フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制

フレックスタイム制 採用の要件

 

① 就業規則等で定めること

就業規則その他これに準ずるものにおいて、

「始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねる」

旨を定めなければなりません。

つまり、会社が毎日の始業・終業時刻を指定するのではなく、一定の範囲内で労働者自身が決定できる制度であることを明確にする必要があります。

 

② 労使協定を締結すること

フレックスタイム制では労使協定において次の事項を定めます。

  • 対象労働者の範囲
  • 清算期間(3か月以内)
  • 清算期間の起算日
  • 清算期間における総労働時間
  • 標準となる1日の労働時間
  • コアタイムを設ける場合はその時間帯
  • フレキシブルタイムを設ける場合はその時間帯
  • 清算期間が1か月超の場合の協定有効期間

なお、フレックスタイム制の労使協定は労働基準監督署への届出は不要です(清算期間が1か月超の場合も同様)。


1年単位の変形労働時間制との違い

1年単位の変形労働時間制(労基法32条の4)では、

  • 労使協定の締結
  • 労働基準監督署への届出

が必要です。

さらに、

  • 対象期間(1か月超1年以内)
  • 労働日
  • 各労働日の労働時間

をあらかじめ具体的に定める必要があります。

例えば、

「7月から9月の間に3日間休日を取る」

という定め方では、休日が後から決まるため、労働日が特定されているとは認められません。


フレックスタイム制と1年単位の変形労働時間制の本質的な違い

項目 フレックスタイム制 1年単位変形労働時間制
労働時間の決定 労働者が決定 会社が事前に決定
必要書類 就業規則+労使協定 労使協定+届出
労働日・休日の特定 不要 必須
対象期間 最大3か月(清算期間) 最大1年
主な目的 働く時間の自由度確保 繁閑に応じた労働時間配分

実務上のポイント

フレックスタイム制を導入する場合は、

  • 就業規則にフレックスタイム制を規定する
  • 労使協定を締結する
  • 清算期間内の総労働時間を定める

ことで足ります。

一方、

  • 「繁忙期は1日10時間勤務」
  • 「閑散期は6時間勤務」

のように会社側が年間を通じて労働時間を調整したい場合は、フレックスタイム制ではなく1年単位の変形労働時間制の導入を検討することになります。

「1年単位の変形労働時間制」は、一定の期間(最長1年)を平均して、法定労働時間(週40時間)以内に収めれば、特定の日や週に法定時間を超えて働かせることができる制度です。季節変動のある業種(建設業、製造業、観光業など)でよく使われます。


■ 法的根拠(条文)

労働基準法第32条の4に規定されています。

▼ 労働基準法第32条の4(抜粋・要旨)

使用者は、1か月を超え1年以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲で、
特定の日または週について、法定労働時間を超えて労働させることができる。
ただし、労使協定の締結および届出が必要である。


■ 制度のポイント

 

① 「平均」で判断する

通常は

  • 1日:8時間
  • 1週:40時間

を超えると残業ですが、この制度では

1年間トータルで平均40時間以内ならOK


② 忙しい時期は長く働ける

例:

時期 労働時間
繁忙期 週50時間
閑散期 週30時間

→ 平均40時間以内なら合法

 


③ ただし無制限ではない(上限あり)

法律上、以下の制限があります:

 

▼ 1日・1週の上限

  • 1日:10時間まで
  • 1週:52時間まで

※さらに

  • 連続して長時間労働が続かないよう制限あり

④ 導入には必ず手続きが必要

単に会社が決めるだけではNGです。

 

必須要件:

  • 労使協定の締結
  • 労働基準監督署への届出

■ 労使協定で定める内容(重要)

労基法施行規則等により、以下を明記する必要があります:

  • 対象労働者の範囲
  • 対象期間(1年以内)
  • 各日・各週の労働時間
  • 労働日数
  • 特定期間(特に忙しい期間)

■ メリット・デメリット

 

メリット

  • 繁忙期に柔軟な労働が可能
  • 残業代の抑制

 

 

デメリット

  • 制度設計が複雑
  • 運用ミスで違法になりやすい
  • 労働者の負担増

 


■ まとめ

1年単位の変形労働時間制とは、「1年平均で週40時間以内に収めることで、繁忙期に長時間労働を可能にする制度」です。

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