労災保険法 
適用事業・暫定任意適用事業

労災保険法においては、労働者を使用する事業適用事業とする。(法3条1項)

 

まとめ

  • 労災保険の労働者=労基法9条の労働者
  • 試用期間中でも雇入れ日から適用
  • 外国人・不法就労外国人・技能実習生にも適用
  • 暫定任意適用事業は「個人経営」の農業・林業・水産業の一部
  • 法人経営や船員を使用する事業は暫定任意適用事業にならない
  • 農業関係の特別加入をすると、原則として労働者にも労災保険が適用される

 

目 次

  1. 官公署に対する適用
  2. 労働法令の国及び公共団体についての適用
  3. 外国人労働者
  4. 暫定任意適用事業

官公署に対する適用

 

■ 結論(まずこれだけ)

公務員は原則「労災保険」ではなく、別の制度で守られる


 

■ ① なぜ労災保険が適用されないのか?

理由はシンプルです

すでに専用の制度があるから

  • 国家公務員 → 国家公務員災害補償法
  • 地方公務員 → 地方公務員災害補償法

つまり、 二重に保険をかけないため


 

■ ② 適用されない対象(原則)

 

✔ 公務員(基本)

  • 国家公務員
  • 地方公務員(正規職員)

労災保険は使わない


 

■ ③ 例外

一部だけ労災が使われる

 

✔ 地方公務員の「現業の非常勤職員」

これだけ特別扱い

労災保険が適用される


 

■ 現業って何?

民間と同じような仕事

例:

  • 水道事業
  • 清掃業務
  • バス運転など

 


✔ つまり

現業 × 非常勤 → 労災保険適用

 


 

■ ④ 国の直営事業(今は存在しない)

昔は

  • 国鉄
  • 電電公社
  • 郵便(昔の形態)

今は民営化されている

 


 

■ ⑤ 独立行政法人の扱い

ここも分かれます

種類 労災
行政執行法人(印刷局など) ❌ 労災なし
それ以外の独法 ✅ 労災あり

 

■ ⑥ 超シンプルまとめ

  • 公務員 → 労災じゃない(専用制度)
  • 例外 → 現業の非常勤だけ労災
  • 独法 → 一部だけ例外あり
 
 
  身分 労働基準法 労災保険法 雇用保険法 健康保険法 厚生年金保険法
現業 非現業
一般職の国家公務員   適用除外

適用除外

  • 国の直営事業

適用除外

  • 官公署の事業

(現業を除く)

退職給付の内容が求職者給付・就職促進給付の内容を超える者は適用除外

  • 国等 
    → 承認不要
  • 都道府県等 
    → 大臣の承認
  • 市町村等 
    → 局長の承認

適用

  • ただし、給付・保険料徴収は行われない
適用
一般職の地方公務員   一部適用 非常勤職員のみ適用

適用除外

  • 官公署の事業

(現業を除く)

独立行政法人 行政執行法人の職員 国家公務員型 適用 適用除外
中期目標管理法人の職員 非公務員型 適用 適用 適用 適用 適用
国立研究開発法人の職員 非公務員型

適用労働者

 

労災保険法の適用を受ける労働者を「適用労働者」といいます。

労災保険法には「労働者」の定義はありませんが、労働基準法9条の労働者と同じと解されています。

したがって、

  • 正社員
  • パート
  • アルバイト
  • 試用期間中
  • 臨時雇用
  • 日雇労働者
  • 季節労働者

など、使用され、賃金を支払われる者であれば、名称を問わず適用されます。

試用期間中でも、雇入れの日から労災保険が適用されます。

外国人労働者

 

労災保険は国籍を問いません。

したがって、

  • 外国人労働者
  • 不法就労外国人
  • 技能実習生

であっても、労基法上の労働者に該当すれば労災保険が適用されます。

 

技能実習生も入国1年目から労災保険の対象です。(平成29年10月27日基発1027第52号)

 

入管法による在留資格又は就労資格を有しない外国人労働者(不法就労外国人であっても、労働基準法9条に規定する労働者に該当すれば、労災保険法が適用される。(昭和43年10月9日基収4194号、平成11年3月31日基発168号)

実習実施者が暫定任意適用事業に該当する場合を除き技能実習生に対しても労災保険法が強制適用されます
なお、暫定任意適用事業であっても、労災保険に係る保険関係の成立又はこれに類する措置(労災保険の代替措置として民間の任意保険への加入)を講ずることが求められています。(技能実習制度運用要領第4章)

 参照 ⇨ 国民健康保険と技能実習における外国人第1号被保険者

暫定任意適用事業

 

労災保険は原則として強制適用ですが、次の個人経営の一部事業は、当分の間暫定任意適用事業とされています。

事業 要件
農業・畜産・養蚕 常時5人未満
林業 常時労働者を使用せず、かつ年間延べ300人未満
水産業 常時5人未満かつ5トン未満の漁船等

ただし、

  • 法人経営
  • 地方公共団体
  • 船員を使用する船舶所有者
  • 一定の危険・有害業務

暫定任意適用事業にはなりません。


暫定任意適用事業の例外

個人経営の農業であっても、

農業関係の特別加入をした場合は、

原則として労働者について労災保険の保険関係が成立します。

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