退職時の証明・金品の返還

退職時証明書

 

労働者が退職した場合において、証明書を請求したときは、使用者は、遅滞なく「退職時証明書」を交付しなければなりません。(法22条1項

なお、退職時証明書の請求回数に制限はありません。ただし、請求権は退職時から2年間で時効にかかります。したがって、回数に制限がないからといって、退職後いつまでも請求できるわけではありません。(平成11年3月31日基発169号・法115条)

なお、退職時証明書の交付義務等に違反した場合には、30万円以下の罰金が科されることがあります。(法120条1号)

 


解雇理由証明書

 

使用者は、労働者が、解雇予告をされた日から退職の日までの間に「解雇理由証明書」を請求した場合には、遅滞なくこれを交付しなければなりません。(法22条2項

つまり、

解雇予告日 → 退職日 までの間に請求するのが解雇理由証明書であり、

退職後に請求するのが退職時証明書です。

なお、解雇理由証明書の交付義務等に違反した場合には、30万円以下の罰金が科されることがあります。(法120条1号)

 

  解雇理由証明書 退職時証明書
根拠条文 法22条2項 法22条1項
請求できる時期 解雇予告日から退職日まで 退職後
なお
請求権は「退職時から2年」で消滅時効にかかる
証明内容 解雇理由 使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職事由など
交付義務 請求があれば遅滞なく交付 請求があれば遅滞なく交付

即時解雇の場合

 

即時解雇の場合は、「解雇予告日から退職日まで」という期間が存在しないため、法22条2項に基づく「解雇理由証明書」の交付義務はありません

ただし、労働者は、退職後に「退職時証明書」として解雇理由の記載を請求することができます

したがって、即時解雇であっても、労働者が解雇理由を確認する方法がなくなるわけではありません。(平成15年10月22日基発1022001号)


退職時証明書の法定記載事項

 

労働者は、次の事項の全部または一部について証明を請求することができます。

  1. 使用期間
  2. 業務の種類
  3. その事業における地位
  4. 賃金
  5. 退職の事由
    ※退職の事由が解雇である場合には、解雇理由を含みます。

ここで重要なのが、

「労働者が請求していない事項は記載してはならない」

というルールです。

たとえば、労働者が「使用期間だけ証明してほしい」と請求した場合、使用者が退職理由などを勝手に付け加えることはできません。(法22条3項

金品の返還

 

労働者が退職した場合には、通常の給与支払日を待たずに賃金を支払わなければならない場合があります。

使用者は、労働者の死亡または退職の場合において、権利者から請求があったときは、7日以内に、

賃金の支払いおよび

労働者の権利に属する金品の返還

をしなければなりません。(法23条1項)

対象となる金品には、積立金、保証金、貯蓄金その他名称のいかんを問わず、労働者の権利に属するものが含まれます。

 

争いがある場合

賃金や金品について、その全部または一部に争いがある場合でも、すべての支払い・返還を保留できるわけではありません。

争いのない部分については、7日以内に支払い、または返還しなければなりません。(法23条2項)

つまり、

争いがある部分 → 確定するまで保留可能

争いがない部分 → 7日以内に支払い・返還

となります。


「7日以内」がポイントとなる規定

労働基準法の本則・施行規則において、「7日以内」と定められている代表的な規定として、

法23条(金品の返還) 

施行規則47条1項・2項(障害補償・遺族補償・葬祭料)

 

法23条 金品の返還

場合 期限
労働者の死亡・退職後、権利者から賃金・金品の請求があった場合 7日以内
賃金・金品について争いがある場合の「異議のない部分」 7日以内

使用者は、労働者の死亡または退職の場合において、権利者から請求があったときは、争いがある部分を除き、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません。


 

施行規則47条 災害補償

補償の種類 期限
障害補償 身体障害の等級が決定した日から7日以内
遺族補償・葬祭料 受給権者が決定した日から7日以内

障害補償は、労働者の負傷または疾病が治った後、身体障害の等級が決定した日から7日以内に行わなければなりません。

また、遺族補償および葬祭料は、労働者の死亡後、これを受けるべき者が決定した日から7日以内に行い、または支払わなければなりません。


法23条「金品の返還」も法120条の対象で、違反すると30万円以下の罰金です。

 

 

覚え方

退職に関しては、

「証明書は遅滞なく、金品は請求から7日以内」

と整理すると分かりやすいです。

退職時証明書・解雇理由証明書
請求があれば遅滞なく交付

退職後の賃金・金品
請求があれば7日以内に支払い・返還

という違いを押さえておきましょう。

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