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通勤災害とは、労働者が通勤によって負傷し、疾病にかかり、障害を負い、または死亡した場合の災害をいいます。(労災保険法7条1項3号)
通勤災害と認められるためには、単に出勤・退勤の途中で事故に遭っただけでは足りず、次の要件を満たす必要があります。
会社に届け出ている経路と異なる場合でも、一般的・合理的な経路であれば、通勤と認められることがあります。
「複数業務要因災害」とは、複数事業労働者について、2以上の事業における業務上の負荷を総合的に評価して認定される負傷、疾病、障害または死亡をいいます。
一方、複数事業労働者が通勤中に被った災害は、あくまで「通勤災害」に該当し、「複数業務要因災害」には該当しません。(労災保険法7条1項、令和2年8月21日基発0821第1号)
通勤災害は、
「就業との関連」
「合理的な経路・方法」
「通勤に伴う危険の具体化」
「逸脱・中断の有無」
の4点を確認する。
目次
「通勤による」とは
「通勤による」とは、通勤と災害との間に相当因果関係があること、すなわち、通勤に通常伴う危険が具体化したことをいいます。
(昭和48年11月22日基発644号)
通勤途中に発病したというだけでは、当然に通勤災害になるわけではありません。通勤による負傷や突発的な出来事と疾病との因果関係が必要です。
「就業に関し」とは
「就業に関し」とは、業務に就くため、または業務を終えたことによって移動することをいいます。(昭和48年11月22日基発644号)
移動が業務と密接な関連をもっていることが必要です。
本人が途中で私用を行う意思を有していた場合でも、事故発生時点で通常の合理的な通勤経路上にあり、まだ私用による逸脱・中断が始まっていなければ、通勤と認められることがあります。
住居と就業の場所との間の往復とは
住居とは、労働者が日常生活を営み、就業のための拠点としている場所をいいます。(昭和48年11月22日基発644号)
単身赴任者などの家族の住居については、おおむね毎月1回以上の反復・継続した往復がある場合、住居と認められることがあります。
住居と通勤経路との境界は、一般人が自由に通行できる場所かどうかによって判断されます。
そのため、アパートの共用階段での事故は通勤災害となる可能性があります。
一方、一戸建住宅では、門の内側は原則として住居の範囲であり、玄関前や敷地内での事故は通勤災害に該当しないことがあります。
合理的な経路および方法とは、その移動について、一般に労働者が利用すると認められる経路や交通手段をいいます。(平成28年12月28日基発1228第1号)
会社への届出経路だけに限定されるものではありません。
単なる免許証不携帯や免許更新忘れ、一定の飲酒運転については、直ちに経路・方法の合理性が否定されない場合があります。
ただし、事情に応じて保険給付の支給制限が行われることがあります。
「合理的な経路及び方法」とは
合理的な経路および方法とは、その移動について、一般に労働者が利用すると認められる経路や交通手段をいいます。(平成28年12月28日基発1228第1号)
会社への届出経路だけに限定されるものではありません。
単なる免許証不携帯や免許更新忘れ、一定の飲酒運転については、直ちに経路・方法の合理性が否定されない場合があります。
ただし、事情に応じて保険給付の支給制限が行われることがあります。
「逸脱・中断」の取扱い(例外)
労働者が通勤経路を逸脱し、または移動を中断した場合、その逸脱・中断中および原則としてその後の移動は通勤とはなりません。
ただし、逸脱・中断が、日常生活上必要な行為をやむを得ない理由により行うための最小限度のものである場合には、通常の経路へ戻った後の移動は、再び通勤と認められます。(労災保険法7条3項)
したがって、
「中断または逸脱の間は通勤ではないが、その後は常に通勤となる」
という理解は誤りです。
経路復帰後に通勤へ戻るのは、日常生活上必要な行為をやむを得ない理由で最小限度行った場合に限られます。
日常生活上必要な行為として、法令上認められているものには、次のものがあります。(労災保険法施行規則8条)
認められる例
認められない例
認められる例
認められない例
会社が費用の一部を負担している場合でも、当然に認められるわけではありません。
投票所へ向かうための逸脱・中断は、日常生活上必要な行為となり得ます。
ただし、投票中の災害そのものは、通勤災害とは認められません。
認められる例
対象となる家族は、次のとおりです。
介護は、継続的または反復して行われるものに限られます。
例えば、帰宅途中に、父の介護のため定期的に兄の家へ立ち寄る場合などが該当します。
初回の介護であっても、客観的にみて今後も継続・反復して行う予定がある場合には、対象となることがあります。
通勤による疾病(法22条1項)
| 項目 | 業務上の疾病 | 通勤による疾病 |
|---|---|---|
| 主な根拠 | 労働基準法施行規則別表第1の2 | 労災保険法施行規則18条の4 |
| 疾病の例示 | 具体的な例示列挙がある | 具体的な例示列挙はない |
| 判断方法 | 別表該当性を中心に判断 | 通勤との因果関係を中心に判断 |
| 主な対象 | 職業性疾病、災害性疾病など | 通勤による負傷に起因する疾病など |
① 業務上の疾病
別表で具体例が列挙されている
判断の出発点は「別表に該当するか」
職業性疾病(じん肺、化学物質ばく露など)が中心
条文・別表ベースで判断する世界
例示列挙がない
「通勤による負傷が原因か」「通勤との因果関係が明らかか」が判断基準
実質的な 因果関係判断 が重視される
事実関係・因果関係ベースで判断する世界
業務上疾病
→「別表にあるか」を見る
通勤疾病
→「通勤との因果関係が明らかか」を見る
「通勤に起因することの明らかな疾病」には、転倒したタンクローリーから流れ出す有害物質により急性中毒にかかった場合などがあります。(昭和48年11月22日基発644号)
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