支給繰下げの要件
老齢厚生年金の受給権を有する者が次の要件を満たしたときは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。
(法44条の3第1項)
| 支給繰下げの要件 |
- 受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に老齢厚生年金を請求していなかったこと。
- 「老齢厚生年金の受給権を取得したとき」または「受給権を取得した日から起算して1年を経過した日までの間」において次の年金たる給付の受給権者となっていないこと。
ア. 「厚生年金保険法による他の年金たる保険給付」 イ. 「国民年金による年金たる給付」(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く) |
- 2.のア.の「厚生年金保険法による他の年金たる保険給付」には、障害厚生年金、遺族厚生年金があります
- 2.のイ.の「国民年金による年金たる給付」には、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、付加年金、及び寡婦年金があります
- 2.のイ.で、老齢基礎年金、付加年金、障害基礎年金が除外されているため、2.のイ.は、「遺族基礎年金」のことを指しています。国民年金法による年金たる給付の中で遺族基礎年金だけは老齢厚生年金と併給することが認められていないためです。
- なお、寡婦年金の受給権を有していたとしても、繰下げの申出はすることができます。寡婦年金は65歳までの有期年金であり、65歳に達したときにはすでに失権しているためです
まとめると、障害厚生年金、遺族厚生年金、遺族基礎年金の受給権を有していると支給繰下げの申出をすることができないことになります。
老齢「基礎」年金の繰下げ
基本的に他の年金給付の支給を受けることができる場合には、支給繰下げの申出はできませんが、
- 「付加年金」と
- 「老齢厚生年金」は除かれています。
この2つの年金は、老齢基礎年金とともに繰下げを行うことができる(併給が認められている)ものだからです。
- 老齢「厚生」年金の繰下げの申出をすることができるのは、繰下げの開始時点と待機中に、「障害基礎年金」以外の障害・遺族の年金給付の受給権を有していないことが必要です。
国民年金の繰下げと大きく異なる点は、「障害基礎年金」の受給権の取扱いです。 - 65歳以上の場合、障害基礎年金と老齢厚生年金は併給が認められているため、障害基礎年金の受給権を取得した場合であっても支給繰下げの申出をすることができます。
繰下げ待機したあとの受給権者の選択肢は次の2つに分かれます。
- 当初の予定通り繰下げを行う(増額される)。
- 繰下げの申出をせず、65歳から受け取れるはずだった年金を一括で受け取り、以後は通常(増額はされない)の年金を受け取る。
繰下げ時点で健康面に不安を感じてるような場合、2.を選択する人もいます。
- 特別支給の老齢厚生年金を受給したことがあっても、老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができます。