  • 個人情報保護体制の整備
  • 面接指導を行う医師の確保
  • 外部委託先の選定

などが課題となるため、厚生労働省は外部機関の活用を推奨しています。

今後は、50人未満事業場向けに公表された実施マニュアル等を参考にしながら、制度導入の準備を進めることが重要です。

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