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これらの併給は矛盾しており、また、同一の期間に対して所得保障を行うこととなるため、両方の給付が重複して支給されることは社会保障として過剰となるとの理由で、これらは給付調整が行われます。
目 次
基本手当との調整
特別支給の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金、繰上げ支給の老齢厚生年金)は、当該受給権者(基本手当の受給資格を有する者に限る)が、失業の認定を受けるために公共職業安定所において求職の申込みをしたときは、当該求職の申込みがあった月の翌月から次のいずれかに該当するに至った月までで各月において、その支給が停止される。(附則7条の4第1項、附則11条の5)
| 基本手当との調整 |
|---|
|
この調整は、「平成10年4月1日前」に受給権を取得した特別支給の老齢厚生年金については適用されません(平成6年附則25条1項)
「高在老」
(老齢厚生年金-(「加給年金額」、繰下げ加算額、経過的加算額))÷12
=(報酬比例部分)÷12
「低在老」
(特別支給の老齢厚生年金-「加給年金額」)÷12
=(報酬比例部分+定額部分)÷12
支給停止されない場合
調整対象期間の各月において、その月において、当該老齢厚生年金の受給権者が基本手当の支給を受けた日とみなされる日及びこれに準ずる日として政令で定める日のない場合、その月分の老齢厚生年金の支給停止は行われない。(附則7条の4第2項、附則11条の5)
「これに準ずる日として政令で定める日」とは、次の通りである。(令6条の4)
| 1 | 待期期間 | 雇用保険法21条 | 基本手当の待期期間 |
|---|---|---|---|
| 2 | 就職拒否または訓練受講拒否による給付制限期間 | 雇用保険法32条1項 | 不正受給以外の事由による給付制限期間 |
| 3 | 職業指導拒否による給付制限期間 | 雇用保険法32条2項 | |
| 4 | 離職理由による給付制限期間 | 雇用保険法33条1項 |
「これに準ずる日として政令で定める日」が属する月は、現実には基本手当の支給を受けていませんが、特別支給の老齢厚生年金は支給停止されることになります。
ただし、この場合、「事後精算」の仕組みによって、支給停止が解除されます。
事後精算
調整対象期間の各月のうち、老齢厚生年金の「年金停止月の数」から当該老齢厚生年金の受給権者が「基本手当の支給を受けた日とみなされる日の数を30で除して得た数(1未満の端数が生じたときは、1に切り上げる)」を控除して得た数が1以上であるときは、年金停止月のうち、当該控除して得た数に相当する月数分の直近の各月については、老齢厚生年金の支給停止が行われなかったものとみなされ、その直近の支給停止月から順次前の支給停止月に遡って支給停止が解除される。(附則7条の4第3項、附則11条の5)
| 事後精算による支給停止解除月数 |
|---|
| (事後精算による支給停止解除月数)=(支給停止月数)-(基本手当の支給対象となった日数)/ 30 |
【例1】
ハローワークで求職の申込みをすると、「失業の状態」として雇用保険の手続きが始まります。
この時点で、
年金は翌月の5月から支給停止になります
年金は月単位で処理されるため、4月中に申込みをすると、翌月の5月分から止まります。
自己都合退職などの場合、すぐに失業手当は支給されず、通常3か月の「給付制限」があります。
この例では、
実際に基本手当を受け取ったのは
→ 8月・9月・10月
という設定です。
重要なのはここです。
法律上、
「不正受給以外の理由による給付制限期間」も
「これに準ずる日(政令で定める日)」に該当する
とされています。
つまり、
実際に失業手当を受け取っていない
でも給付制限中である
この期間も、年金は支給停止になるということです。
したがって、
5月(給付制限)
6月(給付制限)
7月(給付制限)
8月(基本手当受給)
9月(基本手当受給)
10月(基本手当受給)
→ 合計6か月間
5月から10月まで年金は支給停止になる
という意味です。
「失業手当を実際にもらった月だけ止まる」のではなく、
✅ 求職の申込みをした翌月から
✅ 給付制限期間も含めて
✅ 基本手当の対象となる期間すべて
年金は支給停止される、という説明です。
【例2】
①4月20日に求職の申込み
年金は翌月の 5月から支給停止
自己都合退職などで 3か月の給付制限
5月
6月
7月
※この期間は失業手当をまだもらっていない
しかし、
「不正受給以外の給付制限期間」も年金停止対象になる
ため、この3か月も年金は止まります。
8月
9月
10月
11月
今回は、前回より1か月多く、11月まで受給しています。
この4か月も当然、年金は支給停止になります。
停止期間は
5月(給付制限)
6月(給付制限)
7月(給付制限)
8月(受給)
9月(受給)
10月(受給)
11月(受給)
→ 合計 7か月
つまり、
基本手当の支給対象となる期間(給付制限を含む)が11月まで続いたため、
年金も5月から11月まで止まる
という意味です。
ポイントは、
「実際にお金をもらった月」ではなく、
「基本手当の対象期間(給付制限を含む)」で判断する
ということです。
| ケース | 基本手当受給 | 年金停止 |
|---|---|---|
| 前回 | 8~10月 | 5~10月(6か月) |
| 今回 | 8~11月 | 5~11月(7か月) |
受給月が1か月増えれば、停止も1か月増える という仕組みです。
例えば、
受給が10月で終わる人 → 年金停止6か月
受給が11月まで続く人 → 年金停止7か月
となります。
つまり、
実際の受給日数が大きく違わなくても 受給終了月が1か月ズレるだけで 年金停止月数が増減する
という問題です。
これは制度設計上、「月単位」で停止する仕組みになっているために起こります。
待期期間
給付制限期間(自己都合退職など)
この期間は、
✔ 基本手当は1円も支給されていない
✔ しかし法律上は「これに準ずる日」に該当
そのため、
年金は止まる という現象が起きます。
つまり、 「失業手当をもらっていない月まで年金が止まる」 という不合理が生じます。
この不合理を修正するために、 最終的な基本手当の受給日数が確定した後に 年金停止期間を再計算する
という仕組みが用意されています。
これを「事後精算」といいます。
年金は一旦、
求職申込みの翌月から
給付制限も含めて
機械的に止めます。
しかしその後、
✔ 実際に何日分の基本手当を受給したか
✔ 何か月が本来停止対象か
を確定させ、 本来より長く止めすぎていた分があれば まとめて年金を支給する
という調整が行われます。
最初は「仮止め」
後で「本計算して返金」
という二段階方式になっているのです。
理由は、
基本手当の受給状況は途中では確定しない
受給日数や終了時期が変動する
行政処理を簡素にする必要がある
からです。
【事後精算】
| 具体例 |
|---|
→100日÷30=3.3→4か月(端数切り上げ) →5か月-4か月=1か月の支給停止解除
→90日÷30=3か月 →4か月-3か月=1か月の支給停止解除 |
高年齢雇用継続給付との調整
特別支給の老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日が属する月について、その者が高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができるときは、在職老齢年金による支給停止に加え、当該月分の老齢厚生年金について次の調整が行われる。(附則7条の5第1項、附則11条の6第1項)
| 要件 | 調整額 |
|---|---|
| 標準報酬月額が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の64に相当する額未満であるとき | (標準報酬月額)×(100分の4) |
| 標準報酬月額が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の64に相当する額以上100分の75に相当する額未満であるとき | 標準報酬月額に、100分の4から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率を乗じて得た額 |
高年齢再就職給付金についても同様に調整が行われます。(附則11条の6第8項、附則7条の5第5項)
| 具体例 |
|---|
| 年金額が240万円、総報酬月額相当額が30万円(標準報酬月額26万円、その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額4万円の合算額)である者が、高年齢雇用継続基本給付金を受給している(60歳到達時のみなし賃金日額に30を乗じて得た額は50万円とする)場合の、 ① 在職老齢年金のしくみにより支給される年金月額、 ② 高年齢雇用継続基本給付金の受給による調整額を求めよ。
((30万円+20万円)-62万円)×1/2<0 →支給される年金月額 20万円ー0万円=20万円
26万円×4/100=10,400円 |
高年齢雇用継続基本給付金とは、
60歳以降も働き続けている人で
60歳到達時と比べて賃金が大きく下がった場合に
その減少分の一部を補填するために支給される
雇用保険の給付です。
60歳を過ぎると、
定年再雇用
契約社員化
役職定年
などにより、賃金が下がるケースが多いです。
その結果、
「働き続けたいけれど収入が大きく減る」
という問題が生じます。
そこで、
✔ 高齢者の就労継続を促す
✔ 急激な収入減を緩和する
ために設けられている制度です。
主な要件は次のとおりです。
これが最重要ポイントです。
賃金の低下率に応じて支給率が決まります。
最大で
低下後の賃金の 10%
が支給されます。
(※賃金が64%以下に下がった場合が上限)
60歳到達時の賃金:月40万円
60歳以降の賃金:月24万円(60%)
この場合、
最大10%支給されるので、
24万円 × 10% = 2万4,000円
が支給されます。
この給付金は、
✔ 老齢厚生年金と併給調整がある
というのが大きな特徴です。
つまり、
特別支給の老齢厚生年金を受けている人は、
年金が一部支給停止されることがあります。
| 給付 | 内容 |
|---|---|
| 基本手当 | 失業中にもらう |
| 高年齢雇用継続基本給付金 | 働き続けている人がもらう |
失業給付とは全く性質が違います。
高年齢雇用継続基本給付金とは、
60歳以降も働く人の賃金低下を補うための雇用保険給付 です。
繰上げ支給の老齢基礎年金との調整(昭和16年4月1日以前生まれの者)
昭和16年4月1日以前生まれの者が、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、特別支給の老齢厚生年金は全額支給が停止される。(平成6年附則24条1項・2項)
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