納税管理人の選任
1 納税管理人を定める
納税者が国内に住所及び居所を有せず、又は有しないこととなる場合において、納税申告書の提出その他の国税に関する事項を処理する必要があるときは、当該事項を 処理させるため、納税管理人を選任しなければなりません(税通117Ⅰ)。納税管理人は、 確定申告書の提出や税金の納付などの手続を納税者の代理として行う者をいいます。 納税管理人は、日本国内に住所又は居所を有する者である必要がありますが、法人でも納税管理人となることができます。
2 納税管理人の役割
国税通則法第117条1項の「納税申告書の提出その他国税に関する事項」とは、次に掲げる事項(不服申立てに関する事項を除く。)をいうとされています(通基通(徴)117 ―2)。
⑴ 国税に関する法令に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の作成及び提出
⑵ 税務署長等(その所属の職員を含む。⑶において同じ。)が納税者に対して発 する書類の受領及びその納税者に対するその書類の送付
⑶ 納税者が税務署長等に対して提出する書類の受領及びその税務署長等に対するその書類の提出
⑷ 国税の納付及び還付金等の受領
なお、納税管理人は、上記⑴から⑷までに掲げる事項の一部のみを処理(特定納税 管理人(税通117Ⅴ)によるものを除く。)することはできないと説明されています(通基 通(徴)117―2(注))。
納税管理人の定めがある場合には、申告書や通知書、督促状など税務署が発送する書類は、納税管理人の住所又は居所に送付されます(税通12Ⅰただし書)。納税管理人は 納税者の納税手続のために便宜を図る者であり、納税者の申告納税義務を負うわけではありません。日本で確定申告をする必要がある納税者が納税管理人を選任し、その 後確定申告期限までに申告・納付をしなかった場合でも、納税管理人が納税者の義務 を負わされ、罰則を受けるようなことはありません。
3 国税の還付金等を受け取る場合
納税者が確定申告をすることによって国税の還付を受けることとなった場合には、 その確定申告書に、還付を受ける金融機関の口座情報を記載します。還付を受けることができる金融機関は国税庁が指定した金融機関に限られ、海外の金融機関に送金することはできません。納税者が日本国内に指定金融機関の口座を有していないとき は、納税管理人の口座で還付を受けるのが一般的です。