基本手当の額

  • 基本手当の支給に当たり、まず離職者の「賃金日額」が算定されます。次いで、この賃金日額に基づいて「基本手当日額」が算定されます。
  • 基本手当日額は、原則として、離職される直前の6か月間に支払われた賃金の合計金額を、180で割った金額である賃金日額の80%から45%になります。
  • 内職、手伝いによる収入があった場合には、一定の基準で計算して基本手当が減額または不支給となる場合があります。

 

特に重要なポイント

  • 基本手当日額=賃金日額×給付率
  • 60歳未満の給付率は50~80%、60~64歳は45~80%
  • 低賃金ほど給付率が高く、高賃金ほど低くなる
  • 年齢区分ごとに基本手当日額の上限額が定められている
  • 基本手当日額は賃金日額の80%を超えない
  • 失業認定期間中に収入を得た場合は、「(収入-1,391円)+基本手当日額」が賃金日額の80%を超えるかどうかで、全額支給・減額支給・不支給を判定する
  • 減額調整は失業認定期間中のみ適用され、給付制限期間中には適用されない

 

目 次

  1. 賃金日額(原則)
  2. 基本手当日額(60歳未満)
    1. 給付率とは
  3. 基本手当日額(60歳以上65歳未満)
  4. 基本手当日額には上限がある
  5. 基本手当の減額

賃金日額(原則)

 

① 結論:賃金日額とは何か

退職前の平均的な1日あたり賃金(雇用保険版)

これをもとに
➡️ 基本手当日額(失業手当)が決まる


② 原則の計算式

まずはシンプルにこれだけ覚えます:

過去6か月の賃金 ÷ 180日


■ なぜ180?

6か月=約180日として固定計算

実際の出勤日数は関係ない
常に180で割る(ここが重要)


③ 対象となる賃金

ここが非常に重要です。

■ 含まれるもの

  • 基本給
  • 各種手当(通勤・残業など)

■ 含まれないもの(超重要)

以下は除外:

  • 賞与(ボーナス)
  • 臨時の賃金

つまり:

3か月を超える期間ごとの賃金は全部除外


■ ポイント

  • 就業規則に書いてあっても関係なし
  • 名前が何でも「実質ボーナス」なら除外

④ なぜ賞与を除くのか

失業手当は「日常的な生活保障」

だから:

  • 毎月の安定収入だけを基準にする
  • ボーナスの多寡で差が出ないようにする

⑤ どこから数字を取るか

離職票(離職証明書)

ここに:

  • 6か月分の賃金が記載されている

➡️ それをそのまま使う


⑥ 制度の特徴:総賃金制

ここも重要な考え方です。

 

■ 雇用保険

総賃金制(実賃金制)

= 実際にもらった賃金をベース


■ 対比(健康保険など)

標準報酬制(等級)


雇用保険は:
➡️ リアルな収入を重視


⑦ 労基法との違い

ここは比較で覚えると強いです。

■ 雇用保険(賃金日額)

  • 6か月
  • ÷180(固定)
  • 総日数ベース

■ 労基法(平均賃金)

  • 3か月
  • 実日数で割る

⑧ 最低保障(似てるけど違う)

日給者などの保護ルールがあります。

■ 雇用保険

(総賃金 ÷ 実労働日数)×70%


■ 労基法

(総賃金 ÷ 労働日数)×60%


ポイント:

  • 雇用保険の方が少し厚い(70%)

⑨ イメージで理解

例えば:

  • 6か月で賃金120万円

120万 ÷ 180 = 約6,666円

➡️ これが賃金日額

ここから:
約50~80%が基本手当日額になる


⑩ まとめ

賃金日額とは、離職前6か月の賃金総額(賞与除く)を180で除して算定する額である


⑪ 超重要ポイント整理

最後にこれだけ押さえればOK:

  • 6か月 ÷ 180(固定)
  • 賞与は除外
  • 離職票ベース
  • 総賃金制
  • 労基法と混同しない

平均賃金(労基法)と賃金日額(雇用保険法)の算定

 

区分 平均賃金(労働基準法) 賃金日額(雇用保険法)
原則 3か月間の賃金総額 ÷ 3か月間の総日数(総労働日数ではない) 6か月間の賃金総額 ÷ 180
日給者等の最低保障 3か月間の賃金総額 ÷ 3か月間の総労働日数)× 60% (6か月間の賃金総額 ÷ 6か月間の総労働日数)× 70%

労働基準法の割増賃金の基礎となる賃金からは家族手当通勤手当別居手当子女教育手当住宅手当などは除外されます

賃金日額の算定の基礎となる賃金からは除かれませんしたがって、それらの多寡によって基本手当の日額が異なることがあります。

基本手当日額(60歳未満)

 

基本手当日額とは、

失業した日に1日当たり支給される基本手当の額 です。

この金額は、離職前の賃金を基礎として決定されます。

計算式は非常にシンプルです。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率 (雇用保険法16条) つまり、

  • 離職前の賃金が高いほど基本手当日額も高くなる
  • ただし、給付率や上限額が設けられているため、賃金に比例して無制限に増えるわけではありません。

 


給付率とは

賃金日額に掛ける割合を給付率といいます。

給付率は

  • 年齢
  • 賃金日額

によって異なります。


60歳未満

60歳未満は

50%~80%

の範囲で給付率が決まります。

 

特徴

  • 賃金が低い人ほど給付率は高い
  • 賃金が高い人ほど給付率は低くなる

つまり、 生活保障を重視した制度になっています。

賃金日額4,000円

→給付率80%

賃金日額15,000円

→給付率50%

基本手当日額(60歳以上65歳未満)

60歳以上になると 給付率は

45%~80%

になります。

60歳未満よりも

高賃金部分の給付率が低く設定されています。

基本手当日額には上限がある

 

どれだけ給料が高くても、

基本手当には上限があります。

例えば(2026年改正後)

年齢区分 基本手当日額の上限
29歳以下 7,255円
30~44歳 8,055円
45~59歳 8,870円
60~64歳 7,623円

つまり、 年収が非常に高い人でも、

この金額を超える基本手当は支給されません。


年齢によって上限額が異なる理由

年齢が高いほど

一般的には賃金も高くなる傾向があります。 そのため

45~59歳は

最も上限額が高くなっています。 一方、

60歳以上は

給付率が45%となる区分があるため、

上限額も低くなっています。


具体例

52歳の受給資格者

賃金日額

17,740円(上限)

給付率50%

17,740円 × 50% = 8,870円

これが基本手当日額です。


62歳の場合

賃金日額

16,940円(上限)

給付率45%

16,940円 × 45% = 7,623円

したがって、

52歳の人の方が

基本手当日額は高くなります。


給付率は80%を超えない

よく問われるポイントです。

どの年齢区分でも、

基本手当日額は

賃金日額の80%を超えることはありません。 つまり、 最大でも

賃金日額×80% です。

基本手当の減額

 

働いたら基本手当はどうなる?

基本手当は

「失業していること」

を前提とした給付です。 そのため、

失業認定期間中にアルバイトなどをして収入を得た場合は、

一定の調整が行われます。

表にすると、次のように整理できます。

手順 判定方法 結果
① 控除後の収入を計算 収入 − 1,391円 控除後の収入を求める
② 基本手当日額を加える ①控除後の収入 + 基本手当日額 判定対象額を求める
③ 80%基準と比較 ②判定対象額と「賃金日額 × 80%」を比較する 下表により支給額を判定する

 

支給額の判定

判定結果 基本手当
判定対象額が「賃金日額 × 80%」以下 全額支給
判定対象額が「賃金日額 × 80%」を超える 超えた額だけ減額
減額される額が基本手当日額以上 不支給

覚え方

収入から控除額を引く
→ 基本手当日額を足す
→ 賃金日額の80%と比べる

この3段階で判定すると、整理しやすくなります。


まず控除額を差し引く

収入があった場合、

最初に一定額は差し引いて計算します。

2026年改正では

控除額 1,391円 です。

したがって、

計算に使う収入は

収入 − 1,391円

となります。


全額支給される場合

次の式で判定します。

(収入 − 控除額)+ 基本手当日額 これが

賃金日額×80%以下 であれば

基本手当は

全額支給

されます。 つまり、

少額のアルバイト収入なら、

基本手当は減額されません。


減額支給となる場合

上記の合計額が

賃金日額の80%を超えた場合 は、

超えた部分だけ

基本手当が減額されます。 つまり、

収入が多くなるほど

基本手当は少なくなります。


不支給となる場合

さらに、 超過額が

基本手当日額以上になると、

その日の基本手当は

支給されません。

つまり、

収入がかなり多い日は、

その日の基本手当は0円になります。


給付制限期間との違い

この減額調整が行われるのは、

失業の認定期間中だけです。

自己都合退職などで

給付制限期間中に働いた場合は、

そもそも基本手当の支給対象期間ではないため、

この減額計算は行われません。

例1 減額されない(全額支給)

 

条件

 

計算

① 収入から控除額を引く

2,000円 − 1,391円
= 609円

② 基本手当を足す

609円 + 6,000円
= 6,609円

③ 賃金日額の80%と比較

10,000円 × 80%
= 8,000円

比較すると

  • 合計:6,609円
  • 上限:8,000円

6,609円 ≤ 8,000円

結果

基本手当は

6,000円全額支給


例2 減額支給

 

条件

  • 賃金日額:10,000円
  • 基本手当日額:6,000円
  • アルバイト収入:4,000円

① 控除

4,000円 − 1,391円
= 2,609円

② 合計

2,609円 + 6,000円
= 8,609円

③ 上限

10,000円 ×80%
= 8,000円

超えた金額

8,609円 − 8,000円
= 609円

この609円だけ減額されます。

基本手当

6,000円 − 609円
= 5,391円

結果

  • アルバイト収入:4,000円
  • 基本手当:5,391円

例3 不支給になる場合

 

条件

  • 賃金日額:10,000円
  • 基本手当日額:6,000円
  • アルバイト収入:10,000円

① 控除

10,000円 − 1,391円
= 8,609円

② 合計

8,609円 + 6,000円
= 14,609円

③ 上限

8,000円

超えた額

14,609円 − 8,000円
= 6,609円

超えた額(6,609円)が

基本手当日額(6,000円)以上なので、

基本手当は0円

になります。

結果

  • アルバイト収入:10,000円
  • 基本手当:支給なし(0円)

3つを比較すると

アルバイト収入 控除後収入 支給結果
2,000円 609円 基本手当6,000円(全額支給)
4,000円 2,609円 基本手当5,391円(609円減額)
10,000円 8,609円 基本手当0円(不支給)

覚え方

まずは次の3ステップで考えると間違えにくいです。

  1. 収入 − 1,391円(控除額)
  2. その金額+基本手当日額
  3. **賃金日額×80%**と比較する
  • 80%以下 → 全額支給
  • 80%を超える → 超えた分だけ減額
  • 超えた分が基本手当日額以上 → 不支給

この3段階で判定すれば、対応できます。

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