労働基準法
労働条件の原則・適用

労働基準法1条

1 労働条件は、労働者が「人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

2 労働基準法で定める労働条件の基準最低のものであるから、労働関係の当事者この基準を理由として労働条件低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

法116条
1 第1条から第11条(総則や労働条件の原則等)まで、次項、第117条から第119条(罰則)まで及び第121条(施行規定)の規定を除き、労働基準法は、船員法第1条第1項に規定する船員については、適用しない

2 労働基準法は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない

 

この基準を理由として(労基法1条2項)

労働基準法では、

この法律で定める基準を理由として、労働条件を低下させてはならない。

と定めています。

ここでいう

「この基準を理由として」

とは、

労働基準法に規定があることが、労働条件を引き下げる決定的な理由となっている場合

をいいます(昭22.9.13発基17号)。


具体例

例えば、

会社の所定労働時間が7時間であるにもかかわらず、

「労基法では8時間まで働かせられるから」

という理由だけで

7時間→8時間

へ変更することは、

労基法1条2項違反となります。

一方で、

経営悪化など社会経済情勢の変化が決定的な理由である場合は、

「この基準を理由として」には当たらず、1条2項違反とはなりません(ただし、変更には労働契約法上の問題が生じ得ます)。

同居の親族のみを使用する事業家族経営の事業

原則

労働基準法は適用されません。(法116条)

これは家族経営では、使用従属関係が通常の雇用関係とは異なるためです。


例外

同居親族であっても、

親族以外の労働者を常時使用している事業

で、

さらに

  • 事業主の指揮命令下で働いている
  • 他の労働者と同様の勤務実態
  • 就業規則などに基づき勤務時間・休日・賃金管理がされている

場合には、

労働者として労働基準法が適用されます。


一時的に親族以外を雇った場合

例えば繁忙期だけアルバイトを雇ったような場合は、

その親族以外のアルバイト本人には労働基準法が適用されます。

 

ただし、事業全体が直ちに「常時親族以外を使用する事業」となるわけではありません。

家事使用人

 

原則

家事使用人には労働基準法は適用されません。
(法116条2項)

家事使用人とは、

家庭において家事一般に従事する者

をいいます。


法人が雇っていても家事使用人になる

例えば、

会社が役員宅のお手伝いさんを雇用し、

その役員家族の指揮命令で家事をしている場合は、

契約上の雇主は法人ですが、

実態は家事使用人なので

労働基準法は適用されません。

ポイントは、

契約相手ではなく、実際の仕事内容・指揮命令関係で判断する

ということです。

(家事使用人の雇用ガイドライン)

 

家事代行サービスとの違い

ここが最も狙われます。

家事使用人 家事代行サービス
個人家庭に直接使用される 家事代行会社に雇われる
家庭の家族の指揮命令 会社の指揮命令
労基法適用なし 労基法適用あり

つまり、

家事代行会社(家事代行サービス業者)の従業員は、

家事使用人ではありません。

したがって、

労働基準法が適用されます。


家事使用人にも適用される法律

家事使用人は労働基準法の適用除外ですが、すべての労働関係法令が適用されないわけではありません。

主なものは次のとおりです。

法律 適用
労働基準法 ×
最低賃金法 ×
労働安全衛生法 ×
労働契約法
職業安定法
民法
労災保険法(特別加入制度など) 一部○

※労働契約法は適用されるため、安全配慮義務などは問題となります。

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