雇用保険法
所定給付日数

ポイント

  • 待期期間は7日間である。
  • 起算日は、離職日の翌日ではなく、最初に求職の申込みをした日である。
  • 待期期間は全受給資格者に共通であり、会社都合・自己都合を問わない。
  • 病気やけがで働けない日も待期日数に含まれる。
  • 待期期間は一つの受給資格につき一度だけ満了すれば足りる。
  • 待期期間と給付制限は別制度であるため、試験では違いを区別して押さえておくことが重要です。
  • 所定給付日数は「支給を受けられる最大日数」であり、受給期間とは異なる。
  • 一般受給資格者は「算定基礎期間」のみで決まり、年齢は関係しない。
  • 特定受給資格者は「算定基礎期間」と「年齢」の両方で決まる。
  • 就職困難者は最も手厚く保護され、最大360日受給できる。
  • 会社都合退職だから必ず330日になるわけではなく、年齢と算定基礎期間によって異なる。
  • 複数の離職票がある場合は、原則として最後の離職理由によって受給資格者区分が判断される。

 

 

覚え方

  • 一般受給資格者:「90・120・150」の3段階だけ。
  • 特定受給資格者:年齢が高く、勤続年数が長いほど給付日数が増える。
  • 就職困難者:最も保護が手厚く、45歳以上は360日が基本。

 

目 次

  1. 雇用保険法における待期期間
  2. 所定給付日数
    1. 所定給付日数①(一般の受給資格者)
    2. 所定給付日数②(特定受給資格者)
    3. 所定給付日数③(就職困難な受給資格者)

雇用保険法における待期期間

 

待期期間とは、基本手当(失業手当)の支給を受ける前に、受給資格者全員が必ず経なければならない7日間の期間をいいます。

雇用保険法では、

基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをした日以後において、失業している日が通算して7日に満たない間は支給しない。(雇用保険法第21条)

と定められています。

つまり、ハローワークで求職の申込みをした日から、失業状態の日が通算7日になるまでは、基本手当は支給されません。


なぜ待期期間があるのか

待期期間は、

「本当に失業している人なのか」を確認するための期間 です。

離職したからといって、すぐに基本手当を支給するのではなく、

  • 働く意思があること
  • すぐに就職していないこと
  • 実際に失業状態にあること

を確認するために設けられています。

そのため、離職理由にかかわらず、すべての受給資格者に一律7日間適用されます。


待期期間の起算日

待期期間は、

離職日の翌日から始まるわけではありません。

あくまでも、

ハローワークで最初に求職の申込みをした日

から始まります。

 

  • 3月31日 退職
  • 4月5日 ハローワークで求職申込み
  • 4月5日~4月11日 待期期間(7日)
  • 4月12日以降 基本手当の支給対象

このように、離職後すぐに求職申込みをしなければ、その分だけ待期期間の開始も遅くなります。


「通算7日」とは

待期期間は、

連続した7日間とは限りません。

法律では「通算して7日」とされているため、待期期間中に就労した日などがあれば、その日は待期日数に算入されず、7日に達するまで待期期間が続きます。

 

状況 待期日数
4月5日 求職申込み 1日
4月6日 失業 2日
4月7日 アルバイト 算入しない
4月8日 失業 3日
4月9日 失業 4日
4月10日 失業 5日
4月11日 失業 6日
4月12日 失業 7日(待期満了)

アルバイトをした4月7日は待期期間に含まれないため、待期満了日が1日後ろへずれています。


病気やけがの日も待期期間に含まれる

待期期間には、

病気やけがのため働くことができない日も含まれます。 例えば、

  • 求職申込み後に風邪で寝込んだ
  • 転倒して数日間通院した

という場合でも、その日は待期日数に算入されます。

ただし、 病気だから基本手当が支給されるという意味ではありません。

待期期間の日数として数えられるだけであり、病気で長期間就職できない場合には、受給期間延長制度などが適用されることがあります。


待期期間は1受給期間につき1回だけ

待期期間は、

一つの受給資格について一度満了すれば足ります。 例えば、

  • 基本手当を受給開始
  • 一度就職
  • その後すぐ離職したが、新しい受給資格は成立しなかった

という場合には、同じ受給資格で再び待期期間をやり直す必要はありません。

一方、新たな受給資格を取得して再び基本手当を受給する場合には、その新しい受給資格について改めて待期期間が必要になります。


給付制限との違い

待期期間と給付制限は混同されやすいですが、まったく別の制度です。

項目 待期期間 給付制限
対象者 全受給資格者 主に自己都合退職者など
期間 7日 原則1か月(一定の場合)
趣旨 失業状態の確認 自己都合離職等に対する支給調整
必要性 必ず必要 対象者のみ

したがって、

自己都合退職であっても会社都合退職であっても、まず7日間の待期期間を満了する必要があります。

 

⇨ 休業補償給付労災保険法における待期はコチラ

所定給付日数

 

所定給付日数とは、1つの受給資格について基本手当(失業手当)の支給を受けることができる日数をいいます。

例えば、所定給付日数が120日であれば、失業の認定を受けた日について、最大120日分の基本手当を受給できます。

ここでいう「日数」は、カレンダー上の120日間ではなく、基本手当が支給される日数を意味します。


所定給付日数は何によって決まるのか

所定給付日数は、離職日時点(基準日)における次の3つの要素によって決定されます。

受給資格者の区分

  • 一般の受給資格者
  • 特定受給資格者(倒産・解雇など)
  • 就職困難な受給資格者(障害者など)

 

算定基礎期間

雇用保険の被保険者であった期間です。

例えば

  • 7年勤務
  • 15年勤務
  • 25年勤務

では、所定給付日数が異なります。

 

年齢

年齢が影響するのは、

  • 特定受給資格者
  • 就職困難な受給資格者

だけです。

一般の受給資格者は、年齢によって日数は変わりません。


複数の離職票がある場合

短期間に複数の会社を退職すると、離職票が2枚以上になることがあります。

この場合、

特定受給資格者に該当するかどうかは、原則として最後の離職理由によって判断されます。

 

A社(自己都合退職)

B社(会社都合退職)

受給申請

この場合は、

最後のB社の離職理由で判定されるため、特定受給資格者となる可能性があります。

反対に

A社(会社都合)

B社(自己都合)

離職

であれば、

最後が自己都合退職であるため、原則として一般受給資格者として扱われます。

所定給付日数①(一般の受給資格者)

一般の受給資格者とは、

特定受給資格者でも就職困難者でもない通常の離職者です。

例えば

  • 自己都合退職
  • 定年退職
  • 契約満了(一定の場合)

などが該当します。

所定給付日数は非常にシンプルです。

算定基礎期間 所定給付日数
10年未満 90日
10年以上20年未満 120日
20年以上 150日

年齢は関係ありません。


計算例

50歳の人が

  • 勤続10年
  • 月給42万円

で退職した場合

 

賃金日額

過去6か月の賃金 ÷ 180日

420,000円  ×  6  ÷ 180 = 14,000円

基本手当日額

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(雇用保険法16条)  給付率 *50%(「45~60歳」の者)

14,000円 × 50% = 7,000円

③ 所定給付日数

勤続10年なので120日

④ 支給総額

7,000円 × 120日 = 840,000円

となります。

もちろん、実際には上限額・下限額などによる調整があります。

所定給付日数②(特定受給資格者)

特定受給資格者所定給付日数は次の通りである。(法22条1項、法23条1項)

算定基礎期間 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日

特定受給資格者とは、

倒産・解雇など、自分の意思によらず離職した人です。

再就職が困難になりやすいため、

一般の受給資格者より所定給付日数が長く設定されています。

例えば

45歳で

20年以上勤務し

会社が倒産した場合

所定給付日数は

330日

になります。

一般受給資格者なら150日なので、

180日も長く受給できます。


年齢が影響する理由

会社都合離職では、

年齢が高いほど再就職が難しくなる傾向があります。

そのため、

30歳未満より

45~60歳未満の方が

長い所定給付日数となっています。


具体例

 

例1

28歳

勤務8年

会社都合退職

120日


例2

40歳

勤務15年

会社都合退職

240日


例3

55歳

勤務22年

会社都合退職

330日

所定給付日数③(就職困難な受給資格者)

就職困難者とは、

障害者など、 就職が特に困難であると認められる受給資格者です。

この人たちは、

一般の受給資格者よりもさらに長い給付期間が認められています。

算定基礎期間が1年未満か1年以上かで日数が異なります。

年齢 算定基礎期間1年未満 算定基礎期間1年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 360日

特徴

45歳以上65歳未満の就職困難者は、算定基礎期間が1年以上ある場合には、所定給付日数が360日となります。

ただし、算定基礎期間が1年未満の場合は150日です。

これは、 高齢であり、さらに障害などもある場合には、

再就職まで非常に時間がかかることを考慮しているためです。

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