健康保険法
給付制限

健康保険法における給付制限とは、特定の状況下で保険給付の全部または一部が行われないことを指します。

 

目 次

  1. 絶対的給付制限
  2. 自殺との関係
  3. 相対的給付制限(全部または一部の給付制限)
  4. 不正受給による給付制限

絶対的給付制限

 

被保険者または被保険者であった者が、自己の故意の犯罪行為により、または故意給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は行われない。(法116条)

  • 通常は故意だけが絶対的給付制限ですが健康保険国民健康保険など医療保険においては、「故意の犯罪行為飲酒による無謀運転制限速度超過無免許運転など)」による場合であっても絶対的給付制限の対象となります

  ⇨ 各法律における絶対的支給制限

 

  • 事業主が保険料を滞納しても被保険者に対する保険給付が制限されることはありません
  • 絶対的支給制限は、「自己の故意の犯罪行為故意の場合です。「重過失の場合は相対的支給制限となります

自殺との関係

 

自殺故意に基づく事故であるが、死亡は最終的一回限りの絶対的な事故であり、埋葬料は埋葬を行う者に対して支給されるという性質のものであるから給付制限事由に該当しないものとして、埋葬料は支給される(昭和26年3月19日保文発721号)

  • 埋葬料は「被保険者であった者に生計を依存していた者で埋葬を行う者に対して支給される」という性質であることが考慮されています。

相対的給付制限(全部または一部の給付制限)

 

被保険者闘争泥酔または著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部または一部を行わないことができる(法117条)

 

全部又は一部不支給(各法令)

法令 全部不支給または一部不支給となる場合
労災保険法 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたとき
健康保険法
  • 闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたとき
  • 正当な理由なしに文書等の提出命令に従わず、又は診査若しくは受診を拒んだとき
(一部不支給)
正当な理由なしに療養に関する指示に従わないとき
国民年金法
  • 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病若しくは死亡又はこれらの原因となった事故を生じさせ、又は障害の程度を増進させたとき
  • 自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、死亡若しくはその原因となった事故を生じさせ、又はその回復を妨げたとき
厚生年金保険法

自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたとき

  • 闘争とは喧嘩闘争のことであり正当防衛は含みません
  • 闘争泥酔または著しい不行跡重大な過失といえますから他の法律と同様に、「全部または一部の相対的給付制限になります

保険者は、保険給付を受ける者が、正当な理由なしに、文書の提出などの命令に従わずまたは答弁若しくは受診を拒んだときは、保険給付の全部または一部を行わないことができる。(法121条)

年金給付のある他の法律において文書などの提出拒否や答弁拒否受診拒否は、「一時差止めとなりますが健康保険では全部または一部の相対的給付制限となります

不正受給による給付制限

 

保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受けまたは受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金または出産手当金の全部または一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りではない。(法120条)

不正行為により給付を受けた事故が1月20日から2月1日に及び、その事実を保険者が2月10日認知したので2月12日に不支給期間の決定を行うに当り、1月20日から6か月以内の期間を定めるべきではなく、将来においてのみ決定すべきものなので、2月12日以後において6か月以内の期間を定めて、決定すべきものである。(昭和3年3月14日保理483号)

  • 不支給期間の決定は保険者が不正の事実を知った時以後の将来においてのみ決定すべきものとされています

 

不正受給者からの費用徴収・返還命令等(各法)

区分 労災保険法 雇用保険法 健康保険法 国民年金法 厚生年金保険法
不正受給者からの費用徴収・返還命令等 偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合、政府は、その者に対し、その支給した失業等給付額の全部又は一部を返還することを命ずることができる。 偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、保険者等は、その者がその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。 偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。 偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、実施機関は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
納付命令 失業等給付額の2倍に相当する額以下の納付命令
給付制限 求職者給付又は就職促進給付等の給付制限の規定あり 6月以内の傷病手当金(出産手当金)の給付制限(ただし不正の行為から1年以内)

不正の行為には健康保険証の不正取得労務不能ではない傷病手当金の請求保険医等に贈賄しての保険給付などのケースが考えられます

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