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ソリューション行政書士法人
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直接払の原則
賃金は、直接労働者に支払わなければならない。(法24条1項)
(昭和63年3月14日基発150号)
労働者の親権者その他の法定代理人に支払うこと、または労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことは、いずれも法24条違反となり、労働者が第三者に賃金受領権限を与えようとする委任、代理などの法律行為は無効である。
(昭和61年6月6日基発333号)
派遣中の労働者の賃金を派遣先の使用者を通じて支払うことについては、派遣先の使用者が、派遣中の労働者本人に対して、派遣元の使用者からの賃金を手渡すことのみであれば、直接払の原則には違反しない。
| 全額払の原則 | ||
|---|---|---|
| 原則 | 賃金はその全額を労働者に支払わなければならない。(法24条1項) | |
| 例外 | 次の場合には、賃金の一部を控除して支払うことができる。(法24条1項) | 法令に別段の定めがある場合
|
| 労使協定(行政官庁への届出不要)がある場合
| ||
端数の取扱い①(遅刻、早退、欠勤等の場合)
労働者が5分遅刻した場合に、30分遅刻したものとして賃金カットをするという処理は、
法24条の賃金の全額払の原則に反しない。(昭和63年3月14日基発150号)
| 5分の減給 | 全額払の原則には違反しない |
|---|---|
| 30分の減給 | (25分については)全額払の原則に違反する |
| 30分の減給+就業規則に減給の制裁の定め | 全額払の原則に違反しない |
| 区分 | 対象(端数処理の単位) | 端数処理 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 時間 | 1賃金日における時間外労働・休日労働・深夜業の各々の時間数の合計の端数(1時間未満) | 1時間単位(30分未満切捨て、30分以上切上げ) | 1賃金日の時間外労働の合計が40時間30分だったとき、41時間とすること。 |
| 賃金 | 1時間当たりの賃金額及び割増賃金(1円未満)の端数 | 1円単位(50銭未満切捨て、50銭以上切上げ) | 月給30万円(平均所定労働時間168時間)だったとき、30万円÷168時間=1,785.71円なので、1,786円とすること。 |
| 賃金 | 1賃金月における時間外労働・休日労働・深夜業の各々の割増賃金の総額の端数(1円未満) | 1円単位(50銭未満切捨て、50銭以上切上げ) | 1時間1,786円で、1箇月に1時間の残業があったとき、割増賃金=1,786円×1.25=2,232.5円なので、2,233円とすること。 |
| 賃金 | 1賃金月の賃金支払額の端数(100円未満) | 100円単位(50円未満切捨て、50円以上切上げ) | 月給が123,456円だったとき、123,500円とすること。 |
| 賃金 | 1賃金月の賃金支払額の端数(1,000円未満) | 1,000円未満の翌月繰越し | 月給が123,456円だったとき、456円を翌月に繰り越すこと。 |
端数の取扱い②(1箇月当たりにおける時間数の端数)
「1箇月」における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは法24条及び法37条違反とはしない。(昭和63年3月14日基発150号)
| 具体例 |
|---|
| 次のような場合は、適法となる。
|
参照 → 端数処理(時間・賃金)
端数の取扱い③(1時間当たりにおける端数)
「1時間」当たりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは法24条及び法37条違反とはしない。(昭和63年3月14日基発150号)
| 具体例 |
|---|
| 月給30万円であり、1箇月の平均所定労働時間が168時間の場合、次の取扱いは適法となる。
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参照 → 端数処理(時間・賃金)
端数の取扱い④(1箇月当たりの割増賃金の端数)
「1箇月」における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合に、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは法24条及び法37条違反とはしない。
| 具体例 |
|---|
| 月給30万円であり、1箇月の平均所定労働時間が168時間の場合において、1時間の残業があったときにおいて、次の取扱いは適法となる。
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参照 → 端数処理(時間・賃金)
端数の取扱い⑤(1箇月の賃金支払額における端数)
「1箇月」の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除した額)に100円未満の端数が生じた場合、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うことは法24条違反とはしない。(昭和63年3月14日基発150号)
「1箇月」の賃金支払額(賃金の一部を控除して支払う場合には、控除後の額)に生じた1,000円未満の端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払うことは法24条違反とはしない。(昭和63年3月14日基発150号)
参照 → 端数処理(時間・賃金)
全額払の原則と不法行為
「全額払の原則」は、労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当であるが、このことは、不法行為を原因としたものであっても変わりはないとするのが最高裁判所の判例である。(昭和36年5月31日最高裁判所大法廷日本勧業経済会事件)
倒産した会社の金品を勝手に投資者に返済した労働者がいました。これは労働者の会社に対する背信行為として、会社は損害賠償請求権を有することになりますが、この場合であっても、この損害賠償請求権と労働者の賃金債権との相殺は許されないことになります。(昭和36年5月31日最高裁判所大法廷日本勧業経済会事件)
| 判例(昭和36年5月31日最高裁判所大法廷日本勧業経済会事件) |
|---|
| 労働者の賃金は、労働者の生活を支える重要な財源で、日常必要とするものであるから、これを労働者に確実に受領させ、その生活に不安のないようにすることは、労働政策の上から極めて必要なことであり、労働基準法24条1項が、賃金は同項但書の場合を除きその全額を直接労働者に支払わねばならない旨を規定しているのも、右にのべた趣旨を、その法意とするものというべきである。 しからば同条項は、労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当である。このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても変わりはない。 |
賃金の過払いがあった場合(調整的相殺)
適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、法24条1項ただし書によって除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、全額払の原則に違反するものではない。したがって、賃金の過払いのあった場合、過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてなされ、かつ、労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合には、賃金の「全額払の原則」には違反しない。(昭和44年12月18日最高裁判所第一小法廷福島県教組事件)
| 判例(昭和44年12月18日最高裁判所第一小法廷福島県教組事件) |
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| 公立学校Yの行った所論給与減額は、公立学校YがXらに対して有する過払勤勉手当の不当利得返還請求権を自働債権とし、Xらの公立学校Yに対して有する昭和34年2月分または3月分の給与請求権を受働債権としてその対当額においてされた相殺であると解せられる。 しかるところ、本件につき適用さるべきものであった労働基準法24条1項では、賃金は、同項但書の場合を除き、その全額を直接労働者に支払わなければならない旨定めており、その法意は、労働者の賃金はその生活を支える重要な財源で日常必要とするものであるから、これを労働者に確実に受領させ、その生活に不安のないようにすることが労働政策上から極めて必要であるとするにあると認められ、従って、右規定は、一般的には、労働者の賃金債権に対しては、使用者は使用者が労働者に対して有する債権をもって相殺することは許されないとの趣旨をも包含すると解せられる。 しかし、賃金支払事務においては、一定期間の賃金がその期間の満了前に支払われることとされている場合には、支払日後、期間満了前に減額事由が生じたとき、または、減額事由が賃金の支払日に接着して生じたこと等によるやむをえない減額不能または計算未了となることがあり、あるいは賃金計算における過誤、違算等により、賃金の過払が生ずることのあることは避けがたいところであり、このような場合、これを精算ないし調整するため、後に支払わるべき賃金から控除できるとすることは、右のような賃金支払事務における実情に徴し合理的理由があるといいうるのみならず、労働者にとっても、このような控除をしても、賃金と関係のない他の債権を自働債権とする相殺の場合とは趣を異にし、実質的にみれば、本来支払わるべき賃金は、その全額の支払を受けた結果となるのである。 このような事情と前記24条1項の法意とを併せ考えれば、適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、法24条1項ただし書によって除外される場合にあたらなくても、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、全額払の原則に違反するものではない。 この見地からすれば、許さるべき相殺は、過払のあった時期と賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてされ、また、あらかじめ労働者にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、要は労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合でなければならないものと解せられる。 |
合意による相殺があった場合
労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合において、当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、いわゆる賃金の全額払の原則に違反するものとはいえないものと解するのが相当であるとするのが最高裁判所の判例である。
(平成2年11月26日最高裁判所第二小法廷日新製鋼事件)
| 判例(平成2年11月26日最高裁判所第二小法廷日新製鋼事件) |
|---|
| 法24条1項本文の定めるいわゆる賃金全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことのないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、使用者が労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することを禁止する趣旨をも包含するものであるが、労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合においては、当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該同意を得てした相殺は当該規定に違反するものとはいえないものと解するのが相当である。もっとも、右同意が労働者の自由な意思に基づくものであるとの認定判断は、厳格かつ慎重に行われなければならないことはいうまでもないところである。 |
賞与の在籍日支給
賞与を支給日に在籍している者に対してのみ支給する旨のいわゆる「賞与支給日在籍要件」を定めた就業規則の規定は合理的理由を有し有効であり、支給日の直前に退職した労働者に賞与を支給しないことは、賃金全額払の原則に違反しないとするのが最高裁判所の判例である。(昭和57年10月7日最高裁判所第一小法廷大和銀行事件)
| 判例(昭和57年10月7日最高裁判所第一小法廷大和銀行事件) |
|---|
| Y銀行においては、本件就業規則32条の改訂前から年2回の決算期の中間時点を支給日と定めて当該支給日に在籍している者に対してのみ右決算期間を対象とする賞与が支給されるという慣行が存在し、右規則32条の改訂は単にY銀行の従業員組合の要請によって右慣行を明文化したにとどまるものであって、その内容においても合理性を有するというのであり、右事実関係のもとにおいては、Xは、Y銀行を退職したのちである昭和54年6月15日及び同年12月10日を支給日とする各賞与については受給権を有しないとした原審の判断は、結局正当として是認することができる。 |
出張・外勤拒否があった場合
業務命令によって指定された時間、その指定された出張・外勤業務に従事せず内勤業務に従事したことは、債務の本旨に従った労務の提供をしたものとはいえず、また、使用者は、本件業務命令を事前に発したことにより、その指定した時間については出張・外勤以外の労務の受領をあらかじめ拒絶したものと解すべきであるから、労働者が提供した内勤業務についての労務を受領したものとはいえず、したがって、使用者は、労働者に対しその時間に対応する賃金の支払義務を負うものではないとするのが最高裁判所の判例である。(昭和60年3月7日最高裁判所第一小法廷水道機工事件)
| 判例(昭和60年3月7日最高裁判所第一小法廷水道機工事件) |
|---|
| 本件業務命令は、組合の争議行為を否定するような性質のものではないし、従来の慣行を無視したものとして信義則に反するというものでもなく、Xらが、本件業務命令によって指定された時間、その指定された出張・外勤業務に従事せず内勤業務に従事したことは、債務の本旨に従った労務の提供をしたものとはいえず、また、Y社は、本件業務命令を事前に発したことにより、その指定した時間については出張・外勤以外の労務の受領をあらかじめ拒絶したものと解すべきであるから、Xらが提供した内勤業務についての労務を受領したものとはいえず、したがって、Y社は、Xらに対し右の時間に対応する賃金の支払義務を負うものではない。 |
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