休業(補償)給付

休業(補償)給付とは、

業務上または通勤によるケガ・病気のため働くことができず、賃金を受けられない場合に、休業4日目から労災保険が支給する給付です(労災保険法14条、22条の2)。

休日や所定休日であっても、支給要件を満たしていれば支給対象になります。

 

 

ポイント

  • 休業4日目から労災保険が支給される。
  • 待期期間は通算3日。
  • 業務災害では待期3日間は事業主が休業補償を行う。
  • 通勤災害では事業主に休業補償義務はない。
  • 支給額は給付基礎日額の60%(+休業特別支給金20%)。
  • 休日も支給対象となる。
  • 1年6か月経過後は年齢別の最低・最高限度額が適用される。
  • 部分算定日は「給付基礎日額-その日に支払われた賃金」を基礎に計算する。

この流れで学ぶと、休業(補償)給付の制度全体と試験で問われやすいポイントを体系的に理解できます。

 

目 次

  1. 支給要件
  2. 待期期間
    1. 待期期間の取扱い
    2. 各法律による「待期」
  3. 休業補償の支払義務
  4. 休業(補償)給付の支給額
  5. 部分算定日(または複数事業労働者の部分算定日)の場合

支給要件
休業(補償)給付を受けるためには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。

 

① 業務上(または通勤)の負傷・疾病で療養していること

 

労災事故によるケガや病気のため療養していることが必要です。

ただし、治ゆ後に行われる外科後処置は「療養」に当たらないため、そのために休業しても休業(補償)給付は支給されません。


② 療養のため労働することができないこと

 

単に元の仕事に復帰できないだけではなく、一般的に労務に服することができない状態であることが必要です。

例えば、

  • 医師から自宅療養を指示されている
  • 入院している
  • 通院治療により就労できない

などが該当します。


③ 賃金を受けていないこと

 

休業したことにより、

賃金の全部または一部を受けていない日

であることが必要です。

例えば、

  • 給料が全く支払われない
  • 半日だけ賃金が支払われた

どちらも対象になります。


④ 休業4日目以降であること

 

休業開始から最初の3日間は「待期期間」であり、労災保険からは支給されません。

4日目から休業(補償)給付が支給されます。

  • 1〜3日目 → 会社負担(休業補償)
  • 4日目以降 → 労災保険(休業補償給付)

■  いくらもらえる?

1日あたり60%

(計算の元になるのが「給付基礎日額」)

※実務ではさらに特別支給金20%が上乗せされるので

実質80%くらいになるケースが多い

退職後も休業(補償)等給付を受けることができる

 

休業(補償)等給付を受ける権利は、労働者が退職したことによって失われることはありません。(労災保険法12条の5第1項)

そのため、在職中に発生した業務災害又は通勤災害により療養を続け、休業(補償)等給付の支給要件を満たしている場合は、退職後も引き続き休業(補償)等給付を受けることができます。

 

具体例

① 業務災害の場合

  • 仕事中に転落して骨折
  • 療養のため休業(休業補償給付を受給)
  • 療養中に会社を退職
  • 引き続き労務不能

退職後も休業補償給付を受給できます。

② 通勤災害の場合

  • 通勤途中の交通事故で負傷
  • 休業給付を受給
  • 療養中に会社を退職
  • 引き続き就労できない

退職後も休業給付を受給できます。

 

ポイント

  • 労災保険の保険給付は、雇用関係が継続していることを要件としていません。
  • 保険給付を受ける権利は退職によって変更されないため、支給要件を満たす限り、退職後も給付を受けることができます。

 

参照

 

傷病(補償)年金とは

療養開始後1年6か月を経過しても治っておらず、

  1. 治ゆしていないこと
  2. 傷病等級(1~3級)に該当すること(一定の身体障害が残ったとき

この2つを満たす場合に職権で休業補償給付に代えて支給される年金です。

待期期間

休業開始から最初の3日間は「待期期間」といいます。

この3日間は実際に休業した日を通算して3日です。

継続して休んでも、

途中で出勤しても、

休業日が通算3日になれば待期は完成します。

 

業務災害と通勤災害の違い

 

業務災害

最初の3日間については、

事業主が労働基準法76条により

平均賃金の60%以上

の休業補償を支払う義務があります。


通勤災害

通勤災害では労働基準法76条は適用されません。

したがって、

事業主に待期3日間の補償義務はありません。


待期期間はいつから数える?

 

所定労働時間中に事故

事故当日から待期に算入します。

  • 月曜日10時に労災発生
  • 月曜日午後から休業

→ 月・火・水が待期

木曜日から休業(補償)給付


残業中など所定労働時間外の事故

翌日から待期を数えます。

月曜日20時(残業中)に事故

→ 火・水・木が待期

金曜日から支給

各法律による「待期」

 

法律 給付 待期
労災保険法 休業(補償)等給付 通算」して3日間
雇用保険法 ・基本手当
・傷病手当
・高年齢求職者給付金
・特例一時金
通算」して7日間
健康保険法 傷病手当金 継続」して3日間
船員保険法 ・傷病手当金
・休業手当金
待期なし

休業補償の支払義務

 

  • 休業補償給付業務災害)の場合
    • 休業最初の3日間待期期間について、事業主は自ら労働基準法76条に規定する休業補償1日につき平均賃金の100分の60)」を行わなければならない。(昭和40年7月31日基発901号)
  • 休業給付通勤災害)の場合
    • 待期期間について労働基準法76条は無関係であるため労働基準法に規定する休業補償を行う必要はない。(労働基準法76条、労働基準法84条)

休業(補償)給付の支給額

原則として

給付基礎日額の60%

が支給されます。 さらに

休業特別支給金20%

が支給されるため、 実際には

給付基礎日額の約80%

を受け取ることになります。


給付基礎日額

15,000円 なら

休業(補償)給付

15,000 ×60%=9,000円

休業特別支給金

15,000×20%=3,000円

合計

12,000円/日

支給されます。


1年6か月経過後

療養開始から1年6か月を経過すると、

年齢ごとの

最低限度額・最高限度額

が適用されます。

例えば

給付基礎日額

40,000円

最高限度額

25,000円 なら、

計算には25,000円を使用します。

したがって

25,000×60%=15,000円

が休業(補償)給付になります。

部分算定日(または複数事業労働者の部分算定日)の場合

 

1日まるごと休業したのではなく、

一部だけ働いた日をいいます。

例えば

  • 午前勤務・午後通院
  • 午前有給・午後通院

などです。

この場合は

給付基礎日額 − その日に支払われた賃金

を基礎として60%を支給します。


給付基礎日額

20,000円

午後休業し、

その日の賃金

8,000円

が支払われた場合

20,000−8,000=12,000円

12,000×60%=7,200円

が休業(補償)給付になります。


他制度との違い

制度 対象 待期 支給額
労災保険(休業補償給付) 業務上・通勤災害 通算3日 給付基礎日額の60%(+特別支給金20%)
健康保険(傷病手当金) 業務外の病気・ケガ 継続3日 標準報酬日額の3分の2
雇用保険(傷病手当) 求職中の病気 通算7日 基本手当に代えて支給

 

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー

パソコン|モバイル