厚生年金保険法 
支給停止

  • 配偶者と子は遺族厚生年金の遺族において共に第1順位ですが、「配偶者>子」が原則となります。ただし、一定の場合には「子>配偶者」となる場合があります。
  • 夫、父母または祖父母に対する遺族厚生年金は、60歳に達するまでは支給が停止されますが、一定の場合には、停止が行われないことがあります。

 

目 次

  1. 子に対する支給停止
  2. 配偶者に対する支給停止
  3. 夫、父母または祖父母に対する支給停止

子に対する支給停止

 

子に対する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有する期間、その支給が停止される。(法66条1項)

ただし、次の場合において、配偶者の遺族厚生年金の支給が停止されている間は、子に遺族厚生年金が支給される。(法66条1項ただし書)

 

子に遺族厚生年金が支給される場合
  1. 受給権者である遺族基礎年金の受給権を有しない者に限る)が、60歳未満であるため夫の遺族厚生年金の支給が停止されている場合(下記「夫、父母または祖父母に対する支給停止」参照) 
  2. 子のみが遺族基礎年金の受給権を有するため、配偶者の遺族厚生年金の支給が停止されている場合(下記「配偶者に対する支給停止」参照
  3. 所在不明による支給停止の規定により、配偶者の遺族厚生年金の支給が停止されている場合
    「所在不明による支給停止」

 

配偶者の申出により年金の支給停止をした場合

  1. 遺族基礎年金においては子に対する遺族基礎年金の支給停止は解除されるのに対し
  2. 遺族厚生年金においては子に対する遺族厚生年金支給停止は解除されません

したがって配偶者及び子の両方の支給が停止されることになります

 

  1. 妻が遺族基礎年金遺族厚生年金障害基礎年金障害厚生年金の受給権を取得し
  2. 併給調整により、「障害基礎年金障害厚生年金を選択し、「遺族基礎年金遺族厚生年金が全額支給停止となった場合であっても
  3. 子に対する遺族基礎年金遺族厚生年金の受給権は引き続き支給停止となります

配偶者に対する支給停止

 

配偶者に対する遺族厚生年金は、当該被保険者または被保険者であった者の死亡について、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有する」ときは、その間、その支給が停止される。ただし、子に対する遺族厚生年金所在不明による支給停止の規定により、その支給を停止されている間は、配偶者に支給される。(法66条2項)

 

配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有する」とは

  • 前妻の子と後妻が別居しているときに夫が死亡したときは
  • 子に遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権
  • 後妻に遺族厚生年金の受給権が発生します
    •  子の遺族基礎年金生計を同じくする母(前妻)がいるため支給停止されます
    •  子の遺族厚生年金後妻の遺族厚生年金通常であれば、「配偶者に優先支給されるところですが後妻の遺族厚生年金は子が遺族基礎年金の受給権を有する間は支給停止されます

 

 

① 基本の考え方

夫や妻が亡くなったとき、残された配偶者には、

  • 遺族基礎年金(国民年金)

  • 遺族厚生年金(厚生年金)

が支給されることがあります。


 

② この条文が言っていること

次のような場合です。

  • 配偶者は「遺族基礎年金」をもらえない

  • しかし、子は「遺族基礎年金」をもらえる

このときは、

配偶者への遺族厚生年金は、その間ストップする

というルールです。


 

③ なぜ止まるの?

遺族基礎年金は、基本的に「子のいる配偶者」や「子」に支給される制度です。つまり「子」に対する養育制度です。

もし

  • 子が遺族基礎年金を受け取っている

  • 配偶者は基礎年金をもらえない

という状態だと、

子の分として基礎年金が支給されているため、
配偶者の厚生年金まで同時に支給すると調整が必要になる、という考え方です。


 

④ ただし書き(例外)

ただし、

子への「遺族厚生年金」が別の規定によって止められている場合

このときは、

配偶者への遺族厚生年金は止めない

とされています。


 

⑤ 超シンプルまとめ

  • 子が遺族基礎年金をもらっている間は
     → 配偶者の遺族厚生年金はストップ

  • でも子の厚生年金も止まっているなら
     → 配偶者の厚生年金は止めない

 

 

 

 

 

  1. 前妻の子と後妻が別居しているときに夫が死亡したときは
  2. 子に遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権
  3. 後妻に遺族厚生年金の受給権が発生します

 

この場合

配偶者が遺族基礎年金の受給権を有しない場合であって子が当該遺族基礎年金の受給権を有するときはその間配偶者に対する遺族厚生年金は支給を停止します

夫、父母または祖父母に対する支給停止

 

父母または祖父母に対する遺族厚生年金は、受給権者が60歳に達するまでの期間、その支給が停止される。(法65条の2)

  • いわゆる若年停止の規定ですこの場合遺族厚生年金の受給権者である夫が遺族基礎年金の受給権を有しない者であるときは夫の遺族厚生年金の支給が停止されている間子の遺族厚生年金が優先されます
  1. 厚生年金保険の被保険者である妻が死亡し、遺族として「夫(58歳)」と「妻の連れ子(15歳)」がいる場合を考えます(夫は、妻の連れ子と養子縁組等をしておらず、子のない配偶者となるため、遺族基礎年金の受給権を有しないものとします)。
  2. 夫と子は、共に第1順位の遺族として遺族厚生年金の受給権を取得します。
  3. しかし、夫は60歳未満であるため、「若年支給停止」となります。
  4. これに対し、子は、原則として配偶者(夫)がいるときは、遺族厚生年金は支給停止となりますが、
  5. 配偶者が若年支給停止されている場合には、例外的に支給停止が解除されます。

この規定は、「遺族厚生年金に対する規定です。「遺族基礎年金に対する規定ではありません

ただし、夫に対する遺族厚生年金については、当該被保険者または被保険者であった者の死亡について、夫が遺族基礎年金の受給権を有するときは、支給は停止されない。(法65条の2ただし書)

 

  1. 厚生年金の被保険者である妻が死亡し、遺族として「夫(58歳)」と「子(15歳)」がいる場合を考えます(夫は妻の死亡当時、子と生計を同じくしており、年収要件も満たしているものとします)。
  2. この夫は「子のある配偶者」に該当するため、遺族基礎年金の受給権は、配偶者(夫)と子の両方が取得しますが、
  3. 「配偶者優先」で子の受給権は支給停止され、夫に遺族基礎年金が支給されます。
  4. これに対し、遺族厚生年金は、夫が60歳未満(58歳)であるため、「若年支給停止」となります。
  5. ただし、この夫は「遺族基礎年金の受給権」を有しています。この場合、若年支給停止は適用されません。
  6. 夫に対して遺族厚生年金が支給されるため、「配偶者優先」により、子に対する遺族厚生年金は支給停止となります。

 

 

 具体例
  1. 厚生年金保険の被保険者である妻が死亡し、55歳未満の夫と子が残された場合、
  2. 夫は遺族基礎年金の受給権を、
  3. 子は遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権をそれぞれ取得するが、
  4. この場合、遺族基礎年金は夫が、
  5. 遺族厚生年金は子が受給する。

 

  1. 厚生年金保険の被保険者である妻が死亡し、55歳の夫と子が残された場合、
  2. 夫は遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権を、
  3. 子も遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権をそれぞれ取得するが、
  4. この場合、子が18歳に達した日以後の最初の3月31日までの間は夫が遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給し、
  5. 子が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに遺族基礎年金は失権し、
  6. 夫が60歳に達するまでの間は遺族厚生年金は支給停止される。

 

  1. 厚生年金保険の被保険者である妻が死亡し、55歳の夫のみが残された場合、
  2. 夫は遺族厚生年金の受給権を取得するが、
  3. この場合、夫が60歳に達するまでの間は遺族厚生年金は支給停止される。

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