雇用保険法
求職者給付(技能習得手当、寄宿手当、傷病手当

  •  一般被保険者が失業した場合における求職者給付には、基本手当以外に、公共職業訓練等を受講した者に対する「技能習得手当」と「寄宿手当」が設けられています。
  •  傷病により職業に就くことができない場合には、基本手当に代えて、「傷病手当」が支給されます。

 

目 次

  1. 技能習得手当
  2. 受講手当が支給されない日
  3. 傷病手当
  4. 不支給日
  5. 傷病の認定
  6. 支給額及び支給日数

技能習得手当

 

制度の趣旨

失業者がハローワークの指示により職業訓練を受講する場合、生活を支援して早期再就職を促進するために、基本手当(いわゆる失業手当)に上乗せして支給される給付です。

対象となるのは、

  • 公共職業安定所長が指示した公共職業訓練等
  • 訓練期間が2年以下 です。

技能習得手当の内容

技能習得手当は次の2種類です。

 

①受講手当

訓練を受けた日に支給される手当

 

②通所手当

訓練施設へ通うための交通費相当


さらに寄宿手当もある

訓練のために家を離れて寄宿(下宿等)する場合には、

  • 技能習得手当
  • 寄宿手当

が基本手当に加算されます。

受講手当が支給されない日

 

受講手当の支給額・支給日数

訓練を受講した日について支給されます。 ただし、

40日分が上限 です。


支給されない日

 

①訓練を受けていない日

当然ながら、

  • 欠席した日
  • 訓練のない日

は対象外です。


②基本手当の対象にならない日

具体的には

  • 待期期間中
  • 給付制限期間中
  • 傷病手当の支給対象日 です。

技能習得手当は「基本手当に付随する給付」なので、基本手当が支給されない日には原則支給されません。


自己都合退職者の特例

通常、 自己都合退職者には給付制限があります。 しかし、

ハローワークの指示による公共職業訓練を受講すると、

給付制限が解除される

場合があります。

すると、

  • 基本手当
  • 技能習得手当

の両方を受給できるようになります。 これは、

「早く再就職したいなら勉強しよう」

という政策的な優遇措置です。


内職した場合

受講手当は、「基本手当の支給の対象となる日」について支給されます。

ここでいう「支給の対象となる日」には、

も含まれます(則57条1項、行政手引52851)。

つまり、内職やアルバイト収入により、収入が多くて基本手当が支給されなかった日であっても、その日が公共職業訓練を受講した日であれば、受講手当は支給されます。

❌「基本手当が減額されたから受講手当も出ない」 ではなく、

⭕「訓練を受けている以上、受講手当は出る」 です。

傷病手当

 

制度の趣旨

失業給付を受けている人が、

求職申込み後に病気やケガで働けなくなった場合、

基本手当の代わりに支給されるのが傷病手当です。


支給要件

次のすべてを満たす必要があります。

 

①受給資格者であること

失業給付を受けられる人であること


求職申込み後に発病・負傷したこと

ここが最も重要なポイントです。

傷病手当は、ハローワークで求職の申込みをした後に、病気やケガによって働けなくなった場合に支給されます。

そのため、次の場合は傷病手当の対象にはなりません。

  • 離職前から病気やケガで働けない状態が続いている場合
  • 離職後に病気やケガになったとしても、求職の申込みをする前に発症し、その状態がそのまま続いている場合

なぜなら、傷病手当は、

求職活動を開始した後に、病気やケガによって就職活動ができなくなった人を保護する制度

だからです。

一方、「失業」とは、

働く意思と能力があるにもかかわらず、仕事に就くことができない状態

をいいます。

そのため、求職の申込みをした時点で既に働くことができない人は、「失業」の状態とは認められず、傷病手当の対象にはなりません。


具体例

 

○ 支給される例

離職

ハローワークで求職申込み

1週間後に骨折

30日間就職活動ができない

傷病手当の対象


× 支給されない例①

病気で働けない

退職

そのまま求職申込み

離職前から働けない状態が続いているため対象外


× 支給されない例②

退職

インフルエンザで2週間療養

まだ治っていない状態で求職申込み

求職申込み前に発症しているため対象外


このように「いつ病気やケガになったか」ではなく、

「求職申込みをした後に、働けなくなったかどうか」

が傷病手当の支給を受けられるかどうかの分かれ目になります。


③15日以上継続して働けないこと

例えば

  • 風邪で1週間休養

→ 傷病手当は出ない

  • 骨折で1か月就職活動できない

→ 傷病手当の対象

となります。


妊娠との関係

妊娠そのものは病気ではありません。

しかし、

  • 重いつわり
  • 切迫流産

など医学的に疾病と認められる場合は対象になります。

ポイントは

求職申込み後に発症したこと です。


15日未満の場合

病気やケガでハローワークへ行けない期間が

15日未満なら、

傷病手当ではなく

基本手当の証明書認定

で対応します。 つまり、

病院の証明などで失業認定を受けて、

通常の基本手当が支給されます。


受給期間延長との関係

失業給付は原則として受給期間が決まっています。 しかし、

  • 妊娠
  • 出産
  • 育児
  • 病気やケガ

で30日以上働けない場合は、

受給期間の延長が可能です。


ただし、 同じ傷病について

  • 受給期間延長
  • 傷病手当

を重複利用することはできません。

例えば

先に受給期間延長を申請した後で、

同じ病気について傷病手当を申請すると、

延長措置は取り消されます。

不支給日

次の日は不支給です。

 

①基本手当が支給される日

傷病手当は

「基本手当の代替」 なので、

基本手当が支給される日は不要です。


②給付制限期間中

自己都合退職者の給付制限期間中は支給されません。


③待期期間中

待期期間も対象外です。


④他制度から同種給付を受けられる日

代表例

  • 健康保険の傷病手当金
  • 労災保険の休業補償給付
  • 労基法の休業補償

などです。


なぜ重複受給できないのか

これらはすべて

病気やケガで働けず収入を失った人を支援する制度

だからです。

同じ理由で複数制度から二重に給付を受けることはできません。

傷病の認定

 

傷病手当の認定手続

傷病手当を受けるには、

病気やケガが治った後、

最初の失業認定日まで

  • 傷病手当支給申請書
  • 受給資格者証等

を提出して認定を受けます。

支給額及び支給日数

 

傷病手当の金額

傷病手当の日額は

基本手当の日額と同額 です。


支給日数

支給できる日数は

所定給付日数 − 既に受給した基本手当の日数 です。

例えば、

所定給付日数120日

既に基本手当30日受給 なら

残り90日が上限になります。

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