障害(補償)年金
併合及び併合繰上げ

障害(補償)給付の4つの整理

制度 原因 ポイント
併合 同一事故・異なる障害 重い等級を採用
併合繰り上げ 同一事故・13級以上が2つ以上 重い等級を1~3級繰上げ
加重 既存障害+新たな災害 差額を支給
変更 自然経過で障害が変化 新しい等級へ変更

 

ポイント

  • 併合は、第14級の障害がある場合に限り、重い障害等級を採用する。
  • 併合繰上げは、同一事故による第13級以上の障害が2つ以上ある場合に適用され、重い等級を1~3級繰り上げる。
  • 身体の機能障害とそれに伴う神経症状が医学的に一体であれば、一つの障害として評価し、併合繰上げは行わない(玉名労基署長事件)。
  • 加重は、既存障害と同一部位の障害が新たな業務災害・通勤災害で重くなった場合であり、既存障害の原因は問わない。
  • 加重前後とも年金なら「年金−年金」、前後とも一時金なら「一時金−一時金」、加重前が一時金で加重後が年金なら「年金−(一時金÷25)」で計算する。
  • 変更は、新たな事故ではなく自然経過による障害程度の変化であり、障害年金受給者にのみ適用される。一時金受給者には適用されない。
  • 障害(補償)年金差額一時金は、障害年金受給権者が死亡し、支給済み年金等の合計が保障額に満たない場合に、その差額を遺族へ支給する。
  • 差額一時金の受給資格者には生計同一でない遺族も含まれるが、生計同一者が優先される。

一言で総まとめ

 

「同一事故なら『併合』・『併合繰上げ』、既存障害に新たな障害が加われば『加重』、自然経過による障害の変化は『変更』である。加重では差額支給が原則で、一時金から年金へ移行する場合のみ『一時金÷25』で年金換算する。障害年金受給者が死亡し、受給総額が保障額に満たないときは、遺族に障害(補償)年金差額一時金が支給される。」

目 次

  1. 併合
    1. 併合繰上げ
  2. 加重の場合の給付額
  3. 加重の前後とも年金の場合
  4. 加重の前後とも一時金の場合
  5. 加重前が一時金であり、加重後が年金の場合
  6. 変更
  7. 障害(補償)年金差額一時金

併合

結論

同一事故で種類の異なる障害が2つ以上残った場合は、重い障害等級で評価します。

ただし、

第14級の障害がある場合に限られます。

(則14条2項)


イメージ

第10級

第14級

第10級


  • 第12級(肘関節障害)
  • 第14級(歯4本補綴)

第12級


覚え方

 

14級が混ざれば「併合」

併合繰上げ

 

結論

同一事故で13級以上の障害が2つ以上残った場合は、重い等級を繰り上げます。

(則14条3項)


繰上げルール

障害 繰上げ
13級以上が2つ以上 1級繰上げ
8級以上が2つ以上 2級繰上げ
5級以上が2つ以上 3級繰上げ

例①

第13級

第12級

重い第12級

第11級


例②

第8級

第7級

重い第7級

第5級


例③

第5級

第4級

重い第4級

第1級

※1級が上限です。


3つ以上あっても同じ

例えば

13級

+11級

+8級

最も重い8級

1級繰上げ

第7級


判例(玉名労基署長事件)

機能障害と、

そこから派生した神経症状が

医学的に一体

であれば、

一つの障害

として評価します。

したがって

併合繰上げはしません。


覚え方

13級以上なら「繰上げ」

 

加重の場合の給付額

 

結論

もともと障害があった部位に、新たな災害で障害が加わり、障害が重くなること。


ポイント

既存障害の原因は問いません。

  • 私傷病
  • 通勤災害
  • 業務災害

どれでも構いません。

加重の前後とも年金の場合

加重後の年金 − 加重前の年金


イメージ

 

245日分 − 131日分

114日分

加重の前後とも一時金の場合

加重後の一時金 − 加重前の一時金


503日分 − 302日分

201日分

加重前が一時金であり、加重後が年金の場合

 

ここが頻出です。

 

計算式

加重後年金 − (加重前一時金 ÷ 25)


なぜ25で割る?

一時金は

25年間分を一括支給

したものと考えるためです。


第5級年金

245日分

既存一時金

302日分

302 ÷25

=12日分

245−12

=233日分

 


覚え方

 

一時金→年金だけ25で割る

すでに同一上肢の手関節に障害があった第8級一時金者が新たに同一上肢の手関節を失った場合には現存する障害は第5級年金となりますがこの場合の額は当該障害の存する期間1年について給付基礎日額の163.88日分となります。(昭和50年9月30日基発565号)

 

① 事案の前提関係

  • もともと
    同一上肢の手関節に第8級の障害があり、
    これは 障害補償給付(一時金)としてすでに支給済み。

  • その後、新たに
    同じ上肢の手関節を失うという障害が発生。

  • この結果、障害の程度は
    第5級(障害補償年金)に該当する。


② 問題となる点(なぜ調整が必要か)

第5級は本来「年金」ですが、

  • すでに第8級として
    一時金(503日分)を受け取っている

  • 同じ部位・同じ上肢について
    二重に満額給付すると過剰給付になる

そのため、
「新たに支給する年金額から、既に支給済みの一時金分を調整して差し引く」
というルールが設けられています。


③ 基本となる給付日数

まず、法令上の基準を確認します。

新たに成立した障害(第5級・年金)

  • 給付基礎日額 × 184日分(年額)

 

 

既存障害(第8級・一時金)

  • 給付基礎日額 × 503日分(すでに支給済み)


④ なぜ「25分の1」を差し引くのか

ここが一番わかりにくいポイントです。

  • 障害補償年金
    平均余命を25年とみなして設計されている

  • そのため、
    一時金で支給された503日分を25年で割り、1年分に換算します

計算式は次のとおりです。

503日 ÷ 25年 = 20.12日分(1年あたり)

これが「既存障害分として、毎年差し引くべき日数」になります。


⑤ 実際の年金額の計算

 

本来の第5級年金額

  • 184日分/年

 

既存障害分として差し引く額

  • 503日 ÷ 25 = 20.12日分/年

 

差引後の支給日数

  • 184 − 20.12 = 163.88日分/年

したがって、

当該障害の存する期間1年につき、給付基礎日額の163.88日分

が支給される、という結論になります。


⑥ まとめ(制度の趣旨)

この取扱いの趣旨は次のとおりです。

  • 同一部位・同一上肢の障害について
    給付の重複を防ぐ

  • ただし、新たな障害により
    等級が重くなったこと自体は正当に評価する

  • そのため
    「新しい等級の年金額 − 既に支給済み一時金の年金換算分」
    という調整方式を採用している

変更

結論

新しい事故ではなく、自然経過で障害の程度が変化した場合です。

(法15条の2)


年金受給者だけ

変更制度があるのは

障害年金受給者だけ

です。


変更後が1~7級

新しい障害年金


変更後が8~14級

年金終了

障害一時金


一時金受給者

一時金は

一回払いなので

変更制度はありません。


覚え方

 

自然経過=変更

障害(補償)年金差額一時金

 

趣旨

障害年金受給者が死亡した場合、

これまで受け取った

  • 障害年金
  • 前払一時金

の合計が

保障額に達していなければ、

差額を一時金で支給します。


支給要件

  • 障害年金受給権者が死亡
  • 支給済み年金+前払一時金 < 保障額

差額一時金支給


誰が受け取る?

受給資格者

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

順位

生計同一

② 生計同一でない者


ポイント

通常の遺族給付と異なり、

生計同一でない遺族も受給資格者になります。

ただし、

生計同一者が優先されます。


2人以上いる場合

  • 金額は人数で等分
  • 代表者を選任して請求・受領

  参照 → 労災保険における受給資格者

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー

パソコン|モバイル