作業主任者

事業者は、高圧室内作業その他、労働災害を防止するため特別な管理を必要とする作業で政令に定められたものについて、一定の資格を有する者の中から作業主任者を選任しなければなりません。

作業主任者には、その作業に従事する労働者の指揮その他、厚生労働省令で定められた事項を行わせる必要があります。(法14条

 


作業主任者は「作業の区分」ごとに選任する

作業主任者は、総括安全衛生管理者衛生管理者のように、単純に「事業場ごと」に1人選任するものではありません

対象となる作業の区分ごとに、その作業に対応する資格を持つ作業主任者を選任します。

例えば、同じ事業場で、

  • 高圧室内作業
  • 特定化学物質を取り扱う作業
  • 石綿を取り扱う作業

が行われている場合には、それぞれの作業について、必要な資格を持つ作業主任者を選任する必要があります。


原則として「作業場所」ごとに選任する

作業主任者は、原則として作業場所を単位として選任します。

また、交替制によって作業を行っている場合には、作業主任者が労働者を直接指揮する必要があることから、原則として各直ごと(各シフトごと)に作業主任者を選任する必要があります。

つまり、

昼勤には作業主任者がいるが、夜勤にはいない

という状態は、原則として認められません。

ただし、次の作業主任者については、法定の点検などが主な職務となり、常時労働者を直接指揮する必要性が比較的低いことから、必ずしも各直ごとに選任する必要はありません。(昭和48年3月19日基発145号)


「名ばかり作業主任者」は認められない

作業主任者は、資格を持っている人の名前を形式的に置けばよいものではありません。

例えば、足場の組立て・解体作業を、

  • 自社の労働者数名
  • 外部の請負人である個人事業主

が一緒に行うケースを考えます。

この場合、自社が作業主任者を選任する必要があるのであれば、原則として自社の労働者の中から作業主任者を選任する必要があります。

外部の個人事業主が経験豊富なベテラン作業員であったとしても、その人を形式的に作業主任者とするだけでは、適切な選任とはいえません。

作業主任者は、その職務として労働者を直接指揮することになるため、請負関係にある外部の者に自社労働者を指揮させることは、契約関係によっては労働者派遣法上の問題が生じる可能性もあります。(厚生労働省資料

作業主任者を選任しなければならない主な作業

作業主任者の選任が必要となる「危険または有害な作業」は、労働安全衛生法施行令6条に定められています。

代表的なものは、次のとおりです。

 

1.高圧室内作業

一定の高圧室内作業(潜函工法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室またはシャフト内部で行う作業)(令6条1号)

「高圧室内作業」とは、圧気工法によって大気圧より高い気圧に保たれた空間で行う作業です。

例えば、大きな箱状の構造物(潜函)を地中や水中に沈め、その内部に高圧空気を送り込んで水の侵入を防ぎ、作業員が内部で掘削などを行う潜函工法があります。

 

2.ガス溶接などの作業

アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を使用して行う、

  • 金属の溶接
  • 溶断
  • 加熱

の作業(2号)

 

3.機械集材装置・運材索道

一定の機械集材装置または運材索道の、

  • 組立て
  • 解体
  • 変更
  • 修理

の作業(3号)

 

4.ボイラーの取扱い

ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱い作業(4号)

 

5.放射線業務

一定の放射線業務に係る作業(5号)

 

6.木材加工用機械

木材加工用機械を5台以上有する事業場において行う、当該機械による作業(6号)

 

7.プレス機械

動力により駆動されるプレス機械を5台以上有する事業場において行う、当該機械による作業(7号)

 

8.ずい道等の掘削作業

ずい道等の掘削作業またはこれに伴う、

  • ずり積み
  • ずい道支保工の組立て
  • ロックボルトの取付け
  • コンクリート等の吹付け

の作業(10号の2)

 

9.はい付け・はい崩し作業

高さが2メートル以上の「はい」について行う、

  • はい付け
  • はい崩し

の作業(12号)

「はい」とは、倉庫、上屋または土場などに積み重ねられた荷の集団をいいます。

高さ2メートルは、労働安全衛生法令上、墜落・転落防止措置などでも重要となる基準です。

 

10.足場の組立て・解体等

次の足場の組立て、解体または変更の作業です(15号)。

  • つり足場(ゴンドラのつり足場を除く)
  • 張出し足場
  • 高さ5メートル以上の構造の足場

 

11.特定化学物質

一定の特定化学物質を製造し、または取り扱う作業(試験研究のために取り扱う作業を除く)(18号)

 

12.鉛業務

一定の鉛業務に係る作業(遠隔操作によって行う隔離室内の作業を除く)(19号)

 

13.四アルキル鉛等業務

一定の四アルキル鉛等業務に係る作業(遠隔操作によって行う隔離室内の作業を除く)(20号)

 

14.酸素欠乏危険作業

一定の酸素欠乏危険場所における作業(21号)

 

15.有機溶剤業務

屋内作業場、タンク、船倉、坑の内部その他一定の場所において、有機溶剤を製造し、または取り扱う業務のうち、厚生労働省令で定められた作業(22号)

 

16.石綿作業

石綿等を取り扱う作業など(23号)

などがあります。

作業主任者の職務

作業主任者は、対象となる作業について、

  • 作業方法を適切に決定する
  • 作業に従事する労働者を指揮する
  • 設備や保護具等を点検する
  • その他、各作業について法令で定められた安全衛生管理を行う

などの役割を担います。

具体的な職務内容は、作業主任者の種類によって異なります。

例えば、特定化学物質作業主任者については、

  1. 作業方法を決定すること
  2. 労働者を指揮すること
  3. 局所排気装置や除じん装置などを点検すること

などが職務として定められています。(特化則28条)


作業主任者を2人以上選任した場合

同一の場所で一つの作業を行う際に、その作業について2人以上の作業主任者を選任した場合には、それぞれの作業主任者について、職務の分担を定めなければなりません。(則17条)

誰がどの範囲を担当するのかが不明確にならないようにするためです。

作業主任者になるための資格

作業主任者は、誰でも選任できるわけではありません。

作業の種類に応じて、次のいずれかの資格が必要になります。

  • 都道府県労働局長の免許を受けた者
  • 都道府県労働局長の登録を受けた者が実施する技能講習を修了した者

必要となる資格は、対象となる作業ごとに異なります。

例えば、

高圧室内作業

については、

  • 作業の区分:令6条1号の作業
  • 必要資格:高圧室内作業主任者免許
  • 作業主任者の名称:高圧室内作業主任者

となります。(則16条、則別表第1)

専属・専任の義務

項目 作業主任者
専属 規定なし
専任 規定なし
行政措置 特段の規定なし

 

専属とは

「専属」とは、原則としてその事業場に所属して勤務していることをいいます。

作業主任者については、衛生管理者などにみられるような一般的な専属義務の規定はありません

 

専任とは

「専任」とは、通常の勤務時間の大部分をその職務に専念することをいいます。

作業主任者については、一般的な専任義務も定められていません

ただし、作業主任者は対象となる作業について、労働者の指揮や設備の点検など、法令で定められた職務を実際に遂行できる状態でなければなりません


 

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