就労資格証明書

「技術・人文知識・国際業務」を雇用する企業の防衛策

外国人を中途採用するとき、

「在留カードに『技術・人文知識・国際業務』と書いてあるから、自社でもそのまま働かせて大丈夫」

と思っていないでしょうか。

実は、必ずしもそうではありません。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、単に「就労可能」という資格ではなく、実際に従事する仕事内容が、その在留資格で認められる専門的な業務に該当している必要があります。

特に注意が必要なのが、飲食店、工場、ホテル、物流現場、建設業など、専門的業務と現場作業の境界が問題となりやすい企業です。

そこで有効なのが、「就労資格証明書」です。


 

目次

  1. 就労資格証明書
  2. なぜ今、就労資格証明書が重要なのか
  3. 在留カードだけでは「自社で働けるか」は分からない
  4. 就労資格証明書は企業にとっての「防衛手段」
  5. 不法就労助長罪にも注意
  6. 特に就労資格証明書の取得を検討したいケース
  7. 就労資格証明書を取得すれば絶対に安全?
  8. 就労資格証明書の申請

就労資格証明書とは?

 

就労資格証明書とは、外国人本人からの申請に基づき、その外国人がどのような就労活動を行うことができるのかを、出入国在留管理庁長官が証明する文書です。

特に重要なのが、転職によって勤務先や仕事内容が変わった場合です。

そのときに新しい会社で予定している仕事内容を入管に提出し、

「この外国人が、この会社で、この仕事内容に従事することが、現在の在留資格の範囲内であるか」

について審査を受けることができます。

つまり、企業側から見れば、就労資格証明書は単なる外国人本人のための証明書ではありません。

外国人を採用した後に「その仕事は技人国ではできません」と判断されるリスクを、あらかじめ確認するための制度でもあります。

なぜ今、就労資格証明書が重要なのか

 

 

 

「技人国」の審査は仕事内容をかなり細かく見られます

2026年現在、「技術・人文知識・国際業務」の審査では、実際の仕事内容が専門的な業務なのか、それとも一般的な現場作業なのかが重要なポイントとなっています。

出入国在留管理庁も、2026年4月15日に「技術・人文知識・国際業務」に関する取扱いを改めて整理し、一部の申請について新たな資料提出を求めるなど、審査上の確認を強化しています。

また、入管庁は、派遣形態で働く「技術・人文知識・国際業務」の外国人について、申請時には専門業務とされていたにもかかわらず、実際には専門的技術・知識を必要としない現場業務に従事していた事案が複数発生していることも明らかにしています。

当法人においても近時、特に飲食店・工場・ホテル等を勤務先とする「技術・人文知識・国際業務」について、従来以上に仕事内容が厳しく確認され、不許可となるケースが増えていると感じています。

出入国在留管理庁は、飲食チェーン企業が経営学部卒業者を「管理者候補」として採用したものの、数年間にわたり期間を定めず店舗で接客・調理等を経験させ、その後、選抜された者のみを専門業務に就かせるというキャリアプランについて、「技術・人文知識・国際業務」で認められる実務研修には当たらないとして、不許可とした事例を公表しています。

在留カードだけでは「自社で働けるか」は分からない

 

 

ここは非常に重要です。

在留カードに、

「技術・人文知識・国際業務」

と記載されていたとしても、それは、

「どの会社でも、どんな仕事でもできる」

という意味ではありません。

例えば、前職ではITエンジニアとして適法に働いていた外国人が、転職後に飲食店で調理・接客を中心に勤務するのであれば、同じ「技術・人文知識・国際業務」の在留カードを持っていても問題となります。

つまり、中途採用では、

「在留資格があるか」だけではなく、「自社で予定する仕事内容がその在留資格に該当するか」

を確認する必要があります。

その確認手段の一つが就労資格証明書です。

就労資格証明書は企業にとっての「防衛手段」

 

 

外国人を採用する企業にとって、就労資格証明書の大きな意味はここにあります。

新しい勤務先・仕事内容について資料を提出し、入管の審査を経て就労資格証明書の交付を受けておけば、

「この会社で、この仕事内容に従事することについて、入管に事前に確認を求めた」

という状態を作ることができます。

これは特に、

飲食店・工場・ホテル等で「技術・人文知識・国際業務」の外国人を中途採用する場合には重要なリスク管理策になります。

また、次回の在留期間更新時に初めて、

「現在の仕事内容は技人国に該当しません」

と判断されるリスクを、転職時点である程度把握することもできます。

不法就労助長罪にも注意

 

 

企業にとってさらに重要なのが、不法就労助長罪です。

外国人に、その在留資格では認められていない業務をさせた場合、外国人本人だけでなく、使用者側にも問題が生じる可能性があります。

現在の入管法では、不法就労助長罪について、

3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその併科

が定められています。

さらに、2027年4月1日から不法就労助長罪は厳罰化され、

5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその併科

となります。

入管法には両罰規定もあるため、従業員や担当者だけではなく、法人についても罰金刑が科される可能性があります。


「知らなかった」では済まない可能性があります

不法就労助長罪について特に注意したいのが、

「外国人がその仕事をできないとは知らなかった」

というだけでは、当然に責任を免れるわけではないことです。

入管法第73条の2第2項は、不法就労に当たることを知らなかった場合でも、過失がない場合を除き、処罰を免れることができない旨を定めています。

厚生労働省も、在留カードを確認していないなどの過失がある場合には処罰を免れないと注意喚起しています。

だからこそ企業側には、

「在留カードをコピーしたから終わり」 ではなく、

実際に担当させる仕事内容まで確認すること

が求められます。

就労資格証明書は、この確認をより確実にするための重要な制度といえます。

特に就労資格証明書の取得を検討したいケース

 

 

次のような場合には、就労資格証明書の取得を積極的に検討することをおすすめします。

  • 「技術・人文知識・国際業務」の外国人を中途採用する
  • 飲食店・工場・ホテル・建設業等で勤務させる
  • 店舗管理、生産管理、通訳、マーケティングなど、現場業務との境界が問題になりやすい
  • 前職と新しい会社で仕事内容が大きく変わる
  • 「店長候補」「管理職候補」として採用する
  • 製造現場・建設業等で専門業務と現場作業の双方が予定されている
  • M&Aや法務デューデリジェンスで外国人従業員の適法就労を確認したい
  • 次回の在留期間更新まで、自社での就労が認められるか分からない状態を残したくない

就労資格証明書を取得すれば絶対に安全?

 

 

就労資格証明書は非常に有効な制度ですが、取得すれば、その後どのような仕事をさせてもよいというものではありません。

証明書の審査対象となった仕事内容と、実際の仕事内容が異なれば問題となる可能性があります。

例えば、「海外営業・通訳・店舗管理」として就労資格証明書を取得したにもかかわらず、実際には勤務時間の大半を調理や配膳に充てているのであれば、証明書を取得しているからといって当然に適法になるわけではありません。

したがって、

申請時の職務内容と実際の勤務実態を一致させること

まで含めて外国人雇用管理を行うことが重要です。

就労資格証明書の申請

 

転職等によって勤務先や仕事内容が変わる場合には、申請書のほか、新しい勤務先や活動内容の詳細が分かる書類を提出して審査を受けます。

出入国在留管理庁が公表している標準処理期間は、勤務先に変更がある場合には1か月~3か月です。

就労資格証明書の取得自体は義務ではありません。

また、就労資格証明書を提出しないことだけを理由に不利益な取扱いをすることも禁止されています。

しかし、仕事内容が在留資格に該当するか判断が難しい場合には、取得するメリットは非常に大きいと考えます。

 

ソリューション行政書士法人では、特に「技術・人文知識・国際業務」の外国人を採用する企業について、職務内容の適法性の確認、就労資格証明書交付申請、在留期間更新申請等をご相談いただけます。

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