内払処理

趣旨

受給権の切替えが遅れたため、

  • 古い給付が払い過ぎになった
  • 新しい給付はまだ支給されていない

という場合があります。

本来なら

  • 過払い分を返還してもらう
  • 新しい給付を改めて支払う

ことになります。

しかし、受給者・行政双方の負担を減らすため、

既に支払った給付を、新しい給付の前払い(内払)として扱います。

返還手続を省略できるのがポイントです。

 

  • 内払処理とは、過払いとなった給付を新しい給付の前払いとして扱う制度である。
  • 目的は、返還・再支給の手続を省略し、事務処理の簡素化と受給者の負担軽減を図ること。
  • 支給停止・減額改定は「内払とみなすことができる」。
  • 受給権消滅による内払処理は「内払とみなす」。
  • 対象は同一傷病に係る給付の切替えである。
  • 年金⇔年金、年金⇔一時金・休業給付、休業給付⇔年金・障害給付の間で内払処理が行われる。
  • 遺族(補償)等年金は転給制度があるため、内払処理の対象外である。

一言で総まとめ

「内払処理とは、同一傷病で給付が切り替わる際の過払いを、新しい給付の前払いとして調整する制度。支給停止・減額改定は『できる』、受給権消滅は『みなす』、遺族(補償)等年金は対象外。」

内払処理

1 支給停止に係る内払処理(法12条1項前段) 内払とみなすことができる
2 減額改定に係る内払処理(法12条1項後段) 内払とみなすことができる
3 受給権消滅などに係る内払処理(法12条2項前段

内払とみなす

  • 次に支払う保険給付が確実に存在することから法律上当然に内払調整を行うということです。

受給権消滅などによる内払処理

パターン①(法12条2項前段)

 

年金 → 年金

同一傷病について

旧年金の受給権が消滅

新しい年金の受給権発生

旧年金が支払われ続けた

新年金の内払


障害(補償)等年金

再発

傷病(補償)等年金


パターン②(法12条2項後段)

 

年金 → 一時金・休業給付

旧年金消滅

休業(補償)等給付

又は

障害(補償)等一時金

旧年金が支払われた

休業給付・一時金の内払


傷病年金

軽快

休業補償給付


パターン③(法12条3項)

 

休業給付 → 年金・障害給付

休業(補償)等給付

悪化

傷病年金

又は

治ゆ

障害(補償)等給付

休業給付が払い続けられた

新しい給付の内払


覚えるべき給付の流れ

消滅した給付 新しい給付
障害年金 傷病年金
障害年金 障害一時金
障害年金 休業給付
傷病年金 障害給付
傷病年金 休業給付
休業給付 傷病年金
休業給付 障害給付

遺族(補償)等年金は対象外

ここは非常に重要です。

遺族(補償)等年金には内払処理はありません。

理由は、

転給制度があるためです。

遺族年金は、

受給権が次順位者へ移る制度であり、

「同じ受給権者への給付の切替え」

 

ではないからです。

受給権が消滅した保険給付 新たに支給されることになった保険給付
障害補償等年金 再発した 傷病補償等年金
軽快した 障害補償等一時金
再発した 休業補償等給付
傷病補償等年金 治ゆした 障害補償等給付
軽快した 休業補償等給付
休業補償等給付 悪化した 傷病補償等年金
治ゆした 障害補償等給付

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