特定技能「自動車運送業」

外国人ドライバーの採用要件と手続き

〈2026年10月9日改訂の運用要領を反映〉

特定技能「自動車運送業」は、外国人をトラック・タクシー・バスのドライバーとして受け入れるための制度です。

採用には、外国人本人の技能試験・日本語能力・運転免許の要件に加え、受入れ企業の認証取得、協議会への加入、支援体制の整備などが必要です。

ここでは、業務区分ごとの要件と、採用から乗務開始までの手続きを解説します。 

トラック・タクシー・バスの要件一覧

 

項目 トラック タクシー バス
主な業務 運行業務・荷役業務 運行業務・接遇業務 運行業務・接遇業務
技能試験 特定技能評価試験 (トラック) 特定技能評価試験 (タクシー) 特定技能評価試験 (バス)
日本の運転免許 第一種運転免許 第二種運転免許 第二種運転免許
日本語試験の基本要件 日本語能力試験N4以上又はJFT-Basic A2.2相当以上 原則日本語能力試験N3以上※ 原則日本語能力試験N3以上※
A2.2相当での受入れ 可 日本語学習プラン・サポーター同乗等の条件付きで可 貸切バスを除き、条件付きで可
新任運転者研修 ― 修了が必要 修了が必要
企業に必要な認証等 「働きやすい職場認証制度」 又は
「Gマーク制度」の認証取得
「働きやすい職場認証制度」  「働きやすい職場認証制度」 

※ 2027年4月1日以降のB1相当以上の確認については、後述の注意点をご参照ください。
※ 運転免許は、実際に運転する車両に対応する種類が必要です。
※ 技能実習2号を良好に修了した方には、日本語能力の証明に関する特例があります。

自動車運送業分野で受け入れられる在留資格は「特定技能1号」です。特定技能2号による受入れはできません。

車両清掃や運行前後の準備・片付けなど、日本人ドライバーが通常行う関連業務にも付随的に従事できます。ただし、清掃や片付けなどの関連業務だけを行わせることは認められません。

外国人本人に必要な技能試験・運転免許

 

原則として、従事する区分の「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格し、日本の運転免許を取得する必要があります。

評価試験は、一般財団法人日本海事協会が実施しています。試験日程、実施国、受験方法、受験料は、日本海事協会の試験案内をご確認ください。

国際運転免許証だけでは、自動車運送業分野の特定技能外国人として運転業務に従事できません。

また、海外での運転経歴を中型・大型免許等の取得要件に算入できる場合があります。運転免許証だけでは経歴を確認できないときは、運転経歴証明書等が必要になるため、来日前に必要書類を確認しておくことが大切です。

日本語能力の要件

 

トラックの場合

次のいずれかの試験合格により、日本語能力を証明します。

  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上

  • 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2.2相当以上

技能実習2号を良好に修了した方は、修了した職種・作業の種類にかかわらず、当面の間、別途日本語試験に合格する必要はありません。

 

タクシー・バスの場合

原則として、JLPT N3以上の合格が必要です。

一方、貸切バス以外では、日本語学習プランの作成や日本語サポーターの同乗などの要件を満たすことにより、A2.2相当でも受入れが可能です。

A2.2相当の日本語能力は、JFT-Basic A2.2相当又はJLPT N4の合格等により証明します。

技能実習2号を良好に修了した方は、当面の間、その事実をもってA2.2相当の日本語能力が証明されたものとして取り扱われます。ただし、日本語学習プランやサポーターの同乗等の要件まで免除されるものではありません。

 

2027年4月1日以降のB1相当以上の確認

改訂版の運用要領では、原則となる日本語能力について、2027年4月1日以降は「日本語教育の参照枠」B1相当以上が求められ、その取扱いは別途案内するとされています。

また、JLPT N3以上について、CEFRのB1相当以上と判定された場合に限る旨が記載されています。今後の申請では、N3の合格の有無だけでなく、適用時期や証明方法について入管庁の案内を確認する必要があります。

A2.2相当でタクシー・バスの運転業務に従事する場合

 

① 日本語学習プランの作成・認証

受入れ企業は、本人の同意を得て、B1相当以上の日本語能力の修得に向けた「日本語学習プラン」を作成します。

このプランは、企業が作成するだけでは足りず、自動車運送業分野特定技能協議会のタクシー分科会又はバス分科会による審査・認証が必要です。

項目 内容
使用する様式 分野参考様式第15-16号
作成時の条件 外国人本人の同意を得ること
審査・認証 タクシー分科会又はバス分科会
分科会の審査時の添付資料 働きやすい職場認証の取得時に提出した自認書の写し
在留期間更新時 B1相当以上を証明できない場合は、再度認証を受けたプランを提出

 

② 日本語サポーターの同乗

原則として、乗客、営業所、警察署、消防署などとの意思疎通を補助する日本語サポーターを同乗させます。

サポーターとしては、自社で6か月以上雇用されている元運転士や、高速バスの交代運転士などが想定されています。

自社での雇用期間が6か月未満の方も、緊急時の対応、安全、接遇に関する研修を受け、業界団体が定める効果測定の基準に達することで、サポーターとして同乗できます。

必要な適格性の確認は、新任運転者研修の修了を証する書類にも記載する必要があります。

 

③ 離島・半島の乗合バス・特定バスの例外

対象となる離島・半島地域では、一定の条件の下で、日本語サポーターを同乗させずに単独乗務できます。対象は乗合バス又は特定バスであり、貸切バスは対象外です。

主な条件は次のとおりです。

  • 営業所を含む乗務区間全体が、対象の離島・半島地域内にあること

  • 路線を区域内に含む自治体ごとに、協力同意書を受領すること

  • 営業所との連絡体制を整備すること

  • 緊急時の連絡・対応に必要な情報通信機器等を車内に備えること

  • 認証を受けた日本語学習プランを作成すること

自治体との協力内容には、地域住民への周知、日本語教育の支援、緊急時の対応や安全確保に関する協議などが含まれます。

「離島・半島であれば、N4で自由に単独乗務できる」という取扱いではありません。

受入れ企業に必要な要件

 

受入れ企業は、特定技能制度全体の基準に加え、自動車運送業分野固有の要件を満たす必要があります。

確認事項 主な内容
事業内容 対象となる自動車運送事業を営んでいること
事業所の産業分類 「道路旅客運送業」又は「道路貨物運送業」に該当すること
雇用形態 直接雇用であること。派遣による受入れは不可
認証・認定 業務区分に応じ、働きやすい職場認証又はGマークの要件を満たすこと
協議会 在留申請前に自動車運送業分野特定技能協議会へ加入すること
研修 タクシー・バスでは、新任運転者研修を実施すること
支援 適切な支援計画を作成し、実施体制を整えること

支援計画の全部の実施を登録支援機関へ委託する場合は、委託先も自動車運送業分野特定技能協議会の構成員である必要があります。

協議会への加入や各種届出は、国土交通省の案内をご確認ください。

運転免許取得のための「特定活動55号」

 

日本の運転免許取得や新任運転者研修の受講を行うため、在留資格「特定活動55号」特定自動車運送業準備を利用できます。

項目 トラック タクシー・バス
在留期間の上限 6か月 1年
主な準備活動 日本の運転免許取得 日本の運転免許取得・新任運転者研修
準備段階の日本語要件 A2.2相当以上 A2.2相当以上
日本の免許・研修修了 申請時には未取得・未修了でも可 申請時には未取得・未修了でも可
特定技能1号の通算在留期間への算入 算入しない 算入しない

準備段階の特定活動では、タクシー・バスであっても、日本語能力はA2.2相当以上で要件を満たします。ただし、特定技能1号へ移行して乗務する際には、移行後の日本語能力や乗務体制の要件を満たす必要があります。

この特定活動では、教習所への通所、外免切替の手続き、新任運転者研修、車両清掃等の関連業務を行います。

この期間は、特定技能1号の通算在留期間には算入されません。必要な免許を取得し、タクシー・バスでは所定の効果測定の基準に達する研修を修了した場合は、在留期間が残っていても、速やかに特定技能1号への変更申請を行います。

トラックでは、普通免許又は準中型免許の取得後に変更申請を行い、その申請中に中型・大型免許取得のための教習を受けることも可能です。

なお、特定活動中の公道での運転は、運送業務としての性質を持たない研修・教育の一環である場合に限って認められます。

運転免許の取得費用と雇用契約の注意点

 

運用要領では、運転免許の取得費用は、受入れ企業が負担することが望ましいとされています。

外国人本人が負担する場合は、本人が十分に理解できる言語で説明し、事前に了承を得る必要があります。

特に、次のような契約は、受入れ基準に抵触し、外国人を受け入れられなくなるおそれがある例として示されています。

  • 一定期間勤務することを条件に、免許取得費用の返済を免除する契約

  • 返済途中に退職した場合、貸付金の残額を一括返済させる契約

 

日本人従業員に適用している制度であっても、そのまま利用できるとは限りません。免許取得費用の負担方法は、採用前に確認しましょう。

なお、企業が免許取得費用を賃金に含めて補填することは、これらの基準に抵触しないとされています。

採用から乗務開始までの流れ

 

海外から採用し、日本で免許取得等を行う場合は、次の流れで進めます。

  1. 受入れ企業の要件を確認する
    事業内容、認証・認定、協議会加入、雇用条件、支援体制を確認します。

  2. 候補者の試験・運転経歴を確認する
    技能試験、日本語能力、外国免許の有効性、免許取得後の滞在歴などを確認します。

  3. 雇用契約を締結し、特定活動55号を申請する
    免許取得費用や準備期間中の待遇も、本人に説明します。

  4. 入国後、日本の運転免許を取得する
    タクシー・バスでは、新任運転者研修も修了します。

  5. 特定技能1号への移行要件を整える
    A2.2相当で乗務する場合は、認証済みの日本語学習プランや日本語サポーター等も準備します。

  6. 特定技能1号への変更許可を受け、乗務を開始する

 

すでに日本に在留している方や、日本の運転免許を保有している方は、現在の在留資格や保有免許に応じて手続きを検討します。

受入れ後に必要な報告

 

特定活動55号で受け入れている間も、雇用契約や支援関係の変更があった場合には報告が必要です。

報告が必要となる主な事由 報告期限・方法
雇用契約の変更・終了・新たな締結 事由発生日から14日以内
支援計画の変更 同上
登録支援機関との委託契約の締結・変更・終了 同上

報告は、受入れ企業の住所を管轄する地方出入国在留管理局に、書面を持参又は郵送して行います。

この特定活動に関する報告は、出入国在留管理庁の電子届出システムでは受け付けていません。

在留資格「特定技能(自動車運送業分野)」に係る 在留申請オンラインシステムの入力方法について

在留資格「特定技能」について、本年12月19日に、自動車運送業分野における受入れが可能となりました。 それに伴ってシステム改修を検討しておりますが、当該作業が完了するまでの間は下記のとおり、入力項目を読み替えて入力していただきますようお願いいたします。

外国人ドライバーの採用・在留申請のご相談

 

外国人ドライバーの採用では、在留資格の申請に加え、運転免許の取得、研修、企業側の認証、協議会への加入を並行して進める必要があります。

ソリューション行政書士法人では、採用予定者と受入れ企業の状況を確認し、必要な手続きと準備事項をご案内します。

トラック・タクシー・バス分野での外国人採用をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

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