労災保険法
支給制限

労災保険法における支給制限は、労働者の行為や事業主の義務違反に基づき、保険給付の全部または一部が行われない仕組みです。

 

目 次

  1. 絶対的支給制限
    1. 各法律における支給制限
    2. 全部不支給
  2. 相対的支給制限
    1. 支給制限の範囲(故意の犯罪行為又は重大な過失の場合)
  3. 一時差止め
    1. 「命令違反」の制限内容

絶対的支給制限

 

労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡またはその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない
(法12条の2の2第1項)

  • 「直接の原因」とは、労働者の故意の行為によって、直接的かつ即座に引き起こされたことを指します。他の要因が介在する余地が極めて少ない、密接な因果関係といえます。

 

労災保険法
費用徴収
費用徴収事業主に対する規定
成立届未提出 故意 100%
重大な過失 40%
一般保険料を滞納している期間 滞納率
(最大40%)
故意または重大な過失により生じさせた業務災害 30%

 

各法律における支給制限

 

  労災保険法

国民年金法

厚生年金保険法

健康保険法
支給制限
支給制限労働者本人に対する規定
故意に
(わざと)
絶対的支給制限 絶対的支給制限 絶対的支給制限
故意の犯罪行為(無免許飲酒運転など)

相対的給付制限

  • 原則 30%減額 「休」「傷」「障」
  • 原則 10日減額 「休」「傷」
相対的給付制限
重大な過失(闘争・泥酔等) 相対的給付制限
療養に関する指示違反 相対的給付制限(一部)
命令違反 一時差止め 支給停止 相対的給付制限
届出義務違反 一時差止め

故意の犯罪行為」、「重過失又は療養に関する指示違反の場合は原則として相対的支給制限となります
医療保険である健康保険法においては「故意の犯罪行為」は、絶対的支給制限となり、「療養に関する指示違反」は一部不支給となっています)。

 

全部不支給

健康保険法(国民健康保険法及び高齢者医療確保法)と年金給付のある法律でルールが異なる。

 

労災保険法 健康保険法 国民年金法・厚生年金保険法
労働者が、故意負傷、疾病、障害若しくは死亡またはその直接の原因となった事故を生じさせたとき 自己の故意の犯罪行為、又は故意に給付事由を生じさせたとき

故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた場合

  • これを支給事由とする障害基礎年金は支給しない
  • 当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は支給しない
   

被保険者又は被保険者であった者を故意に死亡させた者

  • 遺族基礎年金、寡婦年金又は死亡一時金は支給しない
  • 遺族厚生年金は支給しない
   

被保険者又は被保険者であった者の死亡前に、その者の死亡により遺族基礎年金又は死亡一時金(遺族厚生年金)の受給権を有する者を故意に死亡させた者

  • 遺族基礎年金又は死亡一時金は支給しない
  • 遺族厚生年金は支給しない

相対的支給制限

 

労働者故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷疾病障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷疾病若しく障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付全部又は一部を行わないことができる。(法12条の2の2第2項)

 → 参照 各法律における支給制限

支給制限の範囲(故意の犯罪行為又は重大な過失の場合)

  • 故意の犯罪行為又は重大な過失の場合における支給制限の範囲は次の通りである。(昭和52年3月30日基発192号)
対象となる保険給付 支給制限の内容
休業補償等給付     
傷病補償等年金
障害補償等年金
 保険給付の都度、所定給付額の「30%相当額の減額
(ただし、年金給付については、療養開始後3年以内の期間に支給されたもののみ)            

 

労働基準法では休業補償障害補償のみを支給制限としている関係で労災保険法においても支給制限する範囲が限定されています

  • 労働基準法78条 
     労働者が、重大な過失によって業務上負傷し、又は疾病にかかり、且つ使用者がその過失について行政官庁の認定を受けた場合においては、休業補償又は障害補償を行わなくてもよい
  • 遺族補償給付については支給制限は行われません

一時差止め

 

政府は、保険給付を受ける権利を有する者が、正当な理由がなくて届出をせず、若しくは書類その他の物件の提出をしないとき、又は保険給付を受けようとする者が報告、届出、文書等の提出又は受診命令に従わないときは、保険給付の支払を一時差止めことができる。(法47条の3)

  • 保険給付の支払を一時差し止めるとは金銭給付の支払を受給権者に対して一時的にしないことであり差止め事由がなくなれば留保した金銭給付の支払を行うことをいいます
  • 原則として保険給付に関する届出しないとき物件を提出しないとき命令に従わないときは一時差止めが行われます

 

「命令違反」の制限内容

支給停止の場合は、その後支給されることはありませんが、一時差止めの場合は、差止め事由が解消されたときにさかのぼって支給が行われます。

法令(条文) 命令違反となる場面 制限内容
労災保険法
(法47条の3)
届出をせず、若しくは書類その他の物件の提出をしないとき、又は労働者及び受給権者の報告、出頭等及び受診命令の規定による命令に従わないとき 一時差止め
健康保険法
(法121条)
保険者は、保険給付を受ける者が、正当な理由なしに、命令に従わず、又は答弁若しくは受診を拒んだとき 相対的給付制限
国民年金法
(法72条)
① 被保険者が、正当な理由がなくて、命令に従わず、又は当該職員の質問に応じなかったとき
② 障害基礎年金の受給権者又は子が、正当な理由がなくて、命令に従わず、又は当該職員の診断を拒んだとき
支給停止
厚生年金保険法(法77条) ① 受給権者が、正当な理由がなくて、命令に従わず、又は当該職員の質問に応じなかったとき
② 障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又はその者について加算が行われている子が、正当な理由がなくて、命令に従わず、又は診断を拒んだとき

支給停止

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