出国準備のための特定活動とは、日本に滞在している外国人が在留期限を過ぎったが、やむを得ない事情により、すぐに出国できないため、出国するまでの間、日本に短期間合法的に滞在できるように認められる在留資格です。
やむを得ない事情としては、飛行機の便がすぐに取れない;病気や怪我で動けない;予期しないトラブルが発生した…などのようなことである。
それでは、どうしてわざわざ出国準備のための特定活動が一つの在留資格として、設けられているでしょうか?
出国準備のための特定活動は、様々な点において重大な意義を持つからです。
①人道的配慮
やむを得ない事情によってビザが切れてしまったが、すぐに日本から出国できない状況に陥ってしまった外国人の基本的人権を尊重して、尊厳を持って出国を準備できる時間を提供することにおいて大きな意義があります。
②トラブル回避
CASE:外国人AはB会社で働いています。B会社では退職する場合においては30日前告知が求められています。しかし、Aは意図しない事情によってビザが急に切れてしまいました。
この状況において、Aがすぐに出国を求められると、30日前告知ができないまま退職してしまいます。これはA自身の今後の雇用にとって悪影響が及ぼされるだけでなく、B会社にとっても、Aの急な退職による引き続きの不十分などのトラブルが発生してしまう可能性が考えられます。また、職場だけでなく、居住地や学校などにおいても、同じようなことが発生することが考えられます。そのため、ビザの切れた外国人にすぐに出国を求めることは、その外国人だけでなく、日本の地域社会にとって不安定な要素を与えてしまいます。この点において、出国準備のための特定活動は大きな意義があります。
上記の点以外にも、出国準備のための特定活動は不法滞在の防止や法的安定の確保、国際的な信頼の構築などにおいてもとても重要な役割を果たしています。
国準備のための特定活動の目的は「出国準備」に限られるため、普通の特定活動とは大きく異なってしまいます。
その中において、3つ大きな違いがあります。
1、在留期間
普通の特定活動は数か月から1年以上の中長期滞在が可能ですが、出国準備のための特定活動は原則30日になります。
2、就労
普通の特定活動は場合によって就労が認められることはありますが、出国準備のための特定活動は絶対に就労できません。
3、申請タイミング
普通の特定活動は他の在留資格と同様に在留期間中に申請することが多いが、出国準備のための特定活動は在留期限が過ぎた後(特例期間も過ぎた後)に申請することが多いです。
注意点
記の表のように、特定活動(出国準備)については、特段の事情が無ければ、30日以下在留期間が決定されます。
!ただし、例外があります。実務上では30日ではなく、31日の在留期間が認められることもよくあります。
たった1日の違いですが、ここで、特例期間の適用ができるかどうかが決まります。
30日(以下)の在留期間が決定された場合は、在留資格変更申請を再度提出しても、不許可になることが多く、在留期間を超えると直ちに不法残留になってしまいます。
ところが、31日の在留期間の間に再度在留資格変更申請をすることによって新しく2ヶ月分の特例期間が設けられています(特例期間については一つ前のページをご参照ください)。
出国準備のための特定活動」は、ただの手続きではなく、外国籍の方が尊厳をもって日本を離れるための大切な時間を保障する制度です。
わたしたちは、この制度を通じて、一人ひとりの状況に寄り添いながら、円滑な出国準備を支援していきます。
もしご不安な点や分からないことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。専門スタッフが丁寧に対応いたします。
安心して次のステップに進んでいただけるよう、全力でサポートいたします。