第1種特別加入保険料

本来、労災保険は「労働者」のための制度です。

したがって、

  • 会社社長
  • 個人事業主
  • 法人役員

などは労働者ではないため、原則として労災保険の対象外です。

しかし実際には、

中小企業の事業主は現場で労働者と一緒に働くことが多く、

  • 建設業の親方
  • 運送業の社長
  • 製造業の経営者

なども労働災害に遭う危険があります。

そこで認められているのが

第1種特別加入(中小事業主等の特別加入)

です

「第1種特別加入保険料」とは、労災保険の特別加入制度のうち、中小事業主やその家族従事者、役員などが支払う保険料のことです。

 

目 次

  1. 第1種特別加入保険料
    1. 端数処理
  2. 第1種特別加入保険料率
    1. 特別加入者の給付基礎日額

第1種特別加入保険料

 

① 基本ルール(最重要)

第1種特別加入の保険料は、一般の労働者のように「賃金総額」で計算するのではなく、特別加入者が選択した給付基礎日額を基礎として計算します。

 

計算式

さらに、

です。

したがって、

となります。


具体例

建設業の中小事業主

  • 給付基礎日額:20,000円
  • 労災保険率(=第1種特別加入保険料率):9​/1000

の場合

① 算定基礎額

② 保険料

9​/1000 = 65,700円

よって、

年間保険料は65,700円

となります。


 

一般労働者との違い

一般の労災保険 第1種特別加入
賃金総額 × 労災保険率 給付基礎日額×365 × 第1種特別加入保険料率
労働者が対象 中小事業主等が対象
実際の賃金を使用 選択した給付基礎日額を使用

ここで重要なのは:

  • 給付基礎日額は使わない
  • 年額を月割りして計算する

 

② 加入期間の考え方

たとえば承認日が:令和4年12月15日

特別加入は、
承認日の属する月から適用される(=12月も1か月としてカウント)

したがって保険年度(4月~翌3月)における加入月数は:

  • 12月
  • 1月
  • 2月
  • 3月

合計4か月

 


まとめ

この問題の核心は3点です:

  • 中小事業主の特別加入は年額ベースで計算
  • 給付基礎日額は使わない
  • 承認月は1か月としてカウント

第1種特別加入保険料率

特別加入者も保険料を納めなければなりません。

その保険料率を

第1種特別加入保険料率

といいます。


計算式

法律上は

 第1種特別加入保険料率 = その事業の労災保険率 − 二次健康診断等給付に係る率


なぜ引き算するのか

ここが制度趣旨です。

労災保険には

通常の給付

  • 療養補償給付
  • 休業補償給付
  • 障害補償給付
  • 遺族補償給付

などがあります。

一方で

二次健康診断等給付

という制度があります。

これは

  • 血圧
  • 血中脂質
  • 血糖
  • 肥満

などの結果から脳・心臓疾患のリスクが高い労働者に対し、

再検査や保健指導を行う制度です。


特別加入者には二次健康診断等給付がない

二次健康診断等給付は

労働者だけが対象

です。

中小事業主等の特別加入者には支給されません。

つまり

  • 保険料だけ取る
  • 給付はしない

では不公平になります。

そのため、

二次健康診断等給付の財源部分は保険料率から除く

ことになっています。


現在はどうなっているか

現在

 二次健康診断等給付に係る率=0

とされています。

そのため実務上は

 第1種特別加入保険料率=その事業の労災保険率

となります。


第1種特別加入保険料額の計算

保険料そのものは

 特別加入保険料 = 特別加入保険料算定基礎額 × 第1種特別加入保険料率

で計算します。


算定基礎額とは

特別加入者は賃金がありません。

そこで

本人が選択した

  • 給付基礎日額

をもとに計算します。

例えば

給付基礎日額

20,000円

を選択した場合

20,000円 × 365日 = 7,300,000円

が年間の算定基礎額になります。


具体例

建設業の中小事業主

  • 給付基礎日額 20,000円
  • 労災保険率 9/1000

とすると

算定基礎額

 20,000 × 365 = 7,300,000円

保険料

 7,300,000 × 91000 = 65,700円

となります。


ポイント

よく問われるのは次の3点です。

① 第1種特別加入保険料率は

その事業の労災保険率を基礎にする

② 二次健康診断等給付は

特別加入者には支給されない

③ そのため

第1種特別加入保険料率=労災保険率-二次健康診断等給付分

である

ただし現在は

二次健康診断等給付分の率は「0」

なので、実質的には

「第1種特別加入保険料率=その事業の労災保険率」

と覚えておけば十分対応できます。

第1種特別加入保険料率

第1種特別加入保険料率は、次の通りである。(法13条、則21条の2)

第1種特別加入保険料率

中小事業主等が行う事業に係る労災保険率と同一の率
-(
過去3年間二次健康診断等給付に要した費用の額を考慮して厚生労働大臣の定める率(現在「」))

第1種特別加入保険料の額

特別加入保険料算定基礎額の総額)×(第1種特別加入保険料率
  • 中小事業主等の特別加入に係る率第1種特別加入保険料率といいます

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