厚生年金保険法
適用事業所

厚生年金保険法における「適用事業所」とは、厚生年金保険の適用を受ける事業所を指し、大きく強制適用事業所任意適用事業所の2種類に分かれます。

 

目 次

  1. 強制適用事業所
  2. 適用業種(法定17業種)(厚生年金保険法6条1項)
    1. 非適用用事業(令1条の2、和4年9月9日保保発0909第1号、年管管発0909第4号)
  3. 任意適用事業所(厚生年金保険法6条)
    1. 任意適用の認可(法6条3項4項、平成24年附則17条の2)
    2. 擬制
  4. 任意適用事業所の取消し
  5. 一括適用の承認

強制適用事業所

 

適用事業所」とは、次のいずれかに該当する事業所をいう。(法6条1項)

 

強制適用事業所
  1.  適用業種である事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
  2.  地方公共団体または法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの
  3.  船舶
  • 健康保険法における強制適用事業所船舶を加えたものが厚生年金保険法における強制適用事業所となります
  • 船舶は船員の数にかかわらず、「強制適用事業所となります
  • 法定17業種以外の個人経営の事業所が法人化した場合は強制適用事業となります

擬制

 

船舶以外の強制適用の事業所が、強制適用の事業所でなくなった場合は、そのまま任意適用事業所の認可があったものとみなされる。(法7条)

  • 船舶に該当するかどうかは総トン数で判断されるため使用労働者数の減少や業種の変更を前提としている当該規定からは除かれています

任意適用事業所の取消し

 

任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所適用事業所でなくすることができる。(法8条1項)

当該認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所使用される者適用除外に規定する者及び特定4分の3未満短時間労働者を除く4分の3以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。(法8条2項、平成24年附則17条の2)

認可を受けようとする事業主は、「厚生年金保険任意適用取消申請書」を日本年金機構提出しなければならない。(則14条1項)

同時に健康保険の任意適用取消しの認可を受けようとする場合は、健康保険の任意適用取消申請書併記して行うものとする。(則14条1項)

申請書には、被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証する書類添付しなければならない。(則14条2項)

任意適用の取消しの認可があった場合には、厚生労働大臣の認可のあった日の翌日に、取消しに同意しなかった者を含めて資格を喪失する。
(法14条3号)

 

 → 各法律における任意適用の取消し

一括適用の承認

 

2以上の適用事業所船舶を除くの事業主が同一である場合には、当該事業主は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該2以上の事業所一の適用事業所とすることができる。(法8条の2第1項)

当該承認があったときは、当該2以上の適用事業所は、適用事業所でなくなったものとみなされる。(法8条の2第2項)

船舶の場合は、2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、厚生労働大臣の承認を受けることなく法律上当然に一の適用事業所とされる。
(法8条の3)

船舶の一括が行われた場合、当該2以上の船舶は、適用事業所でないものとみなされる。(法8条の3)

 

 

 

一括の要件(徴収法/健保・厚年)

 

根拠法令 対象 必要な手続(要件) 趣旨・理由
徴収法 継続事業の一括 厚生労働大臣の認可 一括により、個々の事業所の保険関係が消滅し、単一の保険関係が成立するという保険関係の組み替えが発生するため
健康保険法/厚生年金保険法 一括適用 厚生労働大臣の承認 一括しても、各事業所の保険関係が消滅するわけではなく、あくまでも手続上の便宜を図るため
(補足)厚生年金保険法 船舶の一括 当然に一括(承認) 船舶の一括は当然に一括扱い
  • 事業主が同一である場合に限られます。「事業主が異なる場合には一括適用の承認を受けることはできません
  • 一括の承認があったときは被保険者が都道府県をまたいで転勤したときであっても被保険者資格の取得及び喪失の手続は不要となります

 

「認可」と「承認」の違い

区分 認可(にんか) 承認(しょうにん)
意味 本来はできないことを、行政がOKして できるようにする すでにある行為を、行政が 確認してOKする
効果 法律効果が変わる(強い)
=認可がないと成立しない
手続の確認・同意(比較的弱い)
=承認がなくても内容自体は大きく変わらない場合が多い
イメージ 「許可をもらって初めてできる」 「やるけど、事前にチェックしてね」

今回の文脈でいうと

  • 徴収法の一括=認可
    → 一括によって 保険関係が消滅して再成立する(=法律関係が組み替わる)ので、強い手続が必要

  • 健保法・厚年法の一括=承認
    保険関係は消滅しない(手続の便宜)なので、確認レベルの手続で足りる

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